追放フラグが建ったので実況動画企画に応募してみたら、追放後のパーティを実況してもらえた件
「えー、お久しぶりです。動画視聴者の皆さん。
覚えている方もそうじゃない方も、今日はよろしくお願いしいます。
ガーナぶらっくです。
今回の解説は、この企画に応募いただきました【映画館で食べるポップコーンは至高の味】さんです。無駄に長い偽名ですね。ニュースキャスターでも声優でもない自分はいつ台詞を噛むのか冷や冷やしてしまいます」
ーーども、【映画館で食べるポップコーンは至高の味】です。短くポプコンで良いですよ。ちなみに、転移者です。映画観賞後、その余韻に浸っているところを拉致られました。
続編みたかった!
「ポプコンさんは、ご覧のように女性です。最近は中高年男性の追放も増えていますが。意外と男性でこういった企画に応募される方は少ないんですよね」
ーーそれは、ほら女性の方が陰険ですから。根に持つのが多いのも女性ですし
「たしかに、叩かれるのを覚悟であえて言わせてもらいますが、女性は口喧嘩等で追い詰められると、何年も前のことを持ち出して責めてきますよね。あるいは攻めてきますよね」
ーー女性あるあるですね。性質、脳の作りや考え方の違いらしいですが、男性からすると昔のことを蒸し返されて、現状の話題と関係ないことで追い詰められていると感じてしまうらしいですね
「女性の扱いは注意が必要、と言うことでしょうか?」
ーーそうですね。女性の場合、なんというか暗黙の了解というか察して行動する、というのがマナーだったりしますし。
「男性には理解しにくい世界ですね。
えー、まず追放された経緯をお話しください」
ーーはい。私は基本フリーで活動している冒険者なのですが。追放されたパーティに入った切っ掛けは、スカウトでした。
「スカウト、というと向こうから声をかけてきたと言うことでしょうか?」
ーーはい。その通りです。通常冒険者ギルドの掲示板に貼ってあるクエスト、依頼書の内容によって仕事仲間を募集したりしますよね。
先程も言いましたが、私の場合、ソロが気楽だったということもあり自分好みのクエストを受注して仕事をしているうちに気づけばカンストしていて、よく利用するギルド内ではそれなりに有名になっていたんです
「一人でカンストって、スゴいですね。ポプコンさん、まだ十代ですよね?」
ーー元々チームを組むのが苦手だったんです。なんというか女性のパーティメンバーから疎まれやすいタイプだったみたいで。
一人で活動する前、新人の頃ですね。その頃は、パーティを組んで活動していたんですけど、うーん、どこから話したものか
「実況開始まで、まだ時間はあります。新人の頃から、つまり最初からトラブルが多かったということでしょうか?」
ーーいいえ。最初の頃、動きやすさを意識して男の子みたいな格好、ようは男装をして活動していたら本当に男だと思われていたんですよ。
訂正するのはめんどくさいし、仕事に支障も無いんでそのまま顔馴染みと時おりパーティを組んでいました。
思えばこの頃は、まだ普通にチームを組んでの団体行動に支障もなかったんですけど
「支障が出始めた?」
ーーはい。冒険者パーティでの活動にも慣れ、とくにトラブルも無かったんですが、ある日そのパーティに新人女性冒険者が入ってきて、トラブルが立て続けに起きて追い出されました。
似たようなことが続き、今回で十回目です。
「クエストでは人数制限があったりして、誰かと組むということも珍しくないですもんね。基本ソロ活動であっても、事前の打ち合わせでも短期でパーティを組んでいたら意味不明の容疑をかけられて追放されることが多かったとか。
これは具体的にお話をうかがっても良いのでしょうか?」
ーーえぇ、お気になさらず。もう過ぎたこと、と言ってしまえばそれまでですけど。この企画では実況とともに復讐も支援してくれるのでお話しします。
ただ、気分のいい話ではないですね。
私、今回の十度目の追放で過剰な暴力を奮われてしまって、子供を作れない体にされたんです。内臓がズタズタだったらしいです。
今までの追放でも多少の暴力はありましたが、今回は質が悪すぎました。
私がこれまで経験した追放トラブル、そのほとんどが女性の加入によるもので、冤罪のでっち上げでした。
大体が私が新人に苛めをしたという内容で、クエスト上男性が多いパーティに所属していたため、ほとんどのパーティメンバーがその女性のことを信じてしまうという流れになってしまっていたんです
「うーん、そんな簡単に信じるものでしょうか?
