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ある休日

作者: 夏山 白

 通勤帰宅の繰り返しが終わった。

 あ〜〜あぁ。家に着き、大きく息を吐く。でもなんだかんだ、明日からまたやることがあるんだよなぁ。すぅぅ、ふぁぁ。

 彼はより大きく息を吐いた。

 荷物を置いて、ベランダに出る。すると、最終電車が最寄りの駅を出て行くのが見えた。今が1番好きさ。なんだって今この瞬間が、休みに最も近く、1番長く休みを保有してる時なんだからな。こんなことを考えながら、ベランダから外を眺めた。

 あぁ、やっぱり金曜日は最高だなぁ。そんな感じで金曜日が終わった。

 やることを前にして、朝から数時間パソコンの前に座っている。やろうかな、でも、なんだか体調が良くないような。やらなきゃだめだよなぁ。そんな怠惰な一日。

 外を見ると、午前中は曇っていたが、午後になって青空が見えるようになってきた。午後は晴れるようだ。 

 洗濯物を乾かすサーキュレーターの音が部屋の中で存在感を放っている。こいつはこの前うちに来たんだが、一回膝下くらいの高さから誤って落としてしまったことがあって、それ以来少しうるさくなった。だが、丸く小さいフォルムが愛らしく、話題に出すときは『うちのサーキュレーターさん』などといって、気に入っている。

 そういえば、1週間ほど前に買った柿があったな。よし。あー、やっぱ柔らかくなっちゃってたかぁ。やわらかくなった柿は甘味が結構強いんだ。そして、ちょっとトロトロし、皮をむいて食べるには不便で、最近はちょっと疎遠になっていた。でも、(へた)を取ってスプーンですくいながら食べればいいか。皮をむいて食べるのと、(へた)だけとって食べるのでは、なんだか味まで違うように感じる。食べ方によって食べる時の印象も変わるのだから、面白いものだ。レストランのシェフもこんなことを意識するだろうか。

 この間に録画やその日のテレビをボーッと見たり、買い換えたスマホでSNSを何周かする。

 そして、そのうち暗くなり、空が七色のグラデーションになってゆくのだ。そして、白い三日月が上がり、空は紺色が強くなってゆく。

 心残りがある。それはやるべきことをやらなかったことだ。やらなきゃならないこと。あぁ、やりたくないなぁ。

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