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【ヤル気のない冒険者のヤル気のない日常】  作者: ばてぃ~
第1章【ヤル気のないおっさん、周りにウザ絡みされる。】
7/23

7・【舞姫だって当たり散らす事はある。】


「おっさんの・・・バカバカバカバカバカバカバカーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


「ガガガァ!!」


「ギャ!グアァァァ!!!」


「キャシャーーーー!!!」


ところ変わって『オボロ山』で・・・ラミアは非常に憤っていた。

目についた魔獣を率先して狩っていきながら、とめどないシルバへの罵倒を叫び続けている。

冒険者としては依頼を率先してこなしていくその様は有難いと思うだろうが、魔獣が怯えているその様子からも殺気と怒気を振りまいているその様は異常にも映る。


「おっさんのボケボケボケボケボケボケボケーーーーーーーーーーーー!!!!」


だが当の本人と言えばそんな事を気にする事も無く、幼稚な悪口を吐き出しながら目につく魔獣を応戦などもせずに自ら死地へ出向くかの様に駆け回る。


「おっさんのアホっ!!酒飲みっ!!不愛想っ!!馬鹿っ!!う~~・・・おっさんっ!!」


ラミアがシルバと会話して未だ2日である。

悪口を際限なく言おうとしても付き合いが浅いが為にスラスラ出て来る事は無く、最終的にはおっさんというよく分からない『おっさん』という単語を悪口の様に叫び続けていた。


それでもラミアは【舞姫】という2ツ名を冠する高ランカーだ。

今一つ集中しきれていない状態とは言え★★2(ダブル)の依頼程度に差配される魔獣相手では苦戦する事も無く次々と討伐していった。


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ちょっと休憩しよ。」


ボソッとそう呟き手元の水筒に口をつける。

そして少しばかり高い岩山に陣を取り、今回取得した依頼書に目を向ける。


「・・・・・・良い所見せるつもりだったのに。」


依頼書を再度確認した後、ラミアは思わずそう愚痴る。

依頼書にはこう書かれていた。

『オボロ山に住み着く魔獣の伐採(目標200匹)。※但し、異常個体の目撃情報が有る為に発見次第に討伐若しくはギルドに報告する事とする。(推奨ランク:C+ランク~Bランク)』と。


ラミアが選んだのは★★2(ダブル)の中では難易度の高い依頼だった。

シルバよりも先に来ていた彼女はこの依頼を先に取っていた。

シルバと共にこの依頼を受けてオボロ山へ向かい自分の良い所を見せつけて見直させる。

そしてあわよくばそれで友人として仲良くなれれば良いなという様な下心が若干あった。


だがそんな下心を見透かされたかの様にシルバに拒否されてしまった彼女は、哀しさと共にオボロ山に向かい、そして到着した。

そして魔獣を目にした彼女が抱いた感情は理不尽な怒りだった。


だがそんな彼女も100余りの魔獣を狩った事により一区切りついた今では少し冷静になることが出来た。


シルバは目立つ事を嫌う。

それは昨晩の言動から充分に理解出来ていた筈だ。

それに反して今朝の自分の行動は彼の意に沿うモノではなかったという事に理解が至る。


本来高ランカーは★★2(ダブル)を余り受けない。

それは報酬が★★★3(トリプル)と比べて少ない事も勿論だが、ギルド内では中堅どころが在籍層としては1番多い為、依頼の競争率に配慮しての暗黙の了解もあるからだ。


ラミア自身もその事を理解しているし納得もしている。

だからこそ高ランカーになってからは今まで1度も★★2(ダブル)を受ける事は無かった。


(それでも今回は受けたかったのよね・・・)


何故?と聞かれればシルバと一緒に依頼を受けたかったからだ。

★★★3(トリプル)の低難易度にしても良かったが、平穏を望んでいた彼が渋る可能性は十二分にある。


だからこそ自分が★★2(ダブル)の依頼を受ける事を決断したのだが・・・結果、彼の意に沿うモノではなかったのだ。


「・・・・・・今度会ったら謝ろう。」


シルバは自分の恩人だ。

恩人に対して恩人の意に沿わないカタチで恩を返しても意味が無い。

彼が心の底から望むのならば、今後は距離を開けるべきだ。

寂しいのは自分だけ。

そしてそれは自分の我儘なのだ。


「・・・・・・よしっ!!さっさと依頼を終わらせてギルドに戻って謝ろうっっ!!」


そう自分自身に宣言し、拳を握って思わず立ち上がる。




「キィエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエーーーーーーーーーーー!!!」




そしてその瞬間、上空から魔獣の叫び声が聞こえた。

振り向いたその瞬間、魔獣の鋭利な嘴が眼前に広がっていた・・・

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