奇妙ですね。失礼ですが、ポプコンさんの態度にも問題があった可能性は?」
ーー最初は私も、ズバズバ物を言う性格だからかそれでこのようなことになったのかなとも思いました。だから、その辺を直そうと努力したんですが。
「原因は別のところにあったと」
ーーその通りです。十回目ともなると、フラグが立つ感じと言うか不穏な空気がわかるようになるんですけど、ようは、そんな感じで嫌な気配がパーティ内に出始めたんです。
その時にこの企画のことを知り、応募しました。
ちょうど良いかな、と。
ただ、ちょっと読みが甘くてこんなことになってしまいましたが
「いや、笑い事じゃないですよ! えっとお身体のほうは、その」
ーーいまだに気圧の変化とかで痛みが出るし、子宮を取っちゃったんでホルモンバランスも崩れて情緒不安定になることも多いし
「気安くきいてスミマセン」
ーーいえ、私のことを参考にしてもらえればそれで良いんです
「さて、ここで動画によせられたコメントを紹介したいと思います。
『なんか某ゲームやマンガの二次創作で見る嫌われネタと乗っ取り系みたいですね』。
核心をつくコメントありがとうございます。
そう、様々な事情で行われる追放ですが、一部で冒険者パーティの乗っ取りによるトラブルが出始めているようなのです」
ーーえっと、乗っ取り系というのは?
「ご説明させていただきます。
嫌われネタというのは、前回の実況で紹介した悪役令嬢の追放関連になります。この中に乗っ取り系も含まれていますね。
ぽっと出の他所の人間に、今まで主人公と親しくしていた者達をなんらかの方法で陥落させ唯一陥落しない主人公を暴行させて追い出す、というネタです。
十年くらい前から二次創作界隈で時おり流行っているんですよ」
ーーなるほど。でもそれはお話として、ですよね? 現実でそんな事されたら私のように大事なものを失ってしまいますよ
「その通りです。
『最近は現実と物語の区別がついていないバカが増えた気がする』
【今時の若者理論】は昔からあるので、気にしたら負けです。
『前回は復讐があやふやになったから、今回はどぎついの期待』
あははは。あまりどぎついのは放送できないので仕返しレベルですけどね。
『エステルたんhshs』
これは無視しましょう。
『どんな冤罪だったのか知りたい』
苛めをしたという冤罪でしたが、詳しく聞きたいと言うことでしょうか?
ポプコンさん、答えられる範囲内でコメントよろしいでしょうか?」
ーー詳しく、ですか。まぁ弁明しようと思えば簡単に出来る冤罪疑惑でしたね。
私が、その新人を強姦したという冤罪でした。
いや、まぁ同性同士でそういったプレイがあるのは知っていますが、あいにく私には異性同性の恋人はいませんし
まぁ、女の子を性的に暴行する知識自体基本無いですし
「『大学のサークルの飲み会だと気に入った子をお持ち帰りするために、飲み物に薬混ぜるってきいたことある』
それ犯罪じゃ。
『で、お持ち帰りした子に乱暴しても、強姦の罪に問えないってきいたことある』
いや、だから犯罪ですって。え、罪に問えないってマジ?
『合意とみなされることがほとんど』
薬を不意打ちで飲ませられて、動けない状態にされてるのに?
男性としての一意見ですけど、世の中くそだなと言わせてください。
『本当かどうかはわからないけど、学生時代にそういったことした人たちが社会の上、一流企業の上層部にいたりするみたいなことはきいたことある』
怖いですね。ある意味底辺で良かったです。
『ハーレムとかだとぶっちゃけ女性をオ○ホ扱いだしね』
放送禁止用語やめぃ」
ーー世の中クソゲーだな
「コメント紹介はまたあとでやるとして、話を戻しますと、ポプコンさんは強姦という罪をでっち上げられたというわけですか。
無理ですよね」
ーー無理がありすぎですよ。女の子ですよ私。
「あえてこう言う言い方をしますが、挿入できませんものね」
ーー地上波ではないし、私は気にしないので別に構いません。ただ一つ言いたいのは、ほんとそれな、ということです
「えーと、あ、準備整いましたか!
