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第7話 走れソウゴ!

 俺は宝くじ売り場へと走り出した。


 今の俺の走る姿はまるで待っていてくれる恋人のところに、1秒でも早く着こうとしてる男の姿だった。


 それか親友を待たせ、信頼を糧に走るメロスのような姿で走っている。


 宝くじでお金を増やすために!


 走って2分ぐたいだっただろうが、宝くじ売り場にはすぐ着いたが気が付けば服の端は雨粒で相当濡れていた。後で体操服に着替えるか。


 呼吸も荒くなっており、売り場のお姉さんは何事かと思いこちらを注視していた。


 俺は急いでいるのでそんなことを気にする間もなく「スクラッチください!」と言い、財布を開いてもう一度小銭を確認する。


 大まかに数えると800円ぐらいは残っていた。これなら4口は買えるぞ!


 「何枚入りますか?」


 「4枚!4枚でお願いします!!」


 俺は大声で頼んだせいでお姉さんは驚いで、急ぐようにスクラッチを4口手渡した。


 スクラッチの最低当選額は5等の200円、これは買い取り価格と変わらない値段であるため、最初の4口が全部5等だったら一からやり直しだ。


 実際、俺がやろうとしてるスクラッチは5等が1月分で300万本も配布されているのに対し、1000円である4等は30分の1である10万本しかない。


 その上、1万円の3等は1万本しかない!


 昨日の100口の高額当選はチート能力で行使したとしても、奇跡と呼べるレベルの産物と言える出来事だったんだ。


 だからこれは根気との勝負だ、4等と3等を複数当てるまでの根気が必要だ。


 俺は最初の4口を引いた。当たり前だが全部当選したが全部が5等だった。


 クソ!こういうのは想定したが、やはり悔しい。


 4口をお姉さんに渡して換金してもらうと。


「もう一度4枚をお願い!」


 お姉さんは俺の言う通りにまた4口を渡した。


 俺はその4口をさっきと同じく引いた。


 5等、5等、これも5等、マークが多い!これは4等だ!よし、2回目で所持金が800円増えたぞ!


 4口をまとめて受け取り口に置いてお姉さんに渡す、お姉さんは4口を確認すると。


「おめでとうございます」と笑顔で対応してくれた。


「これ全部スクラッチにして!」


 俺がまた頼むと、お姉さんは「え、え?」と狼狽えるが頼まれた以上、また換金して新しいスクラッチに買い替えるしかない。


 よし、4口から8口へと倍になったな、これで4等と5等が当たる確率は倍になったぞ!


 そしてこの8口を満遍なく引いた。5等が多いな、よし4等が3口もあるぞ!!


 4等が3口で5等が5口だから計4000円分の当選か。


「あの、今度は20枚でお願いします」


 狼狽えていたお姉さんは、もう何も言葉をださずに俺にそのままスクラッチを20口渡した。


 これなら上手くいけるぞ!よし全部一気に引いてやる!


 でもこれは流石に多いので、持っていたアルミ定規で効率よく引くことにした。


 20枚を一気に引くと、清潔な白いカウンターの周りはスクラッチの銀カスだらけなっていた。カスは地面に落とそう、おりゃ!


 全部引いたはいいが、この数を確認するのは少し面倒だからここからはお姉さんに任せるか。


 引いた20口をお姉さんに渡して確認をさせてもらう。


「えっとーー、全部で7000円になります」口では平静だっだが、目が泳いでいるのは明らかなのは見て分かった。


「それじゃ次は35枚ちょうだい」と言うと「また!?」と嘆く様に吐かれた。


 これでラストだ!!


 しっかりと換金してもらい、そのお金で支払い、35口貰いちゃんと購入の手順を踏んで、それを全部アルミ定規で引いた。


 それらをお姉さんに渡して確認させてもうらう。


「・・・・・・・・・・・・30600円です」


 俺は「ありがとう」と言い、受け取り口で出されたお金を受け取り、これを最後にしてボーリング場へと戻った


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「ソウゴ、お前びしょ濡れじゃねえか!」


 ボーリング場へと戻ると、ヒロユキに言われた言葉は、おかえりではなかった。


 宝くじ売り場に行ったときは袖や肩辺りだけが濡れていたが、戻った時は制服の大方部分が濡れてしまった。


「何があったの?」とミキが心配の声をかけてはくれてるが、顔は少し引きつっていた。


「急いで走っただけだから、問題ないよ」と雨粒と一体化した汗を拭きとり、顔を横に振り向くと、隣に置いてあるチェーン系列のカフェの大窓に移り込んでいる自分の姿を見て呆れ笑った。


「どこがおかしいの?」


「いやあ、特に何も、ごめんだけどトイレで着替えに行ってくる」


「ああ、分かった」とヒロユキとミキは答えると、ボーリング場内のトイレに向かった。


 トイレの個室に入り、カバンに入れてた体操服を着替える途中、さっきの件でこう思った。


 スクラッチはダメだな、と。


 今回の件では役に立ったが、金を増やすのには非効率的だというのは理解していたが、今日この身で実感した。


 今度、金を効率良く増やすためには数字選択式のロトがいいな。あれは確か1口の買い取り額は200円で最低当選額が1000円だから利益率が上がるのは確定だ。


 それに昨晩、宝くじのサイトを調べたらロトの1等の当選者はチラホラ出ているが。抽選結果は週2回もあって当選者は思ったより多かったが、もし1等を毎回当て続けたら銀行側は不正と思われるから、母数の大きい低当選額を中心に狙った方がバレずに稼げれるだろうし、これからはそれを中心に稼いでいこう、そうしよう。


