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第12話 貴戸チヅルと復縁に!?

 また復縁か、そう思ってしまう程チヅルとは何回も離れたりくっついたりしている。


 最初の復縁は付き合ってから半年が過ぎて、もうチヅルは男付き合いが良くなっただろうと思ってこちらから別れを出したら、チヅルはそのショックで三日三晩ミキの家で泣き崩れて、その被害にあったミキは痺れを切らして俺に「なんであの子と別れたのよ! 私の身にもなってよ!」て怒られてその流れで復縁した。


 その後も付き合っては別れての繰り返しで、今回で関係が戻ったら5回目の復縁になる。


 チヅルと別れたのは今年の2月だから4ヶ月のブランクがあるな、これは1ヶ月の時よりも最長記録になるな。


「どうしてまた俺と付き合いたいと思ったの?」


 俺はまずは復縁の理由を聞いてみた。理由を聞かないと後で問題が起きて修羅場を体験するのはなるべく避けたいからな。


 理由を聞かれたチヅルは顔を赤くし、指をモジモジとして恥ずかしながらも理由を述べてくれた。


「ええとね実は、お父さんがね、私が男が変わりまくるのを見て耐え兼ねて、男を数人紹介してくれたの」


「紹介? いいじゃん、自分の父親の紹介なんて相性が良いに決まってるじゃないか」


「ダメなのよ! お父さんが選んだ男はどれもこれもダメなのよ!」


「何がダメなんだ?」


「3人紹介されたけど、1人目は女だからその年なんだからこうあるべきって趣味とかを口出しするし、2人目は俺は女を知ってるからお前を理解している、なんて面で寄ってくるし、3人目は生理的に無理なのよ!」


 3人目の人かわいそうだな。まあ1人目と2人目は今聞く限りチヅルとは相性が悪そうだもんな。


 今はオフだからかもしれないが、チヅルの服装はハッキリ言って女性らしくない。


 チェック柄の半袖のシャツに中は安物のワンポイントのシャツ、下は黒のぶかぶかのジーンズで履いている靴はランニングシューズだ。


 ついでにいうと化粧はしていない、完全にノーメイクだ!


 チヅルの美人フィルターでオシャレファッションと見えるだろうが、それは全くもって勘違いだ! 服装だけで言えば昼間の山航件で出くわした神様と何ら変わりはないのだ。


 長身であってもスタイルや顔たちがそれをカバーできるぐらい素材が良いのに、服装のセンスがそれらを無駄にさせる程相変わらずひどい物だ。


 女を求める男が、このような女という物を着飾ってないやつとは長続きしないだろうな。


 てかよく思ったら俺との初デートの時から一切変わってないか? あれほど手ほどきしたのに。


「まあ紹介された男とは馬が合わないのは分かったけど、それと俺と付き合いたいてのが内容的に掴めれないんだが」


「まだ続きがあってね、私が紹介された男性とは上手くいってなくて、それを見かねたお父さんが“ソウゴ君みたいな人と巡り会えればいいのにね”て言って、これだ!て思ったのよ」


