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第8話 進路とシェアハウス

友達と回転すしに行った時の思い出は今でも忘れません

 俺たちはボーリングを3ゲームもして、思う存分に遊ぶと球とシューズを返してからコースから離れ、遊び終わるとふと今は何時頃だろうと気になった。


 場内には外を確認することが出来る窓が1つも張ってないため、もう暗いのか、雨はまだ降り続けているのか分からない。


 受付カウンターの所に客が時刻が分かるよう、時計が置いてあったが、俺たちがいるのは左端から2番目のコース辺りであり、時計は針と数字がかなり重なってるように見えて、時間が把握できなかった。


 仕方なく手持ちのスマホを開いて時間を確かめた。もう18時なのか!学校からここに来て3ゲーム回しただけなのに、時の流れの感覚はどうも掴めないな。


 あれかな、俺が宝くじ売り場に行って金を増やして、ボーリングやる前に着替えたからこんなに時間が経ったのかな?


 というより、ボーリングの1ゲーム回す時間が長いんだろうな。


 ちょうどミキも俺と同じくスマホで時刻を確認して、俺たちに告げた。


「ねえ2人とも、もう6時だけどこれからどうする?」


「え、もうそんな時間?早いな、俺とソウゴはこれから飯を食いに行くんだけど、ミキも来るか?」


「うん、良いけど、どこで食べるの?」


「そういえば決めてなかったな、ソウゴはどこで食べたい?」


「うーーん、急に降られてもな、なんか近くに何かあったか?」


「この辺りは、牛丼と焼肉とラーメンに、あとは、寿司があったな」


 ヒロユキの口から、寿司という言葉が出てくるとミキの目色が変わった。


「すし!すしにしようよ!ほら近くに回転すしがあったじゃん?今日は金曜日だからほとんどが99円だったよ!」


 すしかあ、今は28000円は持っているからどこに行っても問題はないけど、昨日は焼き肉で昼は母さんが作ってくれたハンバーグの弁当だったな。


 ミキがすしを強く推してくるから、こっちも魚系というか、すしが食いたくなってきたじゃないか。


 ミキの肩を持つ形で俺もすしを推そう!


「俺もすしがいいな、昨日は焼肉だったから魚系が食いたいんだよ」


「ほら、ソウゴもすしが食べたい、てさ」


「ええ、俺寿司の気分じゃないんだけどなあ、他の所もーーーー」


「「すーし!すーし!すーし!すーし!すー」」


「分かったよ!寿司にしよう、寿司にするからそんなに近くで大声を出すなよ!」


 すし屋に行くのを渋るヒロユキに近づいて、ミキといっしょに手を叩きながらすしコールをした。


 ヒロユキは流石に両耳にすしコールをされると堪らなくなって、強引だったが晩飯がすしに決まると俺とミキは「イェーイ!」と喜んでハイタッチした。


 コールをされなくなったヒロユキは、ホッと軽いため息をついて頭を掻きながら。


「じゃあ、すしにするか」


 これを聞いて俺とミキはも一度「イェーイ!」と喜んでハイタッチをする。


 外食先が決まれば俺たちは回転すしを目指し、颯爽とボーリング場を出た。


 外は雨雲のせいで夕陽が隠れており、空は薄暗く青みがかっていた。まだ6月の梅雨時だというのに、初冬のような寒さを感じさせる景色だ。


 だが雨はここにくる時に比べると弱くなっていて、この雨をジーっと眺めていると不思議に傘をささず、この雨に当たりながら歩きたいと思うようになっくる。


 でも替えの服なんてないし、また着替える羽目になるのは御免だからここは傘をさそう。


 回転すしへの道のりを3人で歩いていると、ミキが一言呟いた。


「今日は余り人が歩いてないね」


 そう言わればそうだな。辺りを見渡すとミキの言う通り、いつもより人が歩いていないのが分かる。

 

 でもその分。車の通りが多くなっているのも見て感じる。


 移動中に喋ったのはこれぐらいだ、だって喋る間がない程ボーリング場から回転すしまではすぐ近くだからな。


 ほらもう着いた。


 回転すしに着くと、ヒロユキは先に入り口前に立ち中を覗いて状況を確認すると、顔を俺らに向いて「空いてるぞ」と右手の指で〇サインを作って報告してくれた。


 入り口から入ると待ち合い席に人がいない、ヒロユキの言った通りだ。直後に俺らと同じぐらいのバイトの女の子が来て人数を尋ねた。


 3人だと言うと女の子は指定の席を教え、俺たちは指定席である奥のテーブル席へと歩いて座った。


 座った俺たちはコップや受け皿を出しながら話しをした。


「ソウゴ、最初のあれはスゲエよ、球がガーダーからピョンと跳ぶもんな!」


「ああ、あれは俺も正直驚いたよ!失敗したのにあんなことが起きるなんて」


「あんなの起こるなんて誰も思わないわよ、あああ、おもしろい!」


 俺たちは周りを意識して声を抑えながら笑い合った。


 ヒロユキは笑いながらこんなことを口にした。


「ハア、ハア、ハハッ、てか俺たち今年高3だから今年で卒業だよな、来年で俺は社会人だよ」


「え、ヒロ君て就職するの?」


「そう、俺、進学じゃなくて就職するんだ」


最初は不思議がっていた反応をしたミキだが、就職を選んだ理由を概ね察しか付き、これ以上は聞かないでおこうとしていた。


「ミキはどうするんだよ?」


ヒロユキが聞くと、ミキは微笑んで答えた。


「私は都内の大学に上京、美大かデザイン系がある方を希望してるの」


「デザイン?まだ美術を続けてるのか?」


「そうよちょっと待って、ほら、これ見てよ上手でしょ?これ全部私が描いたの!」


 ミキはスマホを操作して俺たちに画面を見せる。画面にはイラストの投稿サイトが映っており、投稿されているイラストは凄い物だった。


 画面をスライドして他の作品も見た。投稿されているイラストはアニメやマンガの二次創作や創作が中心で、風景画や人物画もチラホラと投稿されていた。


 これ全部ミキが描いたのか!?色彩とか構図とかそういうのが上手すぎる!


