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一章 他が為にあらんことを

 接し方を間違えたように思うのは些か甚だしい限りだけど、でもファーストコンタクトとしたらまぁ及第点であろうことは、まず間違いないだろう。

 寧ろコレはお約束とでも言った方が正しいかも分からないが、しかしと言うか矢張りと言うかそのあ後の展開も予想出来うる範囲には含まれていたのは事実である。

 その為次に吐くセリフの簡潔さ加減には一同言葉を失うだろうが、そんなことは眼中にはない。だから、僕は出会ったばかりの少女にこのように言ってやった。


「おっぱい触って申し訳ありません!!!」


 言ってやったなんて、まるでどっかの物語の主人公よろしく格好を付けたもの、言っていることは単なる謝罪だ。

 それもあろう事か女子の胸を触っての謝罪だ。

 もう恥ずかしいの何のって…穴があったら掘り進んだ挙げ句、ブラジルに出てしまって男女の操と出くわしたような感じだ。

 些かあれだと言うのは単に動揺してるからに置いて他には無い。あろうはずがない。

 人生初だ。おっぱいを触るなんて。

 出会い頭の突発的な事故とはいえ、高校生のうら若き男子としては余りにも虚を突かれて取り乱したことに一変の悔いなんてない。

 そんな中、第一声が謝罪の一言であることに自分自身驚いている。

 正直言おう。今僕の頭の中はおっぱいに占領されている。イヤ占領されてるだけならまだいい。これはもう完全に植民地だ。偉大なる帝国各位に捧げる供物の為に身を粉にして頑張る姿がそこにはあるのだ。

 ただそれに触ったが為に。己の固定概念の崩壊とともに新たなるアイデンティティの誕生による植民地支配が始まったのだ。

 おっぱいが為に。

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