5.18 生命の秘法
隼は帰路、龍雅と話しながら湖畔を歩いていた。
「それにしても二人がそういう関係だったとは。
何で知っているんだ?」
「見てればあからさまだろう。
ファーストに高校生はあの二人だけだし、そういう関係になってもおかしくない」
「そういうものか。
ところでファーストって何人くらいいるんだ?」
「三、四十ってとこだろう。
四十代が一番多い年齢層かな。
年取ると引退するようだし」
「総帥は若かったよな」
「肉体はな。
見た目は三十くらいだが実年齢は五十くらいだ。
静史は二百年以上生きているぞ。
識者の中には千年以上生きている奴もいる。
生命の秘法というのがある。
それに気づけば肉体をずっと維持することができる。
魔術連でそれを使えるのは近藤だけだが、識者はほとんどが使える。
見かけ通りの年齢だと思わない方がいいぞ」
「もしかして、貴流も」
「あいつはお前と同い年だ。
心配するな」
「何で時空総帥はもっと若い肉体を使わないんだ?」
「時空は近藤と同い年だ。
秘法を捨てたんだ。
時空は時空の識を得るために自らの命を限定した。
そして三桁生きる前に総帥となった。
その話はまた今度。
今は明日のことを考えればいい。
明日は識の衝突で本当に明けない夜が来る可能性もある」
「どうゆう事?」
「識の衝突で真理が壊れれば何が起こるかわからない」