第8話 お風呂だよー!
脱衣場に入る前の扉には、『せいそうちゅう』と書かれた木の板がぶら下がっていた。
脱衣場ですっぽんポンになる。
『ガラガラガラ』
ドアを開け、浴場に入る。
ドアを横に引くと、お風呂の湯気が、僕の身体まで届き、一瞬で身体が湿めってゆく。
言われていたとおり、人はおらず僕だけ。
とりあえず頭を洗おうかな。
木でできたイスに腰掛ける。
30000円した、石鹸で頭を洗う。
シャワーはないので、浴槽から木の桶でお湯を掬って洗う形になる。
『ゴシゴシ』
使ってみた感想は、まず泡立ちが悪い。
そして、髪はパサパサ、髪に手が引っかかる。
あまり、使いたくないな。
これが30000円かー。
次は、さっき購入した、頭用を使う。
泡立ちは、さっきのより、良い
『ゴシゴシ』
まぁ、ぼちぼちかな?
トリートメントとかコンディショナー、リンスインシャンプーじゃないからね。500円だしこんなもんかな?
香りがないのは、残念。
街なかで購入した、身体を拭くようの布は使わずに、先程購入のハンカチに、身体用の石鹸を泡立たせて、含ませ身体を洗う。
「石鹸いいなー、借りても良い?」
一番近くに置いてあった3万円の石鹸を見て言う女の子の声。
「うん。良いよー」
急な女の子の言葉に、素で返してしまう。
あれ、さっきまでいなかったよね?
頭を洗っている間に隣に来たのかな?
この声は、ミアさんだよね?
敬語でもないし、裸の付き合いで開放的になってる感じかな?
「ありがとう。こゆきちゃんっ、クビレもあってほんと女の子みたいだよ。でも、男の子の象徴はあるから、男の子なんだよねー」
僕の身体をまじまじと見るミアさん。
ミアさんは、布を胸元と下半身に巻いており、大事なところは見えていない。
「恥ずかしいから、見ないでよ」
いつの間にか、僕への呼び方がこゆきちゃんになってるけどいちいち気にしない。
僕も敬語使うのやめよう。
僕も、開放的な気分になっていた。
身体を洗い終わり、お湯に浸かる。
足を広げても大丈夫なほどの、大きさのお風呂。
大人5人は、ゆったりと入れそう。
「ふぅー、気持ち良い」
あたたかいって、幸せだよねー。
「だねー」
隣で、一緒に入っているミアちゃんが、僕の言葉に返答する。
「疲れが消えていくようだよねー」
「そうだねー」
『ジャージャー』
ミアちゃんが、おもむろに浴槽から出て、木の台に乗り、天井の丸っぽいものに触れる。
水蒸気で、ミアちゃんの大事なところは隠れている。
「それは、なあに?」
ミアちゃんが触った、上の丸っぽいものを指差し浴槽内に戻ってきたミアちゃんにきく。
「光ってるの?あー、明かりの魔導具だよ?見たことない?19時過ぎたら、外も暗くなるから、使うようにしてるよ」
「初めてみた、便利だね。買うと高い?」
「この明るさだと、15万円かな。魔導具自体が高価なものだからね。平民の月収の平均くらいはあるよ。そう考えると高いかもね」
なるほど、魔導具は高価なもので、平民の平均の月収は15万円くらいなんだね。
「どうやって、使うの?」
「触って、魔力を流し込むだけ。流し込む量で、光っている時間が変わるよ」
「そうなんだー。今度、お店見に行ってみようかな」
「そろそろ、私、お風呂出るね。洗濯して欲しい物は、籠に入れて朝07時から09時までの間に、従業員の誰かに手渡してね。以前は、部屋の前の通路に置いてもらってたんだけど、下着を盗む人がいてね。手渡しにしてもらってるんだ」
〜自室〜
お風呂から上がり、外の井戸で水を汲み歯を磨いてから、自室に戻ってきた。
街なかで購入した布で、身体を拭いたけど、吸水性は悪かった。
お風呂で、少し温まりすぎたので、ゆき魔法『あわゆき』を使い、部屋を冷やしていると、使える魔法が増えた。
新魔法『きりゆき』
説明︙霧のような細かい雪。相手の視界を、奪うことが可能
目くらましになりそうな魔法を覚えた。
明日は、ハンカチをたくさん売りに行こうかな。
多分、Shoppingでたくさん買うか売るかすれば、レベルが上がると思うし。
「ふぁー、おやすみなさい」
小さくあくびをして、毛布を被り眠りにつく。
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