5.6 玲琪と瑶璘、双子の関係 以心伝心
館長室から出た瑶璘と玲琪は自宅へ向かいながら話をする。
「玲琪はどうするの?」
「どうしようかなあ」
瑶璘は悲しそうに語りだした。
「私たちって双子でどんなに離れていても能力で視覚や聴覚を共有できるのに、隣にいても心は通じないね」
玲琪が軽く答える。
「そう?
俺はわかるよ。
瑶璘の心配している気持ち」
「どうだか。
結局、自分を一番わかるのは自分だよね」
「ずいぶん悲観的で瑶璘らしくないな」
「たまにはね」
「だけど医者なら患者自身のことを患者よりも理解している場合もあるんじゃない」
「それは病気やけがの話でしょ」
「まあね。
だけど理解しあおうとすればそれで良いんじゃない。
自分の全てを理解している人なんて居ないだろうし。
識はどうだかわからないけど。
それで少しでも理解し合えれば良いんじゃない。
親しいほどそれが大きいってことじゃないの」
「あーあ、心を伝える能力があれば良かったのに」
お気楽な意見に戻って、玲琪は少し安心した。
「それは怖いな」
「何で?」
「プレッシャーばかり与えられそう」
「そんなことないよ。
楽しい気持ちも共有できるじゃん。
そういう能力ってないのかなあ」
「聞いたことないなあ。
だけど持っていたとしても隠すんじゃないか。
ほとんどの人は心に干渉されたくないと思うし。
考え方を変えればマインドコントロールしたい放題」
「たしかにね。
だけどそんな人がいたらきっと人の心をすごく理解しているんだろうなあ」
「人と接するのが嫌かもしれないよ」
「みんな相手の心が見えたらきっと平和で、こんな世の中じゃないよね」
「あるいはその逆かもね」
「もうっ、さっきから否定ばかり。
やっぱり全然わかってない」
「だけど瑶璘を理解しようと思っているから」
「大きなお世話。
理解し合おうと思ってするような仲じゃ、どうせ長く続かないし。
でもうれしい」
「どっちなんだか」
「あー、やっぱりわかってない」
「だけど瑶璘を理解しようと思っているから」
二人の会話はつづいた。