では、実況を初めて行こうと思います。
まず、今回の仕込みについてご説明しましょう。今回は、件の冒険者パーティに一人仕掛人が潜入して乗っ取りの証拠を掴むという流れになりますね。
仕返し、というか、ざまぁパートは今回録れるであろう証拠映像をもとに後日の動画投稿となりますことをあらかじめご了承ください。
『生放送でざまぁねーのかよ!』
『じゃあもう視聴やめるわ』
『わざわざ後日にするってことは、なにか仕込んでるな?』
前回よりは劣りますがね。仕込みはありますよ。ではここで待機中のゲストであり、仕掛人に登場していただきましょう」
ーー映像が、変わりましたね。これは、私がよく利用するギルドの一室、でしょうか?
「えぇ、その通りです。これはとある町の冒険者ギルドにある一室です。
お久しぶりです。エステルさん、この度はご協力ありがとうございます」
ーーカメラに向かって手を振っている、この方は?ピンクの髪なんて珍しいですね。それに、とっても可愛い、腰ほっそ、アイドルでしょうか?
「彼女は、エステルさんと言います。以前、このような企画を立ち上げて成功させた方です。まぁ、アレを成功と言って良いのかは賛否わかれるとは思いますが。
コメントが拍手喝采のお祝いムードになってますね。
彼女の紹介をしますと、転生者です。前世は男、現世は女という女体化転生者ですね。何度かお話していますが前回の悪役令嬢追放、断罪ネタですね、婚約破棄されて追放される役割を彼女は与えられていましたが、色々あってぶちギレ、自分の断罪場面を動画で実況するために暗躍した実力派です」
ーー悪役令嬢、話には聞いていましたが、実力派とかいるんですね
「見た目だけなら、彼女をぶつけるのが適任でしょう」
ーーサダコにカヤコをぶつけるような感じですか
「エステルさん、見た目はあんなですけど、中身は男子高校生のゴリラですから」
ーー自分が一番だと自惚れているあの悪女よりはたしかに可愛いですけど、ほんとですか?
「ここで、前回の動画をポプコンさんに見てもらいましょう。
あ、映りましたね。エステルさん、刺されそうになるんですけど、よく見てください」
ーーおおっ! スゴいですね脇腹で相手の腕の骨折っちゃった。うわぁ。痛そう
「彼女が実力派という意味がわかっていただけたでしょうか?」
ーーえぇ、なるほど、ゴリラですか。可愛らしいゴリラですね
「さて、エステルさんにはいくつかのミッションが与えられています。
まず、今回の悪女を挑発すること。もう一つは証拠映像を撮ること。
そして、随時こちらの指示に従ってイタズラをパーティメンバーに行うこと」
ーーどっきり番組みたいですねぇ
「ギルドの幹部の方々も、ここらでテコ入れをしたいということで協力をしてもらっています。ギルドの方でもポプコンさんのようなトラブルを訴える人が多くて、でも証拠が掴めずに動けなかったようです」
ーー基本、被害者が訴えても客観的な証拠がなければ動けないですからね。でも、そっか、私だけじゃ無かったんだ
「あ、そうだ。今回の映像はこのために開発した、チートスキルでも察知されない特殊な魔法術式を使って撮影していますが、混乱するのでカメラと呼称していきます。察知されないので、エステルさん以外には現場の者には見えていません。
と、ここで誰か部屋に入ってきましたね」
ーーパーティ、リーダー、ですね
「ポプコンさん、大丈夫ですか? 気分が悪くなったらすぐに言ってください」
ーーガーナさんや他の方だと大丈夫だったんですけど、やっぱり映像でもちょっとストレスを感じるみたいです
「無理はしないでください」
ーーありがとうございます。でも、あえて言いますけど恨みと憎しみの方が強いんで、最後まで見届けたいんです。
本当は、あそこには自分がいるはずだったのに
「まぁ、これも廻り合わせというやつですね。
実況を続けましょう。
リーダーさん、他のパーティメンバーを部屋に招き入れ、エステルさんを紹介します。
おや、もしかしてこの女性でしょうか?」
ーーえぇ、悪女です
「見目麗しい、しかし股間にはきったねーものがぶら下がっている男性中心のパーティの紅一点である美少女が天使の笑みでエステルさんに握手を求めてますね、おや? 手に何か光ものが、針にもみえますね、と、さっそく新人に洗礼を施すようです。一方エステルさん、にこやかに握手に応じる。
べきごきん? なんか変な音拾いましたね」
ーー悪女から、下品な声が出ましたね
「どうやら、エステルさん一瞬悪女の骨を粉々に砕いてすぐ修復させたみたいですねぇ。彼女、魔法の腕あがってませんか?」
ーー怪我をさせられたと、すぐにリーダーにチクってますね。こうやってジワジワ攻められたんですよ
「エステルさん、可愛く首をコテンと傾げています。
悪女の顔ヤバイですね。パーティの男性陣はエステルさんに気を取られて気づいてませんが、遊戯王の敵キャラの顔芸並みにヤバイ顔してますね。
顔の筋肉どうなってるんでしょう? 私、気になります!」
ーー鬼とかいうレベルじゃないですね。というか握手で相手の手の骨を砕くってそっちがヤバイですね
「まぁ、彼女の場合追放されたらレスラーになるつもりで体を鍛えていましたから」
ーーあの細い腕で、体も華奢なのに
「着痩せするタイプらしいですからエステルさん」
ーーあと、彼女、転生者ってことは前世の記憶引き継いでるんですよね?
