おっさんは元勇者
とある山奥で自給自足の生活をしている渋めの男、名はカーターと言い、元勇者である。
五年前に仲間達と共に魔王を倒したカーターを待っていたのは自分達を縛りつけようとするお偉方。
爵位も断り、お偉方の娘達との縁談も断り、じゃあ王都に豪邸をと言われても断り、じゃあなんならいいの!と半ばキレ気味の国王に聞かれ、カーターが欲しいと言ったのは魔王領だった。
カーターは、魔王がいなくなったら平和になるんじゃない、魔物で一番強い奴がいなくなっただけ、すぐまた別の奴が魔王になって人間の所に攻めこんでくるだけだ、そしてそれを防げるのは自分だと国王に伝えると、国王や貴族はしぶしぶ認めた。
そして現在、カーターは自由な生活を満喫、40過ぎたが独身生活が楽しすぎて未だ独身である。
煩わしいお偉方から離れたが、誰も訪ねてこないわけではない、仲間だった者達、それに旅のサポートをしてくれた商人のおやじ、それとSランクの冒険者がダンジョンと化した魔王城に挑みに行く際にカーターの家をたまに宿代りにしていた。
そして今日も、冒険者達がやってきた。
「すまないが、一晩泊まらせていただきたい、差し支えなければ食事もお願いしたいのだが」
「ああ、いいよ」
次の日、冒険者達と入れ違いに商人のおっさんがカーターの所へと物資を届けにやってきた。