第6話 ミアの宿屋だよー!
宿舎から200mほど、歩いたところに、ミアの宿屋がある。
ミアの宿屋の右隣にはパン屋があった。
少し、店の中を覗いたけど、焼きたてっぽいのは無かったので、店員さんに聞いたら、パンは朝にしか焼かないのだとか。
だから、朝は焼きたて売ってますよー、と教えてくれた。
夕方らへんに、買いに来れば焼きたてでないぶん、少し値引きしてるんだって。
「こんばんはー」
閉まっていたミアの宿屋のドアを開ける
「はーい。いらっしゃいませー!こんばんはー」
店員であろう元気な女性の声が耳に入る。
茶髪のポニーテールが、テーブルを拭くたびに、ゆらゆらと揺れている。
エプロン越しで、よく分からないが、少し膨らみがあるため、胸は少なからずあると思う。
宿屋の1階は、受け付けとお食事処みたい。
食事を取る人で、とても賑わっていた。
「お泊りですか?お食事ですか?」
笑顔で、先程の女性が対応してくれる。
身長は、僕より少し小さい155cmくらい
「泊まりでお願いします、食事も大丈夫ですか?」
「はーい1泊5000円です。食事は、朝と夜食べれます。お食事抜きにしますと、1食500円割り引いております。お食事は、朝が07時から10時まで、夜は16時から20時までとなっています。お風呂は、17時から19時と23時から24時までが男性。19時から23時が女性の時間でございます。洗濯は別料金で承っております。その他、気になる点はございますか?」
手慣れた、接客でスラスラと言葉を続けるポニーテールの女性。
「洗濯はおいくらですか?」
「大銅貨5枚です」
「では、とりあえず1泊朝夜食事付き、洗濯ありでお願いします」
銀貨を5枚と大銅貨5枚をストレージから出し、ポニーテールの女性に手渡す。
買い物中に気づいた、お金をストレージに収納できることを。
「はい。確かに受け取りました。こちら鍵と洗濯物を入れる籠でございます。鍵に書かれてある番号が部屋の番号です。私の名前は、店長のミアといいます。よろしくお願いしますね」
店長はミアさんというようだ。
ミアさんから、木の鍵と籠を受け取る。
木の鍵には、205番と書かれていた。
「はいっ!あいがみ こゆきです。よろしくお願いします」
ミアさんが、宿帳?に、僕の名前を書いていた。
鍵を右手に持ち、階段を登る。
「201 202 203 204 205あった。右側の1番奥だね。自室の目の前が210号室だから、全部で10部屋だね。1日10部屋全部埋まったとして、5万円、ひと月で150万円の売上だね。そこから、食べ物代や従業員のお給料、いわゆる人件費だね、などなどまとめて必要経費を差し引くと70万円ほどの利益かな?税金とかわかんないから、なんとなーくで計算したけど」
部屋に入らず、扉の前で、ひとり言を言う。
誰かに聞かれていたら恥ずかしいね。
左右を見渡すけど、誰もいなかった。
良かった良かった。
『ガチャッ』
扉の鍵穴に、鍵を差し込み回す。
扉のノブを引っ張り、部屋に入る。
部屋の中には、ミニテーブル、ベッド、ミニタンスがあった。
ベッドには、真っ白なシーツが丁寧に敷かれてあり、まくらと毛布が置かれてあった。
「ふぅー、疲れたねー」
洗濯かごを部屋中央のミニテーブル上に置き、その左隣にあるベッドの足元らへんに座り一息つく。
『ピコンッ』
LOneの音が聞こえた。
スマホを開き内容を確認してみる
「アキナです。本日、スカート、パジャマ、ズボン、シャツ、パンツ、靴下、身体を拭く用の布歯ブラシっぽいもの(木の繊維を柔らかい房状にしたもの)と、歯磨き粉っぽいもの、石鹸を購入されましたね。それにより、Shoppingにて、女性洋服レベル1、男性洋服レベル1、日用品レベル1、美容品レベル1を開放いたします。最後に、あいがみさん、試着の際のスカート可愛かったです。もっとみたいです。よろしくお願いします」
おー。他に地球の物を買うことができるようになったみたい。嬉しいな!
それにしても、商売女神のアキナさん。
僕のスカート姿見てらしたんですね。
照れちゃうな。
「ちょっとベタついているから、夜ご飯の前に、お風呂に行こうーっと」
部屋を出て、階段を降り1階に行く。
お風呂の場所分かんないから、ミアさんに聞こう。
階段を降りた先に、ちょうどミアさんが目の前を通りかかった。
「ミアさん、お風呂はどこですか?」
「お風呂は、あちらですよ?ですが、今は男性の時間ですので、あいがみさんが入浴できるのは、19時からですよ?」
またこのくだりなのかー。
「あのー、僕、男の子なんですけど?」
「えっ!?またまたー、あいがみさん、早くお風呂に入りたいからって嘘はだめですよ?今は男性の時間です、我慢してください」
「ミアさんっ、だから、僕男の子なんです」
必死な目で見る。
「あいがみさん、じゃあ、男の人についているものついているんですか?」
どうして、こう言うついているかついていないかの話になるんだろう?
「はいっ、ついています」
「かっかくにんしますよ?」
ミアさんが、僕の男の子の部分に手を伸ばす。
「えっ?それは」
否定も間に合わず、
「えいっ」
ミアさんに、触られた。
「つっ、ついていました。あいがみさん、男の子ですね」
「はいっ、じゃあ、お風呂入ってきますねー」
誤解がとけ、いざ、お風呂場に向かおうとすると、肩に手がかかり止められる。
「あいがみさん、男性の方が混乱するので、お風呂は、お待ちください。19時から20時の1時間を貸し切りにしますので、それで、お願いします」
ミアさんは、頭を下げてお願いしてくる。
それは、僕の下半身を触った件についても謝罪しているかのようにも見えた。
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