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その19 隣世界のリネッタ  作者:入蔵蔵人様

 転移物なのですが、ちょっと違うところが面白い作品。個人的には脳内で『ジブリ』風の作画で映像化されます。


 とある辺境に住む遺跡にある古代魔術の魔法陣を発動させてしまった研究者。彼女は、『設置型魔法』の『転移魔法』を研究していました。


 気が付くと、硬い粗末なベッドの上に寝かされています。そして、自分がけもみみ幼女(10歳くらい)になっている事に気が付きます。そこは、孤児院。どうやら『獣人』の身元不明な少女になってしまったようです。


 孤児院は、とある魔術師の家を改装して魔術師の姉が孤児院の院長を務める『王都』にあるものでした。その地下室のある場所に、突如現れ言葉も通じない獣人の少女をとりあえず保護したという事になります。





 二つの世界はどうやら『隣世界』であるようであり、主人公が研究していた古代魔術とは、この世界からもたらされたものではないかと彼女は推測するにいたります。


 ところが、この世界と自分のいた世界では「魔術」に関する考えがかなり違います。


 あちらの世界では、魔力の元となる魔素は世界に満ちていて誰にでも簡単に使うことができます。こちらの世界では、『魔素クリスタル』を作成し、それを消費しなければ魔法は発動しません。


 あちらの世界では、魔法陣が無く、詠唱で魔法を発動させるため、クリスタルは存在しないので遺跡に残された魔法陣が発動しない……といったことが徐々に解き明かされていきます。




 見た目はケモミミ幼女、中身はアラサー研究者である主人公の『リネッタ』は孤児院を根城に、王都の様々な場所にある『魔法陣』を見て回ります。孤児院の地下室に保管されている魔法陣、王都のあちらこちらに刻まれている魔法陣。


 転移した先の世界の文字を孤児院で教わるにつれ、その魔法陣が古代魔法文字とよく似た言語である事に気が付き、リネッタは、自分の知識を駆使し、新たな魔法陣を詠唱魔法のように作り上げていくのですが……


 魔法陣を作成する能力自体が『ロストテクノロジー』であり、多くの魔法陣は初代歴王(この世界にある王の中の王)が精霊王から授かったものであり、その後作られた魔法陣は、効率の悪い大量の魔素を消費するものでしかなかったのです。


 リネッタ製のそれは、簡素な言語で詠唱簡略化の技法を使った効率の良い魔法陣の為、僅かな魔素(ショボいクリスタルで高威力の物を発動させます。


 また、魔素クリスタルを作成する方法は、魔法陣の上で石に魔力を込めるといった『手段』だけが伝わっており、才能がある人間は『生成師』という魔術師の上位職のような扱いを受ける事になるのですが、この世界の人間にはほぼ魔素が見えておらず、魔素を集約することでクリスタルが形成されるという理屈は理解できていないようなのです。


 そんなこんなで、異世界でも研究者魂を燃やし続ける、ケモミミ幼女が思うままに振舞う事で、本人が意図していない事件が周囲に次々巻き起こり彼女は次々に巻き込まれていきます。


 いや、普通に考えて目立つだろお前。


 そもそも、獣人は元奴隷で、身体強化能力以外の魔力の行使ができないとされる『家畜』などと差別される存在。尚且つ、基本脳筋な存在。なのに、十歳にして中身はアラサー故の落ち着いた物言いや観察眼が違和感を感じさせないわけがありません。




 なろう特有の「ファスト小説」展開がなく、じっくり読めるところが良い作品です。


 未完ですが、今年の年初辺りで更新が止まっております。諸事情がおありで更新が止まっているようなのですが、先が気になる作品です。



【Nコード】:N5591DD


【URL】:https://ncode.syosetu.com/n5591dd/


【掲載日】2016年 02月21日

【最新部分掲載日/話】2021年 01月23日 278話 92.8万字




評価:『鯖塩焼き弁当』級


 脂ののった『鯖』がちょっとしつこい感じがしますが、そこを楽しめる文章。


 主人公の気質もそれほど嫌味でもなく、周りに気を使いながらも可笑しな行動をとるのは御愛嬌でしょうか。淡々とストーリーが進みつつ、猥雑な王都の雰囲気や、虐げられつつも前向きに生きる孤児院の獣人少年や、孤児院の生成師見習少女が印象的です。


 そこはまさにジブリな世界。ハウルの動く城ともののけ姫に、千と千尋の神隠し風の味付けをした感じでしょうか。サイコパスが出てこない良い作品です。あ、主人公はちょっとその気がありますが、健常の範囲でしょう。




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