その14 清貧に生きる野良神官は魔物退治をしながらお金を稼ぐ夢を見る 作者:兎野羽地郎様
主人公『ジャンヌ』は孤児院育ちの少女。十五歳で成人を迎え、一人前の神官として、孤児院長である『司教』(元英雄)と立会人の女性神官(孤児院の先生)の立会の元、神官として任命を受ける処から物語が始まります。
この世界では、周期的に『魔王』が誕生し、人類が一丸となって討伐する事が何千年も繰り返されてます。ジャンヌの住む国に、今代の魔王が生まれ、その為、国は多くの兵士を魔王討伐へと差し向けなければなりません。
結果、今まで町を守っていた衛兵百人のうち、半数と隊長・副隊長が魔王討伐へ参加。残りの衛兵だけでは、治安維持が十分にできなくなり、街の中の治安悪化は勿論、街道には賊が出没し商人が襲われ、数を増やした魔物による危険も増えてしまいます。
こんな時こそ、冒険者の出番……そう思ったあなたは驚きましょう。
この手の異世界ファンタジーに必ずある冒険者ギルドと冒険者はこの世界には存在しません。何故なら、魔王が生まれる以前は、衛兵さん達がこの手の仕事をしっかりおこなっていたからです。
さて、主人公とその友人たち孤児院の同年齢の八人の少女は、『一七五の会』という結社を作っているのですが、これは中世の兄弟団・互助会のような組織です。
八人の中で、フリーの神官となる主人公ジャンヌと、魔術師の『ベアトリクス』、街の衛兵の一人である『ベイオウルフ』ことフランシスは、増えた魔物を狩る『町長公認魔物退治屋』となります。
うん、冒険者ギルドがないと、施政者と治安維持の責任者である衛兵隊長代理から委任してもらって討伐するからね。報奨金が出るので、それがいわゆる、冒険者(仮)としての報酬となります。
衛兵のベイオウルフ、魔道具店で働くベアトリクスは週に三日、半日ほどこの魔物討伐を引き受けるのですが、フルタイムの仕事がないジャンヌはいろいろ考えたり周りに相談しつつ、『魔物退治屋』稼業を進めていきます。
三人の役割りは『戦士・前衛』『魔術師・後衛』『神官・後衛』ということになるわけですが、RPG的お約束職業や冒険者ギルド的暗黙のランク分けや依頼がない故に、「ああ、なきゃこうなるよな」という世界が広がります。
やっているこは、ゴブリン〇レイヤーの白磁等級が行うデカい鼠の駆除依頼なんですけどね。やっぱ冒険者ギルドって大事だわ。
雛形がある『冒険者』であれば、次に起こる展開もスムーズに予測できるのですが、このお話はそうではありません。だって、先達なんだもの。薬草採取でゴブリンと遭遇して、ミラクルな力で圧倒。そしてギルドで驚かれる……依頼もギルドもないんだけど、どうすりゃいいんだよ! てな感じです。
パワーインフレなき『魔物退治屋』の成長が楽しめます。
【Nコード】:N7948GB
【URL】:https://ncode.syosetu.com/n7948gb/
【掲載日】2020年 03月09日
【最新部分掲載日/話】2021年 04月07日 224話 122.8万字
評価:『野沢菜ご飯弁当』級
ご飯お腹に野沢菜の炊き込みをしたご飯に、高野豆腐や鶏の照り焼きのようなヘルシーな系統のおかずが付いたあっさりとした風味の弁当。だが、一つ一つの食材の味がはっきりしていて、美味しくいただける大人の弁当。
当たり前の前提を排除し、『冒険者がいない』という世界観は、「肉こそ至上」という弁当の価値観をひっくり返すようなイメージがあります。
毎日食べるのには物足りませんが、このような背景に一ひねりを加えた冒険譚も呼んでみると楽しめると思います。
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