その5 魔銃無双〜魔導学院の落ちこぼれでも戦える“魔力式レールガン戦闘術”〜(仮) 作者:愛山 雄町様
魔導+銃=最強の図式に心震える
主人公『ライル』はエルフ豊富な魔力、全属性の適性を持つ魔導伯家の嫡男として将来を期待される存在でありながら、その出力がわずかしか行えないという事で廃嫡され、魔導学院も退学させられます。
『レベル』がNGだって……あれは嘘だ!!
このお話にはレベルで強度を比較する概念があります。
一度は絶望しながら、少ない魔力量を補う事の出来る「魔導具職人」を目指して、そのために必要な「付与術師」となるため人を当たっていくのですが、そこで主人公は魔導具の一つとして『魔銃』と出会います。
これは、この世界に現れる異世界の転生者たちの作る、この世界にはない道具を魔導具として再現したモノであり、いわゆる『銃』そのものではありません。しかしながら、どこかで聞いたような有名な銃……「コルトガバメント」といったような現世にある銃の模造品が登場します。
銃には複数の魔法陣が付与され、その魔法陣の効果で弾丸を加速させ射出するのですが、魔力量の出力は少なくとも、それ以外の能力は優れている主人公はここに自分の在り方の光明を見出すのです。
魔導具でありながら、ガンアクションものと見紛う展開となるのは、作者である愛山さんの作風によるものかもしれません。
この作品は『千迷宮大陸シリーズ』と題されるファンタジー作品の世界観を共有するものですが、このほかに『クリフエッジシリーズ』と題されるスペースオペラを書かれています。
どこかのベレー帽のペテン師風の主人公無双かと思いきや、艦長として参謀ではなく現場指揮官の苦労を重ねながらチャンスを生かす主人公の活躍は骨太な作風を感じます。
同じく、このお話はかなりしっかりと主人公が成功するまでのビルドアップを描いていくので、読み込むのが嫌な方は合わないと思います。
主人公は、『迷宮都市』と呼ばれる場所で『魔銃』を作る異世界からの転移者と邂逅し、徐々にその能力を開花させていきます。
この世界には冒険者と似た存在として『探索者』(シーカー)と呼ばれる迷宮を探索する者と、『狩人』(ハンター)と呼ばれる山野で魔物を狩る職業が存在します。
出会う先輩シーカーとしっかりとレベルアップを重ねた主人公は、似た境遇の最上級探索者夫婦の娘である竜人の少女『ローザ』と出逢い切磋琢磨しつつシーカー・ハンターとしてのキャリアを積み上げていきます。
現在は『迷宮都市』で発生したスタンピードを乗り越え、ライルは『普人』からレベル限界を超えた『神人』へと成長、魔力の出力制限を解除し無双モードへと進化しています。
すでに、魔導学院時代にいじめを行った、他家魔導伯の息子との因縁の対決にも勝利し、順風満帆のはずなのですが……
この世界を取り巻く陰謀に巻き込まれつつある次の展開が始まりそうです。
『M4カービン』『M1911コルトガバメント』『M82アンチマテリアルライフル』といった実銃に準じた『魔銃』が登場し、装弾やマガジンなどの描写も実銃に即した設定となっている為、気を抜くと「ファンタジーだったっけ?」と思う事になりますが、世界観と人物設定がしっかりしているので、スムーズに楽しめると思います。
【Nコード】:N3883GQ
【URL】:https://ncode.syosetu.com/n3883gq/
【掲載日】2020年 12月01日
【最新部分掲載日/話】2021年 04月5日 78話 27.4万字
評価:『チンジャオロース弁当』級
幕の内弁当なのか? と一瞬気になりますが、野菜と肉がバランスよく調理され、油の効果で腹持ちも良いボリューミーなお弁当です。
主人公・世界観・魔銃・魔物の組合せがバランスよく、ハードボイルドな空気も感じられ一般的な売れ筋とは異なる独立したカテゴリーを感じる作品です。
一先ずスタンピード終了、神人への進化による弱点克服と当初の成長譚が一段落したのですが、七賢人の陰謀と超人主人公がどう立ち向かうのか、ヒロインとの関係がどうなるのか……気になるところです。
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