 よし、そんなに考えていたらもう体操服に着替え終わったな。さてあの2人の所に行ってボーリングをやろうと。


 トイレから出て2人の方へ歩くと、ヒロユキとミキが見えると。


「ごめん、すんげーーまたせたな」


「いや、全然いいよ、そんじゃあ早くボーリングしようぜ」


「やったあ!私、久しぶりのボーリングだから楽しみなの」


 ようやくボーリングができると、俺たちは子どものようにはしゃぎ喜びながら受付のカウンターへと足を運んだ。


 受付のスタッフから3人分で1ゲーム2400円と言われ、1人800円なのでヒロユキとミキは800円前後の金額を出した。


 おれも出そうか、てあれ?小銭があと50円足りない!


しまったな、こうなったら1万円を出すしかないな、2人には疑われないと良いけど。


 俺が1万円札を出すと、案の定2人は少々驚いた。


「え、10000?ソウゴてそんなにお金があったの?」


「お前10000は流石にデカいだろ?」


 ここまでは予想通り、今からやんわりと訳を述べようではないか!


「今日だけでこんなに使わないよ!来月の分もまとめて降ろしたんだよ!」


「声が大きいぞ」


「あっごめん」


 訳を言ったら納得してくれると思ったら逆に窘められた。


 でも2人の反応を見る限りだと、そんなに思っていないようだった。


 なんだ、俺の激しい思い込みか。


 まあとにかく今はみんなと思いきり楽しもう!


 カウンターで貸し出したシューズを履いて、自分たちのサイズに合うボーリング球を選び、指定のコースへ着いた。


 俺たち以外にも、少し年上ぐらいのグループや、熟練者かもしれない初老の人が1人、とやっている人が少ないため声や球とピンがぶつかる音がハッキリと聴こえてくる。


 まあ今日は雨だし、こんな感じなんだろう。まあそれでもみんなとボーリングを目いっぱい楽しむぞ!


 いざ、ボーリングタイムだ!


 投げる順番はヒロユキ、ミキ、俺の順であり、ヒロユキがボールを持ってコース前に立つ。


「よっし、それじゃあストライクを決めるからな!」


 ヒロユキは宣言すると、ピンに狙いを定めて、助走をつけて、球を大きく振り投げた。


 球は直線を保ち、そのまま中央先のピンへ進んで当たる。


 ピンは当たった音と同時に、後ろのピンへと流れ倒すが両端の2本が立ったまま残った。


「ああ、ヒロユキ惜しい!」


「マジかよ、これだるいなあ」と小さくこぼしながら、狙いをしっかりと定めて、投げる。


 球は見事にガーターへと入り、ピンは2本とも立ったままだった。


「うんわ!最悪!」


「どんまあい、それじゃあ次は私か」


 ミキはヒロユキと交代し、自分で選んだ球を持って、ヒロユキと同じ狙いを定めて構えると、独特なフォームで投げた。


 結果はヒロユキが狙っていたストライクを決めた!


 ミキはこれを見てピョンピョン、と可愛く飛びながら喜び、ヒロユキは「お前いいなあ」と口を開けて羨ましがった。


 よし、今度は俺の番が来たようだな。


 自分の球を布巾でしっかりと、しっかりと満遍なく磨いて、ボールを持ち構えて。


「今からスゴイ物を見せるよ!」


 俺は後ろの2人に宣言すると、球を勢いよく投げる!!


 アッヤベ!バランスが崩れた!!


 勢いよく投げた球はバランスが崩れたせいで、即行ガーターへと入ってしまった。


 後ろの2人は腹を抱えて大笑いをしていた。


「ソウゴ!それは卑怯だ、マジ卑怯だって!!」


「ごめん、あれはね、あれはスゴイ、ウハハハッ!!」


 あんな発言して、あんなのをかまして恥ずかしいのに、2人の反応をみると余計に恥ずかしい!


 まあスゴイ物を見せたのは確かだからこれでいいっか。


 ハア、とため息をついてもう一度コースを見ると、球はまだガーターに入ったまま進んでいた。


 次の瞬間、球は突然跳ねだしてガーターから外れて、目の前のピンへとぶつかり全部倒してしまった!


「オオ、スゲエ!!」


「嘘でしょ!?ソウゴ何よあれ!?」


 ヒロユキとミキはあり得ない光景に驚いたが、恐らくこの2人より俺の方が驚いていると思う。


 何故って?だってハリウッド映画には必ずと言っていいほど出てくる、おバカキャラみたいに目を大きく開いて大口を開けているんだぜ!こんなのは予想外すぎるよ!


 ここ数日はなんか楽しいことが続いているな。


 理屈は延べれないけど、たぶんあの日から、神様からチートを授かってから、少しずつ人生が良い方向へとす進んでる気がする。


 神様から言われた通り、真っ当な人生を送ってやるぜ。

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