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4.18 オラクル
地下水路から地上に出るとまだ強くないが光が眼を射す。
封地の柵の中へ進入した。
目の前にある立方体の白い建物はドアも窓もない。
「この中に入るのか?」
「そうだ」
建物の前まで歩いてきた。
「どうやって入るんだ?
と言う意味で聞いたんだけど」
「想えば入れる。
今のお前ならできるだろう」
壁に触れ、目を閉じ、そして目を開けると光景が変わっていた。
直径5メートルほどの球状の水が浮いていた。
建物の中に入ったのだろうと思ったが壁はなく、外の様子がはっきり見えた。
ガラスを通している景色とも違い、景色に反射や曇りは全くなかった。
風が湖岸に生える草とともに髪を揺らす。
「夢界に出入りしたかいがあったな。
俺は最初入れなくて、やっとあの白壁にドアを創ることができたんだ」
隼は球体から目が離せなかった。
水を操る術などで似たようなものを見たことがあったが、それとは違う不思議な感じがした。
その球体に歩み寄り触れる。
意外にも感触は固く暖かかった。
目を閉じ、そして開けると見渡す限りの砂漠に立っていた。
そこが自分の星ということは感覚でわかった。