序章
僕にとって「親しき隣人」と問われた時、まず最初に思い浮かぶとしたら僕自身と答えない訳にはいかない。
と言っても誤解無いよう言わせて貰うと、僕は決してナルシストの類とは違う。断じて違う。
まず前提から考えてみよう。
「ナルシスト」と一概に言うとまず誰しも頭に浮かぶ物として「自己愛」であると思う。そもそも自己に置ける愛とは自らの、どの部分に感じ受けるものだろか?
この場合、身体だったり心だったりするわけで、そのどこか一部分が他に勝るとも劣らないイニシアチブ形成にどの様に絡んでくるのかが重要だと僕は考える。
ただしかし、現実問題それは当たり前に持っている物の自己が認識するまでに至らない、最下層の沈殿物に他ならいのである。
自分の形成要素なんてそんな当たり触りの無い、それこそ何も無い何かから必死になってかき集めている無様さが目に浮かぶ。
滑稽な話だ。
仕方ない話しだ。
そんな中で語る事は一つだ。
当たり前じゃない現実は、自己欲に置ける最大の娯楽に成り上がる。供物を与えた獣物が神に祭り上げられたり。兎に角ある種の上位に立つことは、きっと誰よりも自分の形成する自己を確立していかなくてはならない。
それは誰よりも自分を戒める呪いのようなものだ。
自己愛なんてそんなものだ。
呪い呪われ殺される。恐怖の連鎖だ。
僕にそんな勇気は無い。僕にそんな希望は無い。
だからこそ、僕は自分自身と向き合えたのだ。
そんな自分だから愛おしいと、少なくも僕は……。