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【ヤル気のない冒険者のヤル気のない日常】  作者: ばてぃ~
第1章【ヤル気のないおっさん、周りにウザ絡みされる。】
21/23

21・【おっさんだって辟易する事くらいある。】


「・・・・・・・・・」


結局シルバは報酬を受け取り、10万ダレスのみ受取り140万ダレスをギルドに預入を行った。

そしてそのままもう1つの指名依頼を受ける旨を受付嬢に伝え・・・シルバは死んだ目で先程に来た道を戻っていた。


「最悪だ・・・マジで最悪だ・・・」


どれだけブツブツ言っても、どんなにゆっくりと進んでも目的地にはいつかは必ず到着してしまう。

その様な至極当たり前の事実に対してすら、何で到着するんだよと心の中で愚痴りだす始末だった。



ーーードンドンーーー



「はい。」


「・・・・・・シルバ、です。」


「どうぞ。」


「・・・失礼、します。」


シルバはノックをした後に室内に促され徐に扉を開ける。

扉を開いた先には先程に出会ったばかりのギルドマスターであるサジテリアとサブマスターが立っていた。


「あらシルバ君、どうしたの?」


サジテリアは先程に会ったばかりにも拘わらず、シルバが此処に来た事に驚いた表情を浮かべてくる。

だがシルバはそんな彼女の表情に苛立ちが募っていく。


「報酬1ダレスぽっちの強制依頼にお邪魔しにきましたぁ~!!」


半場自棄になりながらそう口にし、許可も得ていないのにズカズカと室内に入ってソファへ座り込む。

相手はギルドマスターでありながら歴とした貴族なのだ。

にも拘わらずこの様な振る舞いをするシルバを見たならば知らない者は顔面蒼白になりながらシルバを糾弾するだろう。


だが・・・彼のそんな態度をサジテリアどころかサブマスターも苦笑しながら眺めるだけで眉をひそめる素振りすらない。

そして彼らはそんなシルバの態度に苦笑しながらも対面にあるソファーに静かに座した。


「そもそも何だよ、この指名依頼・・・さっきも言ったがこんなもん強制依頼だろうが。」


「だってこうでもしないとシルバ君と会う機会が全く無いじゃない。」


「そうだぞ。そもそも俺達を放置しているお前が悪い。」


1言うと2返って来るやりとりにシルバは辟易とした表情を浮かべる。

彼の持つ依頼書の依頼者はサジテリアだった。

しかも報酬は破格の1ダレスという格安での指名依頼・・・それに加えて依頼内容がシルバにとっては面倒極まりない内容だった。


『ギルドマスターであるサジテリア=クゥ=ルーン及びサブマスターであるハーク=ルゥ=ボーエン』の話相手となる事。尚、指名依頼を断る、又は未達成であった場合はシルバ=エドルは自身の秘密を喧伝される可能性が有。』と・・・


「いやだがな、指名依頼を受けない場合は・・・何て文言、一般の依頼者が記入した場合はどうするんだよ?」


「勿論その時は依頼者を後悔させる様に、ね?」


「そもそも今回の依頼内容をちゃんと読んだのか?『有』としか書いていないだろう?有るかもしれないという意味かもしれないし、有り得る事は無いという意味かもしれないじゃないか?」


「・・・・・・本当、お前らは相変わらず糞みたいな性格してるよ。」


シルバは薄目で睨みつけながらテーブルの前に置かれていた茶菓子を勝手につまんでいく。

そして暫しの間は和気藹々とした時間が過ぎて行った・・・


「ねぇシルバ君・・・ところで・・・()()()の指名依頼受けてたよね?」


「っっ?!ガハッ!!ゴホゴホ・・・」


サジテリアは突如場の空気を変えて突然そう言い放った。

そして突然そう言われた事に動揺するシルバに向かって顔を鼻先まで近づけていく・・・


「ねぇどうして?何であの女狐?雌猫?性格悪いアバズレの依頼を受けたの?私の指名依頼なんて今日まで一度も受けてくれた事ないよね?ね?おっぱい?やっぱりシルバ君もおっぱいが良いの?私だって小っちゃい訳じゃないの。ただホルスタインには勝てないだけなの。その分私の方がシルバ君の事を考えて行動しているの。そもそもアイツの居酒屋にはマメに通ってるよね?私と最後に会ってくれたのいつか覚えてる?1年と152日だよ?時間まで言った方が良い?時間まで言うと束縛気味かなぁと思ったんだけど言った方が良いのかなぁ?詰まりは1年152日間私と会わなかったのに何でアイツとは逢ってるの?何で?ねぇ何で?ねぇねぇねぇねぇねムグッ!!!」


「一気に言われ過ぎて処理できん。・・・事情は説明するからちょっと黙れ。」


シルバは淀んだ瞳で途切れる事無く言葉を発し続けるサジテリアの口を強引に手で塞ぐ。

そして深いため息を吐いた後にサブマスターの方へ視線を向けると・・・クスクスと笑っていた。

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