「それだけ?俺はもっとこう、重要なことだと思ったけど、お父さんから名前が出たからって理由だけで復縁したいの!?」


「そうよ!」とチヅルは自信満々に首を縦に降って答えた。


「だって私のことを深く知ってるのはソウゴしかいないの、だからお願い、もう一度私とよりを戻して!」


 チヅルは力強く手を当てて俺に嘆願する。どうしてもマサトて人を諦めさせたいのが伝わってくる。


「分かったよ、そこまで言うならもう1回付き合うよ、これからもよろしくな」


「ありがとうソウゴ! これからも私たち2人でいっしょに歩んでいきむしょう!」


「へ、変なこと言うなよ、なんか結婚前提みたいな感じになってるじゃないか」


 復縁が決まると、チヅルは喜んで顔を上げて俺に笑顔を見せた。その笑顔は、まるで太陽のように、女性のように美しかった。


それに変なことを言ったから、なんか気恥ずかしくなって顔を赤くしてしまった。


「それじゃあ早速ソウゴのお父さんとお母さんに顔を会わせないと」


「おい待てよ、いきなり家はまずいって」


「どうしてなの?」


「いや、お前から連絡がくる前に進路のことで親父と揉め合ってさ、それでちょっと帰りっらいんだよ、だから」


「それだったら任せて、私にいい考えがあるから」


「え、本当に任せて良いのか?」


「言ってるじゃない、任せてって」


俺に言い聞かせるチヅルの表情は、どことなく俺に勇気と安心さを与えてくれた。


ーーーー


「それでお父さんと揉めて私の電話で家に出ていったのね」


俺はチヅルと自宅へ向かいながら、親父と揉めてたことについて身も蓋も隠さず全て話した。


もちろんスクラッチのことも。だがチートに関しては当然教えていない。


「そうなんだよ、親父ってアイツに贔屓なところがあるんだよ、そのせいで俺とジュリにしわ寄せがきてるのに、そんでもってずっと比べられるなんて堪えられねえよ」


「まあまあ落ち着いて、これからお父さんとお母さんに上京を納得させるから」


「大丈夫か?なんかやな予感しかしないけど」


「大丈夫よ、私も東京の大学に行くことになってるから、また4人でいっしょに遊ぼうよ、中学の時みたいに」


 実は上京の件を話したらチヅルも東京へ行くことが分かり、チヅルはファミレスの時よりも嬉しそうにいた。


「ミキとヒロユキは確定してるけど、俺のはまだ決まってないのは分かってるのか?」


「分かってる、そのためにあなたのご両親に挨拶して話をしたいの?」


「じゃあお前に全部任せるよ」


 俺が言うとチヅルは易しく微笑んだがどこか捕食者を漂わせる感じがする、だが根拠はないが安心感も感じさせてくれた。


 もう俺の家に着いた。チヅルを家に何度も入れてたのに4ヶ月以上も空いていると、どうも緊張が湧いてしまう。


 太陽が半分沈んでいるから恐らく時刻は18時半程度だろう。


 俺はドアを開いて「ただいまー」と声をかける。するとリビングからお母さんが出て来て。


「おかえりどこに行ってたの? あらチヅルちゃんいらっしゃい、元気にしてた?」


「お邪魔してます、元気にしてました」


 お母さんはチヅルに気付くと笑顔で対応して、チヅルも笑顔で返した。


「実は私、ソウゴのことについてお話があって来たんです」


「そう、それじゃあ上がって頂戴ね」


 言葉では出してなかったが、お母さんは上京のことだろうと察してリビングに招いた。


 リビングに入ると、机に親父が座っていた。


 チヅルを家に入れるのとは違う緊張が全身を走る。


「ただいま」


「----っ、ああ」


 一応声をかけたが、親父は不器用にも返事をしてくれた。


 チヅルが座りやすいよう席を後ろに引いて彼女をエスコートし、座ると俺も続く様に座った。


 親父は少し状況が読めなかったが、お母さんが俺のことについて少し話しがしたいらしい、と耳打ちすると親父の表情が変わった。


 数秒かまたは数十秒なのか、静寂が続くと緊張で喉が渇きだした俺は、お母さんが出してくれたお茶を少しだけ飲む。


 するとチヅルが口を開いて話を動かした。


「お義母さん、お義父さん、大事な話があります」


 ん? お義父さん? お義母さん? 何を言ってるんだ、俺の上京を後押ししてくれるんじゃ?


「私に、ソウゴさんとの婚約を認めてください、お願いします!」


 ブウウゥゥゥゥゥゥッ!!!!


 俺はマンガみたいに口に入れたお茶を盛大に噴出した。何? 婚約? どういうことなんだ!? 

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