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空と海を継ぐ者 神も仏も居るんです  作者: 平木 ナヲル


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旅立ちの章  その3

空と海が菊理媛の話を聞いていたのと同じ時、優は闇に包まれ地の底を彷徨さまよっていた。


「どこだ、ここは…?」


その時、地の底から低くうごめくような女性の声が響いてきた。


且方そなたの連れは、厄災を封印する天命を受け、異世界に召喚された」


「だが…あの者たちのレベルスキルでは、厄災の封印は困難を極めるであろう…」とその声が冷たく言い放つ。


すると、「はいはい〜…純真な若者に対して、何を怖がらせているのかな~」と軽薄な男の声が割って入る。

「厄災の封印に失敗して、『島喰い』が目覚めでもしたら、困るのはアンタ達も同じでしょうが…」と、少し間を置く。


「手駒は多い方が良いでしょ?手土産を渡して、ちゃちゃっとこの男をあちらの世界に送ってもらえませんかね〜、イザナミ((1))



「ふん、妾の冥界めいかいの力を使い、天を出し抜くとは、相変わらずさかしらな奴。じゃが、あの世界では天の力が無くば、邪鬼にすら敵わぬが…」と言いかけると、「ワハハハハ!!」と楽しげな笑い声が大地を揺らした。


「なるほど四天( (2))を丸め込んだか…帝釈天がまた怒り出すぞ!」とイザナミの笑い声が収まり、闇と共に優が地上に動き出した。




地上に出た優の手には、いつの間に手にしたのか、一振りのつるぎが握られていた。

呆然と周りを見渡すと、少し離れた場所で、たくさんの剣士達が邪鬼と呼ばれる魑魅魍魎と戦っている姿が見えた。


「おお~、ここが異世界か」と優が感慨深げにつぶやくと、優の目の前に一人の行者が現れた。


「坊やの連れはあそこにいる」

慌てる優に「慌てるなって。まずはこれに着換えろ」と行者装束ぎょうじゃしょうぞくを手渡す。


そして2枚の御札を優に手渡した。


「この護符は、前鬼せんき後鬼ごきを呼び出す。ただし、前鬼も後鬼も、お前さんのレベルの分しか力は使えないからな!」


「それと、仏身一体でお前さんが召喚できるのは、今は八部鬼((3))だけだぞ!!」と片目をつむる。


「仏身一体とは?」と優が訊ねると、その行者が優に何かを告げ、「そろそろ、お前さんの仲間が危なそうだ。早く行ってやりな」


「貴方の名前は…?」と優が訊ねると、「俺のことは、小角おずぬと呼んでくれ」と言いながら、その姿が地に潜るようにかき消えた。



ーーーー



海は薙刀を構え、小鬼の群れと対峙していた。

体長1メートルにも満たない小鬼の手には棍棒が握られ、その口に生えた牙を見せながら嫌らしく海に迫る。


『ラノベで言うゴブリンってやつかしら』と、ネット小説を思い出す。

「残念だったわね!薙刀は貴方達みたいな小鬼が1番得意なのよね!!」と、鋭く刀身を振りかざし小鬼に切りかかる。


『凄い、この薙刀!切り捨てた小鬼が光になって消えていく!!』

菊理媛より渡された装具は、御仏の加護により魑魅魍魎を切り裂いていく。



すると、突然後ろから強い衝撃が海を襲った。

「キャー!」と小さな悲鳴をあげ、顔を上げると魔狼が牙を剥き、海を睨んでいた。


慌てて薙刀を構え直すが、魔狼の素早い動きに薙刀の切先は間に合わず、鋭い爪が海に襲いかかる。


『やられる…!!』と、海が目をつむり、その場にしゃがみ込んだ。

しかし、来るはずの衝撃は無く、海はそっと目を開いた。


「戦いの最中に、目をつむってしゃがみ込んだらダメだぞ!!」

そこには、魔狼を切り伏せた優の姿があった。


「兄貴…助かった!」と薙刀を構え直す。


優が持つ剣に切り伏せられた魔狼は、その姿が黒い霧となり、その場から消え去った。

『これが、イザナミ様の加護の力か!』と、その剣を力強く握りしめた。


いもうとをいたぶる奴は、俺が叩き斬る!!」




菊理媛の的確な指揮と、優と海の活躍により邪鬼の攻撃を凌いだかと思った時、新たに無数の骸骨と、その奥に一際巨大な骸骨が現れた。



その巨大な骸骨が、「オデは絡新婦じょろうぐも様のいち下部しもべ餓舎髑髏(がしゃどくろ)なり!異世界の修験者どもは、オデが叩きのめす!!」


「ここは俺に任せろ!」と優が前に出た。


「無茶だ!兄貴…」と引き留める海に、余裕の笑顔を見せて、懐から二枚の護符を取り出す。


いでよ…前鬼!後鬼!!」と優が護符を掲げると、護符に黒いモヤがかかり、そのモヤの中から飛び出したのは…


「我は前鬼せんき前鬼せんき戦鬼せんきなり!!」

「妾は後鬼ごき後鬼ごき護鬼ごきなり!!」


と、颯爽さっそうと赤鬼と青鬼が顕現した。






その姿を見た海が…「きゃー可愛い!!」と、前鬼と後鬼をその腕に抱きしめた。




用語解説  基本的にはWikipediaを参考にしています


(1)【伊邪那美命イザナミノミコト

伊邪那岐命イザナギノミコトの妻で、大地の神であり、冥界の女王でもある。

伊邪那岐命と共に矛で海をかき混ぜ、自凝島オノコロジマを作り、その後日本を作った国作りの神。


(2)【四天王】

帝釈天に仕え、世界の四方を守護する四体の天部

持国天じこくてん: 東方を守護

増長天ぞうじょうてん: 南方を守護

広目天こうもくてん: 西方を守護

多聞天たもんてん: 北方を守護


(3)【八部鬼衆はちぶきしゅう

四天王に仕え、仏法を守護する8つの鬼神

乾闥婆けんだつば - 持国天の眷属けんぞく

毘舎闍びしゃじゃ - 持国天の眷属

鳩槃荼くばんだ - 増長天の眷属

薜茘多へいれいた - 増長天の眷属

那伽ナーガ - 広目天の眷属

富單那ふたんな - 広目天の眷属

夜叉やしゃ - 多聞天の眷属

羅刹らせつ - 多聞天の眷属



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