3.23 イグドラの動き 皇極中央図書館長 封緘
昼になり、中央図書館館長室へ向かう。
一階の案内カウンターの人に学生証を提示し、職員に付いて関係者以外立入禁止の細い通路を進む。
秘書らしき人物に再び身分証明を見せて館長室へ入る。
部屋には草薙も居た。
「初めまして。
イグドラシル中央図書館館長、皇極です。
何をお話しすればいいかな?」
皇極は笑みを浮かべて歩み寄り、握手を交わした。
「イグドラシルや学校では何が起きているのですか?」
「多数の機関が神識に対して動いています。
本来、識連や私など極一部の関わりある者しか知らないはずの情報が多くの人間に知れています。
誰かが流しているのかもしれません」
隼は近日の変わった出来事を話した。
「まず大島君の事だけど大丈夫。
明日には学校に来ると思います。
心配ないよ。
少し気になるのは教員のことですが、別に神識をどうこうしようと動いていたわけではないらしい。
調査をしていたようです。
そろそろ落ち着くと思うので心配ないと思いますが、ただ個人的に動いている人がいるようです。
神堂教頭のことは長谷川校長からも相談を受けていまして、あの人には注意が必要だ。
以前にも痛い目に合わせられているもので」
隼は神堂のことを話す皇極の口調の変化を感じ取った。
「生徒会と教員のことだけど、協力しているなんて聞いてないから、東山生徒会長と大森先生が個人的に何かをしているのかもしれない。
調べてみるよ。あと学校内の調査は佐藤先生にしてもらっているんだ。
何かあったら協力をお願いします」
「そうなんですか」
驚いた様子の隼を見て
「元々ある企業の調査員でしたが、お願いして来てもらいました」
隼からまだ動揺が感じられたが話を続ける。
「小学生のことだけど、容姿など特徴がなかった?」
髪のことを話す。
「上に検索できるパソコンがあるから、ちょっと来てくれない」
皇極は室内にあるエレベーターに鍵を挿し、パネルのナンバーを押して扉を開ける。
そして上へ着くと、先ほどの部屋は応接室だったことに気づいた。
窓から良い景色が見られる。奥にある大きな机に着き、皇極はキーボードを打ち始め、そしてモニターを回して隼に見せる。
あの男の子の顔写真だった。
「こいつです」
「該当が一つで助かったよ。
調べておくから。
他に聞いておきたいことある?」
「この本について教えてください」
隼は鞄から封緘を取り出してきく。
「私達は封緘と呼んでいます。
神識を得るため必要なもの。
他にも何か意味があるように感じるのですが、最近まで封印していたもので私にも解らない。
出来ればその本、草薙君に少し預けてくれませんか?
実はその本が隼君の元に行くようにしたときにも草薙君に頼んだんだ。
草薙君ならもう少し理解できるかもしれないから」
「これって、図書館のものではないのですか?」
「図書館は預かっているだけ。
君が持つべきだ」
隼は皇極の言った意味を少し考えて草薙に渡す。
「どうぞ」
草薙は眼で感謝を示した。
「もう時間になるね。
最後に識連もそうだけど、魔術連の動きも目立っているから注意してください」
「わかりました。
なぜ僕にいろいろと教えてくれるのですか?」
「それは隼君の中にあるんじゃない」
「夢界のことを言っているんだろうか」と考えたが、追求はせずに図書館をあとにした。
中央図書館長が協力してくれるというのはいい収穫だった。




