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人気のゲームには死は付き物!?  作者: 稲荷 里狐
5/5

4話 クエスト準備

 分析器の一件の後、身支度を終えたミラさんとギルドを出るとそこには多くの冒険者が待ち構えていた。

 (まだいたのか。良くある勧誘か?)

 案の定そうだったのか、冒険者たちは自分のたちのパーティーに入ってもらいたいのか一斉に勧誘してきた。

 「俺たちのパーティーに入ってくれよ」

 「いや、俺たちだ!」

 「いいや、私たちのパーティーに入ってもらうわよ」

 僕の目の前で争いが起きているが、もう既に自分もパーティーを組んでいるので参加できないと言おうとすると、ギルド内から凛とした声が聞こえた。

 「そこで固まるな。邪魔だ!」

 後ろから古めかしい口調が聞こえたかと思えば、さっきまで争っていた冒険者たちが散ったかと思えば誰かが言った。「この国最強が来た」と。

 その言葉に驚き振り返ると、1人の黒髪の女の子が立っていた。

 「えっと、どちら様?」

 「君でしょ?分析器でありえない結果を出したのは?」

 「そ、そうですけど……」

 「少し話があるんだけど来てくれる?そこの君も一緒でいいから」

 「ミラさんはいいかな?」

 ずっと隣にいた唯一のパーティーメンバーのミラさんに聞くと首を縦に振った。

 黒髪の女の子につられて来るとそこは国の中にある宿の一室だった。

 「適当な場所に座って」

 「お邪魔します……」

 ベッドに腰掛けると黒髪の女の子はバッグから一枚の紙を広げ見せてくれた。

 そこには「WANTED!!」の文字と凶悪そうなモンスターの顔が絵が描かれていた。

 「それはクエスト用紙か?」

 「そう!私はこのクエストに行きたいんだけど、行くには条件として2人以上のメンバーが必要なの……」

 「それで俺たちか。受けるのはいいけど、あなたの情報が欲しい。まだ自己紹介だってしてないだろ」

 俺の指摘にやっと気づいたのか女の子は顔を赤くしながら自己紹介を始めた。

 「私の名前はクロエと言う。職業はシーフ。使用武器は短双剣と煙玉などのアイテムだ」

 「俺の名前はカルト。職業はバーサクマジシャン。使用武器は剣と杖」

 「わ、私の名前はミラです……職業は白魔導士です。使用武器は杖です」

 簡単な自己紹介をし、クエストの内容を聞くことにした。

 「ええと、クエスト内容は森に潜むワーウルフの討伐。注意事項に複数の敵の存在あり。報酬は300G」

 「お願い!君たちにしか頼めないの!」

 クロエさんは頭の上で手を合わせて頼んできた。僕はお金が手に入るし新しい魔法が打てるわで正直なところ行ってみたいところだけど……

 隣に座っているミラに視線を向けると、何やら決まずそうな顔をしていた。

 「どうした?苦虫を潰したかの顔をして」

 「い、いえ。少し昔のことを思い出しただけです。……クエストはカルトさんが良いのなら私もいいです」

 承諾を得たクロエさんは子供のような明るい笑顔になったかと思えば、バックから一本のペンを取り出した。

 「紙の裏に職業と名前を書いて。これが、クエストの申請の仕方だから。出すのは私がしておくから」

 そう言われ僕たちは名前を書いてクロエさんに返した。

 「それじゃ、明日の8時にギルドの入口で!」

 元気よく出て行った後、部屋にはミラと2人にきりになった。

 重たい沈黙の中、僕が話を切り出すとミラは肩をビクッと揺らした。

 「今日、寝る場所なんだけど。今から部屋を借りるのはあれだし……」

 部屋の備え付けの時計を見ると時刻は既に23時を越えていた。

 「そ、そうですね!わ、私はギルドに戻って寝ることにします!」

 「ちょ、ちょっと待って!」

 「え?」

 ミラは慌てながら首をかしげる。

 「今から外に出るのは危険だと思うんだけど……それに、街には僕とパーティーを組んでいるのだって知れ渡っているわけだし……」

 「じゃ、じゃあどうすれば……」

 「ベッド使っていいから泊っていきなよ」

 急な泊ってけ発言に耳まで赤くするミラはベッドと僕の顔を交互に見た。

 「か、勘違いしないでな!い、一緒に寝ようとかそういうことじゃないから。僕は椅子で寝るから」

 「で、ですよね~変な勘違いをしてすいません。お言葉に甘えてベッドを使います」

 そう言ったミラは荷物を持ってシャワー室に入って行った。中からは布がすれる音がした。その音に心臓をバクバクいわせながら待つとすぐに出てきた。

 「あ、あまり見ないでください……」

 恥ずかしそうにもじもじするウサギ柄のパジャマを着たミラはすぐにベッドに潜ってしまった。

 「カルトさん。おやすみなさい」

 「あ、うん。おやすみ」

 明日のことに関して話をするわけもなく床に着かれてしまったわけだが、イタズラするわけもいかず大人しく寝ることにした。


 

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