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次はお前

突発的に思い出された記憶にのまれた。


「思い出したか?」


水面に水滴をひとつ落としたかの様に雲雀の声が響く。

雲雀を見るとそこは、よくも悪くもないいつもの俺の部屋だった。

「今のは」

「我のお陰だぞ。」

ニタニタ笑いながらこちらを見ている。

「次はお前だぞ。孫兵」

「安心しろ。この我が直々に守ってやるから」

「はっ。お前がこの事の原因だろ」

トンネルの事も、エレベーターの事も、おばあちゃんの所で起きたことも。

急にニタニタ笑っていた雲雀は真顔になってから口を開いた。

「山の事以外は偶然じゃ。

我は元々神ではなく山神の代理だ。もう何百年と番を勤めていた。

戦争が起こる前の時だった。

人間どもは我の山に厄介なものを封印させた。

そこから我は情けない話だが、怯えて暮らしていた。村人を守るために入らせない。これができるただ唯一の方法だった。」

「なんだよ。お前が山に呼んだんじゃないか!」

「我は力及ばず、小僧。お前の侵入を許してしまった。その時我にできるのは、お前を山から出すことだけだ。」


「奴はお前に目を付けた。奴自体は山からは出ることができない。だから奴はお前を山に入れた。

我はお前を山から引き出したが、奴の目から逃れられたわけではない。その為、奴の目からお前を隠す必要があった。

そこで、代理になったのがお前の祖母だ。」

「おばあちゃん」

「奴は上手く死ぬまで騙されてくれた。

だが今気づかれている。もう隠しようがない。」

つまり俺が急にオカルト体質になったわけではなく、そういった事からおばあちゃんが守ってくれていたからそういった事に出会わなかったのか。

「状況がよくわかんねぇ」

「俺は何者かに狙われてていいままで元気に生きてこれたのはおばあちゃんのおかげだってわかったけどよ。これからそうするってんだ。

お前が言ってる奴は山から出てこれないんだろ?なら心配ねぇじゃないか?」

雲雀は呆れたようにため息をつく。

「その山が開発で崩されたんじゃ」

「つまりそいつは自由の身になったってことか。」

「そうじゃ」

「今こうしている間にもそいつは俺を探してるってことになるのか」

「探してるどころじゃないじゃろうな。だから我がでてきたんじゃ」

雲雀は自分の足元に転がっている小さな四角のストラップを拾い上げて俺に差し出す。

「いかなる時も身につけよ」

俺はストラップを受け取り、雲雀は光となって散ってしまった。

「お、おい!どうすんだよ!」

お前は狙われているとだけ伝えて消えた雲雀。なんの対策も教えてくれなかった。

「なんなんだよ」

手元の残ったのは小さな四角のストラップ。

到底どうにかできるとは思えない。

俺はとりあえず、散らばったカバンの中身を片付けてまた眠った。




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