6.11 草薙vs神法
脱出した神法は顔を上げると、そこは中央図書館前だった。
「危なかった。
静史の変化には気づいたが。
まずは石を獲得しよう」
図書館の中に入ると高さ5メートルを超える書架が延々と並ぶ空間となった。
再び別空間へ跳ばされたことがわかる。
「まったく。
今度は皇極か、それとも草薙か」
草薙が書架の陰から姿を現した。
「それにしても凶悪な図書館だな。
上まで本を取りに行って、足を滑らしたら確実に怪我するな」
「心配しなくてもここ来るのはこの高さから落ちた位では怪我をしない人。
ここは俺の戦闘空間の一つ。
落ちたくらいで怪我をしてくれると助かるんですが。
貴方は本に埋まれ。」
神法の左右の本が光り、光線を発するが神法の障壁によって阻まれる。
さらに発光した本が無数に落下してくる。
それらは神法の障壁を通過したが、体に触れる前には破壊された。
当たらなかったものは床に吸い込まれて消えた。
「なかなかやるな。
だが、識者の力を知らないのか?」
「知っている」
草薙の手から一冊の本が現れ、激しい振動が起こる。
「この力は」
神法は轟音と共に強い衝撃に襲われ、数メートル吹き飛ばされる。
「おもしろそうな本を持っているんだな。
流石、館長の息子だ。
その波動、覚えている」
「だからなんだ」
再び波動が起こるが、それは届かない。
「やはり解っていないようだな。
それとも何かの足止めかな?
まあ、どちらでもいい。
そろそろ戻りたいのだが」
新たな本が草薙の手にあった。
「グリモアか」
本が黒い炎に包まれたかと思うと、炎の黒龍が神法に向かう。
しかし突き出された手に当たり、消えていく。
「驚いたな。
ここまで高度な魔法を詠唱なしで行使できるとは」
「さらに本が現れる。強い圧力を発する」
「これは、時空か」
神法にも多少の動揺が生じた。
「いい本持っているな。
渡せば助けてやってもいいぞ。
どうせ、オリジナルではないんだろ」
「・・・」
「渡す気はないか。
では戦利品としていただこうか」
時空の書はグリモアと重ねられ、先ほどのものとは比べものにならない威力を発するが、その魔法もすぐに消えた。
「すばらしい能力だな。
今のはレベル3に達する威力だ。
思わず、識で解除してしまった。
時間がないんだ。
終わりにさせてもらう」
書架の陰から皇極が現れた。
「待ってくれ。
石は渡そう。
昇樹、元に戻すんだ。
もう無理だ」
書架や本は全て消えて、ロビーへと戻った。
荒く息を吐いていた昇樹が倒れ、呼吸も止まった。
皇極があわてて駆け寄る。
「なんて事を。
識の力か」
「苦しそうだったんでね。
楽にしてあげたんだ。
そんなことよりさっさと案内してもらおうか。
彼のせいであまり時間がないんだ」
皇極は神法をにらみ、歩き出した。




