第12話 泣いちゃうよー!
何しよっかなー。
冒険者ギルドに行ってみる?
剣と魔法のある世界では定番だからね。
それとも、この街まで案内してくれたうさちゃんに会いに行こうかな?
『うさちゃんもふもふしたいよねー』
お店で、買い物たくさんして、Shoppingのカテゴリーを増やすのもありだよね。
「よしっ、うさちゃんに会いに行こう」
愛の女神の加護があるから、武器とか防具着てなくても大丈夫だよね?
愛の女神の加護は、男女などの性別問わず人や魔族、モンスターなどから好かれたり、愛されやすくなる加護、身体から相手方の好みのフェロモン(動物あるいは微生物が体内で生成して体外に分泌後、同種の他の個体に一定の行動や発育の変化を促す生理活性物質のことである)が漂うって、説明にもあったし。
〜森の中〜
門で、アップルちゃんに、心配されながらも、無事に森の中まで来ることができた。
奥深くまで行かないようにね?と念を押されてしまった。
僕、男の子だからね?
冒険は男の子には憧れだよ。
それに、かわいい子には旅をさせろって言うよね?
あれ、それは、女の子に対して言う言葉だったかな?
まぁ、いっかー!
そんなことを考えながら、森の中を探索する。
『バサッバサッ』
きれいな白色の翼を持つ鳥?モンスターかな?が、僕の肩に止まった。
「ちゅーんちゅーん」
可愛らしく鳴き声を出す。
とりちゃん。
今回も意思疎通できるかな?
「角の生えたうさちゃん?どこにいるか分かる?」
両手を頭に持ってきて、うさぎの耳のように見せる。
『コクリッ』
とりちゃんが、首を前に動かす。
知っているみたいだ。
とりちゃんは、僕の肩に乗ったまま、翼を器用に動かして、方向の指示を出してくれる。
便利だねー。とりちゃん。
「うさっー、うさっー!」
歩くこと数分後、昨日のうさちゃんを見つけた。
「大丈夫?うさちゃんっ」
うさちゃんに駆け寄る。
右足から真っ赤な血が出ていた。
どうやら、怪我をしているみたい。
痛くてうまく歩けないようで、僕を見つけて近付こうとするけど、うまく歩けずに横に転ぶ。
「どうしよう。。。僕、回復魔法持ってないし。回復薬もない。街に連れて行ったら、モンスターだったら討伐されるかもだし、動物でもうさぎの肉として捕まえられそうだし、とりあえずこの近くに川があったはずだから、川水で傷口を洗い流そうかな」
痛がるうさちゃんを抱いて、川まで運ぶ。
僕の白のシャツが、うさちゃんのケガしてる足の傷口に触れて赤く染まっていくけど気にしない。
「とりちゃんっ、もし知ってたら、ケガを治す薬草持ってきてくれないかな?」
僕の言葉に、とりちゃんが、羽ばたいていった。
薬草をもってきてくれることを願う。
もしだめだったら、うさちゃんをここに遺して、街に急いで回復薬を買いに行こう。
「大丈夫だからね。うさちゃん」
「ぅーぅー」
うさちゃんが、弱々しく鳴き声を上げる。
痛がるうさちゃんの頭を撫でて、川まで歩く。
川について、手で水を掬い、うさちゃんの怪我している足にかける。
布で止血したほうが良いのかな?
よくわからないよ。
どうしたら良いの?
涙が『ポトポト』と落ちる。
『バサッバサッ』
翼の音が近づいてくる。
とりちゃん、見つけてきてくれたのかな?
音の方を見る。
とりちゃんが緑のものを口に加えていた。
良かったー。見つかったみたい。
効くと良いな。
「きゅーんきゅーん」
とりちゃんが着陸し、くちばしを開けて、薬草?を地面に落とす。
Shoppingでハンカチを購入する。
とりちゃんが持ってきてくれた、緑色の薬草?をうさちゃんの怪我している部分に付着させて、それをハンカチで固定する。
薬草?を傷口に付着すると、少し楽になったような顔になるうさちゃん。
どうやら効いているみたいだ。
速効性のある薬草?で良かった。
「とりちゃん、ありがとね。これでうさちゃん治るかな?」
とりちゃんが僕の言葉に、首を前に動かし反応する。
「良かったー。ほんとにありがとね。とりちゃんっ」
とりちゃんの頭をなでなでする。
『ちゅーんちゅーん』
嬉しそうなくすぐったそうな声で鳴くとりちゃん。
さて、どうしようか。
うさちゃん、良くなりかけているけど、まだ、歩かせるのは心配。
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