3.12 アルファオメガ 封地侵入方法
授業は終わり、部活をやって家に帰り、眠る。
宇宙の中にある半径10メートルほどの水の柱の中に居た。
上下遙に延びている。
柱の中央には大きな広葉樹が枝を伸ばしている。
床である水面から深遠まで水中に根を伸ばしている。
時檻のようにゆっくりと季節が巡り、舞い落ちるものは紅葉から雪へと変わった。 太い幹の陰から男が姿を現す。
隼がつぶやく。
「ここは」
「アルファオメガ。
最初と最後。
だが今はどうでも良いこと。
お前は神識を獲得するんだ」
「なぜ?」
男の話しの内容の凄さを理解することができなかった。
「残りわずかな時間で神識の封印が解ける日が来る。
誰かが神識を得ることになるだろう。
だからお前が獲得しろ」
「識も持っていない僕が?」
「そうだ。
大丈夫、心配ない」
隼は言われた通りの感情を受けた。
「とりあえず、封地へ行き、封印に触れるんだ」
「どうやって」
「あの本との関係を話せば、大島と倉瀬が協力してくれるだろう」
隼の中でいくつもの疑問がうかんだ。
男はそれに答える。
「あの本と関係あるのか?」
「まあな」
「ところで何で僕が獲得しなきゃいけないんだ?」
「そのうち解る」
「それで、封印に触れると何か起こるのか?」
「封印に触れることに意味があるかはわからない。
全てはお前の中にある」
隼は首を傾げながら聞いていた。
そしてつぶやくように質問する。
「何なんだ?
お前は何者だ?」
「ふっ、そのうち解るさ」
学校へ向かいながら封地へ進入する手段を考える。
人目に付かない時間を選ぶのは当たり前だが、具体的のよい方法が思いつかなかった。
授業が終わり、部活が終わり、二人に相談するとあっさりと協力を了承した。
意外に思い、理由を聞くと倉瀬は
「隼君のお願いとあれば断れないよ」
隼が首を傾げているのを見て、大島がため息を吐きながら
「わかってないのか?」
それが二人の答えで隼にはよく解らなかったが追求をやめた。
柵には進入を防ぐ魔法が掛けられているため、大島のアイディアで明日の早朝、人目に付かない学校近くのマンホールを開けて火上湖へ通じる水路に入り、そこから進入することになった。
打ち合わせが終わり、中央図書館へ行くことにした。
本を探していると、オルガンを弾いていた識者に会った。
視線も合ったが、そのまますれ違う。
隼はその背を見てしばらく何かを考えていた。