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少女
澄んだ蒼い夜空では、小さな輝きたちが唄を歌うように瞬いている。
先ほどから月は雲に隠れてしまっているが、それでも夜道を行く者を絹の衣で包むように優しく、そして温かく照らしている。
そんな輝く夜道では、その光たちを吸収しつつも、辺りにその光を分け与えているかと錯覚してしまうほどの、綺麗な銀の髪を持つ少女が歩いていた。
彼女の周りでは、水の流れを思わせる不思議な光が、少女の足取りに合わせて、ゆらゆらと形を変えていた。
その光景は見る者の心をひきつける、不思議で、温かい魅力に満ちていた。
少女はふと、足を止めて、ある一点を見つめていた。
そこには静かで不思議なこの光景が似つかわしくない程に目を腫らし、口を大きく歪めて倒れている、変わった服装の少年がいた。
少女は彼に近づくと、その目に僅かに残る涙のあとを優しく拭う。
そして
「よいしょっと」
と、少し情けのない声を出しながら、眠っている少年を抱えた。
少女は来た道を戻り、街の宿屋へと彼を連れて行った。