5.14 龍雅と神時封真(倉瀬)の能力 現実の力と神
隼は自宅から飛鳥に電話を掛け、神代達のことは解らなく調査するとのことを報告しその後、近所の公園へ行った。
それほど暗くはないが数人しか見あたらない。
ブランコに座っている倉瀬を見つけた。
考え込んでいるように見えて隣に座って声をかけることにした。
「倉瀬」
声をかけると顔を上げたがあまり元気のない様子だった。
「クラスファーストは本部待機じゃないのか?」
「僕は断ってきたんだ。
強制じゃないからね。
僕には仕事があるから」
「そうだった」
会話がとぎれた。
沈黙を破ったのは倉瀬だった。
「順調にいけば隼君が神識を得るんだよね。
得たらどうする?」
「さっぱりだな。
本当に何でもできるならまるで神の様だよなあ」
「僕は継承法で他人の思考を読む能力を持っている。
小さいころは何でもわかって神様のようだと思った。
実際得るとそれは幻の力、現実には何もできないんだ。
それを思い知らされた。
それから僕は現実の力がほしくて魔法を高めた。
ファーストになった。
だけど結局できることはあまりない」
「能力を使えと言え」
龍雅が頭の中で言う。
隼には意味が分からなかったが倉瀬に伝えると納得したようだ。
龍雅が話し始める。
「さっき封真が話したように神時家には他人の思考を感じる能力が伝えられている。お前を介さなくても、封真には俺の声が届くと言うこと」
龍雅は続けて話す。
「人は高くを目指すものだ。
しかし俺は人としての限界を感じる。
それを無視し、より高くを目指す。
止まるのは人らしくないからな。
だがそれ故に様々な歪みが生じ、幾つもの矛盾が生まれている。
無理がかかっているんだ。
人は限られた時を精一杯動く、生きる。
その中で後ろを見るのに十分な時間をとる人は少ない。
俺は識者の優れている点として寿命を持たないせいもあるのだろうが、後ろを見ることができるのもその一つだと思う。
封真も少し休んでみたらどうだ?」
「そうですね」
封真の表情が少し明るくなったように隼は感じた。
「俺は人に限界を与えているものは高等な精神と霊だと思っている。
しかしこれが有っての人だ。
神によって人の限界を定められているように感じる。
神識は人がその限界を超えるためのものだと思っている」
「神は存在するのでしょうか?
僕は教会などへ行くのですが人々は誰も見たこともない神を信じています」
「見えないからこそ、現実でないからこそ信じる人が多いのかもしれないぞ。
自分が完全でないからこそ、人知の及ばない強い力、完全なものを求めるのだろう。
心理について封真と話すと長くなりそうだ。
落ち着いたら話そう。
その時には邪魔者もいないだろうし」
「そうですね」
「邪魔で悪かったな」
封真から笑みが浮かんだ。
「わかっていると思うが神時の能力も現実ではないが強い力を持っている事を忘れるな。
目に見えない神と同じでな」
「神と神識はつながるのでしょうか?」
「さあ。
神識を得たものならわかるかもな」
封真は隼の眼を見る。
「ふらないでくれ。
その話は今度二人っきりでどうぞ」
和んだところで龍雅が佐藤のことや神堂などの動き、飛鳥から聞いたことを尋ねる。
「わかりませんね。
飛龍さんのことは少し前から様子がおかしかったのに気づきましたが」
「能力を使って調べたのか?」
「ええ、だけどガードが堅くてわかりませんでした。
もっと強く発揮すれば読めたかもしれませんが、読んだことを確実に気づかれてしまうので」
「そうか。
敵になればやっかいだし、気になるが仕方ないな」
そのとき信一の声を聞いて振り向く。
方条家のことを聞いて二人は向かった。