「人格はまんま前世のやつみたいですね」
ーー中身男にしては慣れすぎてませんか? 動作とかまんま女性じゃないですか
「体は女性ですからね」
ーーいや、そういう意味でなくて
「おっと、どうやら早速クエストに行くようですね。クエスト内容はモンスターの討伐ですか。まずは新人の実力を見るようですね。
と、去り際にエステルさんに悪女がなにか呟いた!
なんでしょう? あ、拾えてますか? 流してください」
《調子のんなよブスが!》
「小学生の悪口でした」
ーーいや、大人でも多いらしいですよ。こう言う言い方
「中傷になるので、エステルさん被害届け出せますね。
エステルさん、ちょっと仕掛けて見ましょう。
まずは、軽くジャブを」
ーー蛇が召喚されましたねって、これ猛毒の蛇じゃないですか!
「蛇の毒って、傷口から入って血を固まらせるらしいですよねー。まぁ、異世界は不思議な
アイテムと治癒と回復魔法があるんで、死なないですよ」
ーー悪女、泡吹き始めましたよ!!?
「ギルド内は騒然としてますね。大丈夫ですよ。それじゃエステルさん、悪女を助けてやってください」
ーーあれは、ポーションでしょうか?
「ちょっと特殊な品です。まだ数が確保できなくて希少なんですけど」
ーー普通のポーションじゃないんですか?
「お酒です。とあるレアモンスターを清酒に漬け込んだやつですね。
おや、解析班からのコメントがあがってますね、せっかく濁したのに。
『ヤマタノオロチ酒w』
『どんだけ稼げば気が済むんだ、あの馬はwww』
『他の道具出てくるの期待』
一部では有名アイテムですからねー、一般的にはまだ出回ってないですけど。
悪女、一命をとりとめましたね。さてパーティメンバーから称賛されていますね、いわゆる主人公SUGEEE状態ですね、主人公ageともいいます」
ーーいっきに株が上がりましたね
「おや、エステルさんゲス顔です。悪女にしか見えていないですがかなりのゲス顔を浮かべています!
アドリブですね、エステルさん、悪女に一言」
『性格ドブスが、調子のんじゃねーぞ?』
「完全に悪者の顔ですね!」
ーーこれが、断罪を乗りきった悪役令嬢!
「悪女、パーティリーダーにエステルさんに殺されかけたと訴えます。
しかし、毒で錯乱したと思われた模様」
ーーギルドの職員さんが蛇を回収。捕獲クエストで捕まえたものが逃げ出したという説明してくれていますね、ここまで協力をしていただけるとは
「社会や会社で生き抜くには根回しが大事ですから。
さて、悪女の方もバカではないですね。ゴネて立場を悪くするよりもエステルさんに表向きのお礼を言っています」
ーー悔しそう
「男女関係なく、プライドを傷つけられるのはこたえますからね。
倍返ししてやる、と悪女の顔に書かれていますね。怖いですねー。
落ち着きを取り戻した悪女は深呼吸をしました。
男性陣の気遣いを受けとめ、流し、悪女はがんばる女の子アピールですねー。
うーん、自分は好みではないんですが、若い子はこういうあざとい系が好きなんでしょうか?」
ーー好みだと思いますよ
「クエスト依頼のために移動するので、続きはしばしお待ちください」