5.2 飛鳥の食事 魔術師達の動き
正午になりタイムへ入る。
飛鳥はまだ来ていないようだった。
龍雅が話しかける。
「言い忘れたが方条は神識の得る方法は知らない。
石や封緘についても知らない。
つまり皇極や煌家の事も知らない。
だから話すなよ。
あと、神時家のことも知らないからな。
知っているのは俺の事と神識と二人の封印のことだけ」
「わかった。
ところでさっきの水原の一件は何だったんだあ?」
飛鳥が来て質問の答えはなかった。
「お待たせしました」
「いーえ」
店内は徐々に混んできた。
飛鳥はスパゲッティにデザートを幾つも注文した。
「いつもそんなに食べてるのか?」
「失礼な言い方ねえ。
ただ走るのと違って魔法を使うのは疲れるのよ」
頭の中では
「そうだぞ、お前にはわからないだろうがな」
「失礼しました」
隼は二人に向かって言った。
負けた気がしたので隼はさらにつっこむ。
「ところで朝から何で魔法を使ったんだ?」
「毎日の訓練よ。
新山のためでもあるんだからね」
飛鳥は脅すように言った。
「有難うございます」
よけいなことを言ったことを後悔した。
「それで何が聞きたいの。
時間つくって来てあげたんだから」
「魔術師連盟の動きですが」
「今夜八時にファーストは招集されている」
「それでどうするんだ?」
「もちろん行くわ」
「大丈夫なのか?」
「新山に心配されなくてもね。
明日は戦うつもりもないし」
「止めることはできないのか?」
隼の真剣な顔つきと、意外な質問に飛鳥は動揺する。
「難しいと思うわ。
私じゃ思いつかない。
私もききたいことがあるの。
会長と綺が学校へ来てないんだけど知らない?」
「そう言えば会長を心配していたっけ」
「うん。
二人とも実家に戻っていることになっているみたいだけど、綺とは連絡付かないし、何か隠しているようだった。
もしかしたら何かに巻き込まれているんじゃないかと思って。
わからないよね?」
「うん。今日、中央図書館長に会う予定があるからきいてみるよ」
「お願い。
あと、新山に話しても仕方ないかもしれないけど私の兄も変なのよ。
明日は参加しないって言うし」
龍雅が反応する。
「飛龍が参加しない!
それは変だ。
飛龍は連盟を重視している。
よほどのことがなければ参加するはずだ。
それに識者と戦えるのは実際、近藤と飛龍だけだ」
「それもきいておくよ。
ところで行動の名目は何なんだ?」
「もちろん神識を守るためよ」
「本当は?」
「さあっ、近頃の総帥の考えていることは解らないわ。
識者を嫌っているみたいだから、その辺のことも関係あるかもしれない」
「何で嫌っているんだ?」
「さあ?
こんな事するとは思えない人なんだけどね」
後で龍雅に尋ねることにした。
「何かわかったら連絡するよ」
食事が終わり、飛鳥は隼に連絡先を渡して席を立つ。
テーブルには追加注文された皿やグラス、カップが並んでいる。
「それじゃ、ちょっと用事があるから」
「伝票忘れてるけど」
「はあっ、何言っているの?
男と女で店に入ったら男が払うに決まっているでしょ」
龍雅も飛鳥に同意する。
「そうだぞ。
お前に少し似ているな」
「言ってろっ。
一人分なら我慢できるがこの量だぞ。
そのつもりで食べていたのか」
「これから世話になるんだから払ってやれ」
「なぜ、よりにもよって方条に。
まだ他人に払った方がましだ」
結局、隼は四人分の食事代を払った。




