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【ヤル気のない冒険者のヤル気のない日常】  作者: ばてぃ~
第1章【ヤル気のないおっさん、周りにウザ絡みされる。】
19/23

19・【おっさんだって想定外の事には動揺する。】


「ギルマス、さっき奴らの罪状の中に通謀罪とあったが・・・?」


シルバがそう尋ねるた瞬間、サジテリアはシルバに対して厳しい視線を投げかける。

先程の弛緩した空気から打って変わった様子に、ラミアは思わず身構える。


「シルバそこまでよ。これ以上聞きたがると言うのなら・・・それ相応の覚悟を持ってもらうわ。」


「・・・失礼しました。」


サジテリアは冷たい声色でシルバにそう告げる。

シルバはシルバで納得したかの様な表情で素直に引き下がる。

ラミアにはそのやり取りの意味が理解出来なかったが、自分が何かを言うべき場では無い事は理解出来た・・・



「ラミア、有難うね。」


「な、ななななな・・・き、急にどうした?!」


ギルドマスターの部屋を離れて開口一番、シルバはそう言ってラミアに頭を下げる。

彼女からすれば、そこまで感謝される意図が理解出来ずに慌ててしまうだけだった。


「御蔭で非常に助かった。なんなら1杯くらいなら奢ってやっても良いと思ってる位には感謝してる。」


シルバからすればそれ位の感謝は至極当然の事だ。

本来であれば日数と労力を膨大に消費させながら得るか、後ろ指さされる様な事をしながら情報を盗むしか活路は見いだせなかった依頼なのだ。


正式に依頼として受領すれば★★★3(トリプル)に差配されていても可笑しくはない・・・その位のレベル難度の依頼だったのだ。

それが【舞姫】と接触した事により、限りなく難易度の低い★1(シングル)レベル難度の依頼並みの労力で達成できた事はシルバからすれば有難い以外の感情が浮かばないのは当たり前だと言えば当たり前なのだ。


「そそそそそうかっ!!わ、私も役に立ててう・・・うれしい、ぞ・・・」


「いや本当に助かったっ!!」


「だ、だったら・・・こ、ここここれからはと、友「これで充分に恩は返してもらったから今後は一切俺を気にする必要はないぞっ?!!じゃ、俺は寄る所があるからっ!!!もしいつか飲みたい日があれば声を掛けてくれっ!!じゃあなっ!!!」


ラミアの必死に紡ぐ言葉を遮りシルバは礼を言うと同時に駆け足で去っていく。

それを呆然とした表情を見送ったラミアは、シルバが居なくなった数分後・・・


「なんだよぉっぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーー!!!」


そう叫んでいた・・・


(いや~・・・マジで助かった。)


ギルドマスターが最後に言った通謀罪という言葉に引っ掛かりは覚えるものの、彼女の言う通り自分には関係ない。

平穏で平凡で平和な人生を望む自分が通謀罪等という厄介事の臭いしかしない事案に関わる必要など無いのだと頭を切り替えてシルバは上機嫌でギルドのホールへ向かっていく。


「お疲れ様。」


「あらシルバさん、珍しいですね?」


ホールに到着した後、シルバはそのまま窓口へ向かい受付嬢に声を掛ける。

ギルドの窓口はランクの上げ下げ、出入国手続き、指名依頼等の特別な事案がないと訪れる必要が無い。

だからこそ普段はシルバが窓口へ訪れる事等は多くはないのだが・・・今回はマダムの指名依頼が入っているであろうから、声を掛ける必要があった。


「いや、さっきギルドに入ったら珍しく指名依頼の色が付いたからね。」


「あぁ、そうなんですね。では少しお待ちくださいね。」


受付嬢はそう言っていそいそと整理されたファイルを確認していく。

シルバはその分厚いファイルを見て、他人事ながら「指名依頼って多いんだなぁ・・・」等と様子を見ていた。


「シルバさんお待たせしました。確かに指名依頼が入ってますが・・・コレは・・・」


受付嬢はそう言って顔を顰める。

確かに何も知らない彼女からすればマダムの依頼内容はギルドを害する可能性がある内容の為、顔を顰めるのも仕方が無いだろう。


「あぁ・・・先ずは一度確認してみようかな?」


受けた瞬間に達成され、150万ダレスが手に入る事を考えウキウキする気持ちを隠すかの様に、表情を強張らせながらそう答える。


「まぁ確かに・・・ではコチラが指名依頼()()()の依頼内容です。」


「・・・・・・・・・ん?」


シルバは一瞬彼女が何を言っているのか理解出来ず、差し出された依頼書を受け取る事なく首を傾ける。


「ですから、指名依頼()()()の依頼内容です。」


受付嬢は再度、そう言って依頼書を差し出してくる。

たっぷり数分、シルバは頭も身体も硬直したかの様に微動だにせず・・・


「はぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?!!!!」


そして突然発狂するかの様に大声で叫びだした。

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