 こう、何ていうか、俺は絵とかそういうのには疎いから分からないけど、とにかく素人目から見ても凄さは伝わってくる。


 一緒に見たヒロユキも俺と同じ反応をしていた。スゲエなこれ、ミキは絵が子どもの頃から毎日のように絵を描いてたから上手いのは知ってて、高校で別れるまでは度々見せてくれたけど、その時と比べるとやっぱ当然だけど、もっと上手になっていた。


 「高校に行ってもずっと絵を描いてたんだな、ミキ、お前は凄い、ん?」


 俺はある物に気付く、それはイラストに記入されている投稿時間だ。


 最初に見せたイラストは昨日の23時32分に投稿されている、でもその前の作品は22時15分に投稿されていた。


 投稿時間記録を1つ1つ見ていくと、日に3、4回は短時間の隔離で投稿されている。


 これって、もしかして、アレなんじゃないのか?


 突然、ヒロユキが声を出した。


「待てよ!こんな神絵で毎日こんなに作って出してるのかよ!?」


「そう、休憩なんかせずに描き続けているの」


 ヒロユキも同じく投稿頻度に気づいて驚いき、俺を代弁するかのようにミキを問う。


「お前、まさかアカウントを乗っ取ったり、ゴーストライターにでも頼んだりしてるのか?」


「してないわよ!正真正銘私の作品よ!ソウゴは保育所の頃から見ていたから私の手癖は分かるよね?」


「いや、画面をそんな目と鼻の先に見せても、俺そこまで分かんねえよ」


「エエエエッ!」と嘆くミキは、頬をムスッと膨らませて上目遣いで。


「ずっと見ていてくれてたのに」と訴えてきた。


「分かったから、これはお前が全部描いてるのを信じるから」


「俺も乗っ取りとかゴーストライターとか、酷いこと言ったのは悪かったよ、謝るから」


 俺とヒロユキが宥めながら謝ると、ミキは「たく、もう」と半ば許してくれた。


 昔からそうだが、ミキは本当の事を嘘だと疑われたら、さっきのような態度と仕草で訴えてくる。


 幼馴染みだからミキのこういう所は理解している。


 元カノのチヅルから聞いた話しだが、ミキはどうやら威嚇や脅しのつもりでこういう事をしてるらしい。


 本人は効果があると思ってるだろうが、正直に思うとミキの行動は脅しに見えない。


 だってそうやって訴えるミキの姿は、まるで仔猫の威嚇のようなかわいさしか出してないからな。


 ミキは童顔の猫顔で声は若い、というより幼いんだよな。それが脅しに見えない1番の原因かな。


 ミキは顔つきをムスッとしたまま湯飲みを口に当てる。かわいいな。


「で、ソウゴは進路どうするの?」


 ミキが俺に進路のことを訪ねてきた。


「俺?俺は大学に行くよ」


「どこなの?」


「県内だけど、本当は俺も上京したいけど金がなあ」


「持ってないの?」


「いや、今は30万ぐらいは持ってるけど、親が奨学金とか使うのを渋ってるから」


 実際、俺もミキと同じ都内の大学に進学して上京したいが、両親にそんな金はない、と突っぱられ続けられているのが現状だ。


 俺は奨学金や学生ローンを使っててもいいから上京したいと懇願しても、お前のためだ、とまともに聞いてくれず首を縦に振ってくれない。


 でも今は絶対当選のチートがあるし、なんなら当選した800万の当選金があるから金の問題はもう解決したんだがな。


 俺の状況を聞いたミキはこんな提案を出した。


「それじゃあさ、私といっしょに上京すればいいじゃない」


「え?どういう?」


「だから、上京していっしょの部屋で住もう、て言ってるじゃん」


「ーーーー・・・・・・告白ですか?」


「ちゃうわい!」


 うおっ、キレの良いツッコミだな。


「ルームシェアよ!ルームシェア!」


「ルームシェアてあれか?1つの家とかマンションの部屋を共同で生活する?」


「そうよ、それで上京しようよ、共同で生活苦したら家賃とか光熱費が半分で済むし、私たち昔から知ってる仲だから問題なんかないじゃん」


 ルームシェアか、それは考えていなかったな。


 それだったら親父とお袋に上京を納得させる口実に使えるな。


 今日ミキと出会ってなかったら、上京を諦めかけていたな。今日はこいつに感謝しないと。


「そうだよな、俺たち一緒に上京をするを目指してるんだから、わざわざ1人で部屋借りる必要ないもんな!」


「でしょ!?私たち3人で絶対東京に行こうよ!」


「俺も入ってるの!?」


 ヒロユキは自分に指さして、キョトンとした顔で反応した。


「ヒロユキも東京に行こうよ!2人より3人の方がいいじゃん!」


「ま、まあ、東京の方が就職の数が多いし、ここよりは充実してるから、俺も上京しようか」


「それじゃあ、みんな東京行き決定ね!」


「おい待てよ、俺はまだ東京に行けるのは決まってないぞ」


「ソウゴなら大丈夫よ、大丈夫」


 そう言われると、逆に不安になってくるな。

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