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第13話 怒涛の婚約話!?

 チヅルの斜め上な発言に俺だけでなく両親ももの凄く動揺してる。


 俺は机に散らばったお茶を拭き取るも手がコップとぶつかり倒し、そこからまたお茶が溢れ出してしまい余計慌ててしまう。


 たった一言で場がかき乱されるなんて、こんな体験初めてだぞ。

 

 動揺したお母さんが顔を引きつるもチヅルに聞こうとした。


「結婚って、おもしろい冗談を言うじゃないの」


「いえ、冗談じゃなくて本気で言ってるんです、ソウゴさんをこちらに譲ってほしいんです」


「お前、譲るって?」


 机を吹き終わった俺は聞くと、チヅルは俺にニコリと。


「そう、婿養子であなたを貴戸家の人として受け入れたいの」


「いや、俺の上京を薦めるために話をしに来たんじゃ?」


「そうよ、私とあなたが結ばれたらお父さんも、ソウゴの進学に後押ししてくれる筈だから」


「お父さんって、あの人はこのことを知っているのか!?」


「知ってるも何も、この話はお父さんが最初に出した物なのよ」


「マジかよ?」


 俺が知らない間にこんなことが動いていたなんてどういうことだ、それに親父とお母さんは話しが全然頭に入っておらず呆然としてしまってる。


 チヅルは親父とお母さんに顔を向けて、申し訳ない顔でこう述べた。


「お義母さんお義父さん急な話ですみません、実はソウゴさんを婿養子にするという話は、こちらでは2月頃から上がっていたんです」


 2月の時からもうそんな話題が、2月ってその時は確か。


「なあ、2月は俺たちが別れた時期だよな?」


「ええ、でも話が固まったタイミングで別れちゃったから無かったことになったの、でも関係が戻ったから結婚の話もしようかなって」


「でも自分よがりてか、独断でこんなことしたらお父さんとかお姉さんの方にも迷惑が」


「あなたに電話をかける前にまたくっついたら結婚して良い? て聞いたら全然構わないよ、て答えてくれたから大丈夫」


「大丈夫って、こっちは唐突過ぎんだけど」


 チヅルの方はもう話が大方着いてるから、後はこちらの家庭の判断次第という訳か。


 それを聞いたお母さんが満面な笑顔でこう答えた。


「そうなの! 実はさっきお父さんと話しをしてソウゴを上京することに決めたの」


「母さんそれ、本当なの!?」


「あなたの上京の問題が解決したし、ミキちゃんとヒロユキ君もいっしょに行くて聞いて、それで私がお父さんに説得をしたら許してもらったのよ」


「それ、本当に信じて良いの!?」


「だから言ってるじゃない、ね、お父さん」


 俺は視線を母さんから親父に移ると、親父は小さく頷いた。本当のことなんだ! 夢じゃないんだな!


 でもお母さんがあの頑固な親父を説得させたんだ? そういえばお母さんは癇癪が最凶と言っていい程悪すぎるんだったよな? もしや?


 親父は頷き終わるとスッと立ち上がり。


「ソウゴ、お前の部屋で2人だけで話がしたい、来てくれるか?」


「あ、うん分かった」


 俺は親父の言う通りに一緒に2階の自室へと上がり、入ると親父は神妙な顔で。


「ソウゴ、あの時はすまない、お前がショウタのことをどう思ってるのか今まで余り解ってなくて」


「良いよ、解ってくれたら、俺もさっきギャグ切れして縁切りを持ち出して、バカみたいなことしてごめん」


「お前のそういう癪の短さは母さん譲りだからな、東京に行っても気を付けろよ」


「母さん譲りがそこなのは嫌だなあ、もしあっちに行ったらちゃんと気を付けるよ」


 俺が渋った顔で愚痴をこぼすと、親父はまだ口を動かした。


「あと宝くじのことだが、さっき机に出したのがこれで全部か?」


「ああ、そうだけどそれが?」


「あれを引き換えるのは来週の木曜あたりにしよう、その日は仕事が休みでお前も学校が早く切り上げるから良いと思うんだが?」


「全然良いよ、だからさ今度、良い店食べに行こうよ、かなり楽になったからさ」


 なんだろう、こう話していくと自然と心が軽くなっていく。お互いあんなことがあってもすぐ仲が戻ったりするのは、家族だからかな?


 人生で最初の邪魔者は親だ、て2年の化学の先生が授業中に述べてたけど、まあ先生の言ってることは間違いじゃないじゃない。けど親て人生最初の理解者でもあるってのを、ここで少しだけでも解った気がする。


「一言余計かもしれないが、これだけは言わせてくれ」


「何?」


 親父は眉間にしわを作り、俺に念強く忠告した。


「宝くじとはもうこれだけにしとけよ、お前は運が良かっただけなんだ。あれはバカから金を巻き上げる仕組みになっていて、大金を手に入れたら人生が崩壊することだってあるんだ。解ったな?」


「ええと、その」


「他にも持ってるのか!?」


「持ってないよ! あれで全部だよ!」


 そんな怖い面構えでおれに詰め寄るなよ! アンタの面構えただでさえヤクザみたいなんだからやめてくれよマジで!


