真夏の夜の機械人形
「冗談じゃない!」
私は叫んだ。
私は、今年で三十の会社員。
ごく普通の一般人である。
「どうしてこうなった!?」
とんでもないことである。
なにせ、現在街は大騒ぎだ。
深夜、なぜか街が火に包まれた。
そして・・・
「奴ら」が襲ってきた。
最初、誰もがこれを「等身大の人形」だと思った。
しかし、炎の照り返しで見ると、これがゴシックロリータ風の服を着た陶器人形だとわかった。
ウイーン・・・
ギギ・・・
「「「!!!」」」
よく観ると、動くたびに可動域からワイヤーやらシリンダーやらがはみ出る!
「・・・なんだコレは!?」
「人形の皮を被ったターミーネ○ターかよ!」
まさにそんな感じだ。
唐突に・・・
がぶり!
一人の人間の首筋に、「人形」が噛み付いた。
そのまま、筋肉、気道、食道ばかりか骨まで食い尽くす・・・
ごとり・・・
「被害者」の首が落ちる!
言うまでもあるまい・・・
即死である・・・
「く・・・食っちまいやがった!」
がぱッ!
「人形」たちの、「皮膚」が可動して、鋼の牙が剥き出しになる・・・!
「こ・・・こいつら・・・」
阿鼻叫喚である・・・
この「人形の皮を被った機械人形」は、人間を生きたまま「食って」いるのだ!
中には、腹を破られて臓物を食われている現場にも出くわした。
どうすればいいのか・・・
もし、私が武器なり何かの力なりがあれば、立ち向かうなり強行突破して助けを求めに行くなりできるはずだが、あいにくそんなものはない。
「う・・・うわあああああッ!」
私は、目を覚ました。
そこは、見慣れた私の家の自室・・・
「ゆ・・・夢か・・・」
心臓の鼓動が早い・・・
汗をびっしりと、かいている・・・
暑かった・・・
そうか・・・
どうりで、こんな夢を・・・