七匙
(やっぱり、間違えたかな?)
のばらは、手紙を受け取ってから困り顔になっているラルガを横目にして、そう思った。
手紙の内容を間違えたかな、と。
手紙をやり取りして、お互いのことをもっと知っていこう。
と、考えたまではよかった。
封筒便せん選びもよかった。
けれどいざ手紙を書く準備をして、さて何を書こうかという処で躓いてしまった。
まずは興味のあるお金持ちという処から話題を広げようと思ったのだ。
総資産は何円ですか。
月に何円稼いでいるのですか。
これから何円稼ぐつもりですか。
生涯かけて稼ぐつもりですか。
遺産は誰にどれくらい残すつもりですか。
ぺりゅみぃにダメだしされた。
どれだけ金目当てをアピールするつもりなのかとそれはそれは怒られた。
ので。
まずは直近の話題、二人の部屋について書こうと決めて、どうしましょうかとの内容になったのだ。
ぺりゅみぃは何も言わなかった。
だからいいと思ったのだ。
(でも、話すつもりだったんだから、手紙で書くことはなかったかな。うん)
緑茶を美味しく頂いたのばらは、丁寧に前の小さな卓に湯呑を置くと、座る位置を変えて斜め向かいにし、ラルガを見つめた。
「あの。ラルガさん」
「はい」
「私たちの部屋、どうしましょうか?」
「え?」
「何でやねん!!!」
のばらの隣に置かれていたリュックサックから思わず、ぺりゅみぃは飛び出してしまった。
(2023.6.26)