瘴気だらけの魔王城
さっき魔王城に向かったばからの冒険者達だが、もうぼろぼろになって戻ってきた。
「随分早く戻ってきたな」
「いや……魔王城の魔物は桁違いで……それに瘴気が濃くてこちらの体力も魔力も勝手に減っていくし……なんとか少し残しておいた魔力で転移して戻ってきたんだ」
「あー…そうだった」
魔王城の中は魔王が倒された後も瘴気が発生し続けていた、カーター達が魔王城に入った時もそうだったが、カーターも浄化が使える上に仲間内にもう一人浄化が使える者もおり、更にベニスは何らかのツテを使って超貴重な聖水で作られた結界水なるものを持っていた。
「ベニス、あの結界水ってやつはまだあるか?」
「いや、悪いがあれはあの時特別に作ってもらったんだ」
「そうかー……」
カーターは頭を抱えて悩むが、ベニスはその姿をにやつきながら見つめ、彼の方に手をおいた。
「やっぱりお前さんが行くしかないんじゃないか?」
「えー……勘弁してくれよ…、俺はここで何も考えず自由な生活がしたいんだって……」
そのやりとりを見ていた冒険者達はカーターの前に座り、すがるような目をしている。
「あなたは呪いも毒も瘴気も浄化してしまうと聞いている、でなければここに住む事等不可能だ、どうか私達に同行してもらえないだろうか、もちろん戦闘まで参加しなくても良いから!」
「えー」
「カーター、覚悟を決めろ」