4.1 夢界の声 火上祭 二人の識者
目を覚ます。時計を確認すると七時だった。
夢のことを思い出す。
「池のようなところを潜っていて、下に建物が見えてくる。
水面の方を確認すると随分と深くまで来ていて、誰だか判らないが二人が潜ってくるのを確認して、またその建物を目指して潜り始める。
逃げているような不安は感じなかった」
日曜日。
食事を摂り、特にやることがないので外へ出ることにした。
心地よい風に当たって神社へ着き、参道を歩いていると先の方を以前に塔で会った男が横切った。
「やっぱりここの神職か」と心の中で言うと答えが返ってきた。
「あいつは識者だ」
「ま さ か」
あり得ない現象を疑っていると、夢界から答えが来た。
「昨日の一件で同調しやすくなった。
これからは便利だな」
隼はひどく気が重くなった。
「まあ、それはいいとして。
全然良くないけど。
何でお前がそんなことわかるんだよっ!」
「感じる。
お前じゃわからんだろうけどな」
気持ちを少しでも軽くするため、塔へ登ることにした。
登り切るとやはり眺めはかなり良い。
高さは30メートルほど。
広さは10m×10m位。
火上祭が近いのを思い出した。
火上祭は湖に計十個の櫓を三列に設置し火が点され、二人の能力者によって地龍川から天龍川の方向に向かって、二十二本の光の線が櫓と櫓を順番につなげていくという祭りだ。
祭りの目的は様々な謂われがある。
しばらく景色を楽しみ、塔を降りる。
公園へ行き読書をしようと思ったが、神社を出たところで小沢と松田に声を掛けられ、そのまま近くの喫茶店へ引っ張られた。
その最中、通りかかったオルガンの識者と目が合った。
識者は神社へと入っていった。
オルガンの識者は神社の奥へと行き、湖の境に造られた柵に身を任せ、景色を眺める。
そこへ神職の識者が来た。
「塔へは登らないのですか?」
二人のすぐ後ろには塔がある。
「私にはどちらも同じだから」
「そうでしたね」
「この湖は綺麗だ」
「ええ」
「すべてが終わった後も、この湖は残るのだろうか」
「それは獲得者のみが知ること」