「そうか、じゃあこれで最後な。もう二度とするんじゃないぞ」


「分かったよ、誓って宝くじを買わないよ」


 親父すまないが、まだ抽選待ちのくじが40万円分も残ってるんだ。それに俺はこれに意味がなくても買い続けるんだ。


 今ここで誓いを破るよ。


 親父は俺の言葉を信じて眉間のしわを無くし、少し後ろに下がってくれた。


 ああ怖かった!!


「ところで、最後に聞きたいことがあるんだが、質問していいか?」


「今度はなんだよ?」


 まだあるのか、でも親父が聞こうとしてるのは概ね察するが。


「あの子と本当に結ばれたいのか? そこはどうなんだ?」


「結ばれたいよ、急すぎて俺も最初は困惑したけど、チヅルのことは前よりもっと好きだよ」


 やはりチヅルのことだったな。ここは身も蓋も隠さず正直に、ありのままの気持ちを伝えよう。


 無駄に言葉選びをせずにすぐ答えた方がきっと気持ちが強く伝って、親父にも解ってもらえるはず。


 俺の答えを聞いた親父は「そうか」と口からこぼして、肩に力を入れて俺にこう告げた。


「好きじゃなくて愛してるて気持ちじゃないとダメだ、どうなんだ?」


「じゃあ、愛してるよ。前よりも、明日は今よりもずっと愛してるよ」


「そっか、じゃああそこの家族に迷惑をかけるんじゃないぞ!」


 俺が言葉を震わず強く宣言すると、親父は嬉しそうに笑顔で肩を叩いてくれた。


 少し痛かったけど、それよりも嬉しく感じることができた。


 親父はハッと顔色を変えると俺にあることを尋ねた。


「そういえば、チヅルちゃんのどこが気にいったんだ?」


「それは、まあアイツは頭はちょっとおかしい所があるけど、本当に優しいくてーーーー」


「ちがうちがう、俺が聞きたかったのは内面じゃなくて外見のことだ。身体のどこが気にいったんだ?」


「は? ええええとなに?」


「愛してるんだった1つや2つ、そういう所ぐらいあるだろ? 男同士の話しだから行ってみなよ」


 俺は思わず狼狽えたが、親父はグイグイと俺のタイプを聞こうと詰め寄った。


 てか笑顔がさっきまでとは打って変わってかなり活き活きとしてんなアンタ!


 ここまで来たから内面のことだと思ったのに急に下世話へと変わったな!?


 仕方ない、ここも素直に答えるか。


「身長、アイツが身長が高いところが大好きでたまらないんだよ」


「オッパイじゃないのか!?」親父は驚愕してそんなことを聞いてみた。


「いや、アイツは確かに胸もそれなりにあるけど、一番は身長だよ。理由は後で話していい?」


 もうめんどくさくなった俺は誰から見ても分かるぐらい白けた顔で返すと、親父は俺の心情をすぐ理解して「ああ分かった」と答えて引いてくれた。


「もう下に降りよう、母さんとチヅルが待っているから」


「じゃあもう降りるか」


 俺と親父はそのままリビングに戻ると、お母さんとチヅルが何やら楽しく談笑をしていた。


 チヅルが俺たちに気付くと。


「おかえり、今さっきお義母さんから婚約しても良いて答えてくれたから、後はお義父さんだけなのソウゴ」


「ああそれのことだけど」


「どうしたの?」


「さっき親父から、お前を愛してるなら行きなさいて言われたよ」


「じゃあ?」

 

 俺は微笑んで頷くと、チヅルは興奮を堪えようと動かずいたが、目はハッキリと笑っていたのが見て分った。


 事が進み終わるとお母さんが口を開いて言葉を出した。


「それじゃあ今から勉強と着替えを持って、チヅルちゃんの家に数日泊まって言ってちょうだい!」


「ちょっと待って、それは急すぎるだろ!?」


「だってさっきチヅルちゃんと話しをしてそうなったんだもん。あちらにはもう連絡はしたから今すぐ行ってちょうだい」


「それはさすがに無いだろ? 俺の立場にもなってーーーー」


「アアッ!! ツベコベ言うなさっさと行け!! 良い御身分だなオイ!!」


「分かった、分かったから!」


 こんなタイミングでキレんなよマジで、まるで俺が悪いことして勘当されてるみたいじゃないか!


 親父とチヅルが引いて俺を同情な目で見ているじゃないか!


 怖くてつい言う事を聞いちまったじゃないか、今から支度しないと。


「チヅル、今から支度するからちょっと待っててくれ」


「分かった、じゃあ私は田所さんに迎えの連絡を入れるね」


「ありがとう、そうしてくれ」


 俺は家から逃げるように部屋に駆け上がり、大急ぎでとにかくカバンに泊まるのに必要な物をとにかく入れて、学生カバンも風船のようになるまで学校用具を殆んど詰めた。


支度が終わると1階に降りてチヅルの方へと足を運んだ。


チヅルはスマホを耳にあてて、田所さんに迎えの連絡を入れていた。連絡が終わったのか、チヅルはスマホを耳から外してスマホを切ると俺に顔を向け、笑顔で。


「30分経ったらここに来るらしいよ、私の家に行こうね」


「・・・・・・ああ、お義父さんに挨拶しに行こう」

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