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第10話 喧嘩

「いやあ、山航件て店結構美味かったな、ガス窯で炊いたご飯があんなにおいしいなんて」


 山航件で1人焼き肉デビューを果たした俺は予定通りに本屋で参考書とラノベ数冊を買って、ついでに勉強用の菓子をコンビニで買って家に帰った。


 今は自室のベットで横になって参考書を読みながら休憩を取っている。


 この後の予定は親父が仕事から家に帰ってくるまでの間、宝くじ用の口座を公式サイトのアカウントと繋げて、ロトで3桁数字が違うチケット2種類を300口ずつ購入した。


 それと1口300円のロトLを、3種類に分けて900口分も買った。ロトLはMと比べると当選類が多いから種類を1つだけ増やしたんだ。


 これだけでもう40万円も使ったんだ、1高校生が半日で使う金額じゃねえな。


 でもロトMの抽選日は月曜と木曜の周2回で、予定通りだと3日後月曜の抽選で、およそ210万円が当たるから40万なんてもうペイできる。


 それでも木曜の分もまだあるし、その翌日の金曜日はロトLの抽選日で、これも上手くいけば木曜も210万で、金曜は350万以上は当選する見込みだ。


 ネット購入で抽選が当たると、当選金額は約1週間後に登録した口座に振り込まれるから、すぐには手に入らないがまあちょっと我慢すれば通帳の0の数は増え続ける。


 数日前までは通帳に30万しか入ってなかった俺に、お前は神様から億万長者になれるチートを貰えるぞ!て言っても絶対に信じなかっただろろうな。


「週に470万ぐらいの収入だから、これを続けたら今月だけで1700万だろ、来月からは3400万かすごいなぁ」


 ヤベ、つい口にこぼしちゃったな。親が聞いたらどうしよう、いやでもこんなのはただの戯言として聞き流すか。


 でも宝くじ2種類だけでこんなに手に入れると思うと、最高だな!


 いや待てよ、たしか火曜日に抽選されるスモールロトてやつがあったな、確かそれも5等と4等が1万と1000円だったな。


 これもう買うしかないな!今はまだ40万あるけど来週ともしもの為に400口に抑えよう!


「これも入れたら月4000万も手に入れるとか最高じゃねえか!もうこれで不自由なしの生活を送れるぞ!」


「何が不自由だ?」


「ウワアッ!!親父、ノックしないで勝手に入ってくんなよ!!」


 俺が浮かれて独り言を発してると、突然親父がドアから顔だけを出して話しかけてきた。ビビるわ!!


 あれ、普段の親父と変わらないのに何故か違和感があるな、てか何で仕事中なのに家にいるんだ?


 何でだろうと親父を良く見ると、着ている服が仕事着でなく私服だというのに気づいた。


「あれ、今日は仕事じゃないのか?」


「今日は休み、朝は用事で出かけていてちょうど帰ったとこだ、今から母さんと買い物に出かけるけど付いて行くか?」


「ちょっと待ってくれ、俺、大学の事を2人に話したいから時間貸してくれる?」


「・・・・・・いいぞ」


 俺はあるものを握り締めて親父とリビングに降りて、母さんを呼んで一緒に食卓の椅子に座ると。


「親父、母さん、俺東京の大学に行って上京したいんだけど」


 これを聞いた親父はため息を吐く。


「ハァ、だから前から言ってるだろ、そんな金はウチには無いって」


「30万でも足りないのか?」


「足りないに決まってる! 30万で部屋を借りてもその後はどうするんだ?他のところにだって金を回さなきゃいけないんだぞ」


 親父はあたかも人生の先輩みたいな面構えで俺を説教し始めた。


 ここまでは予想通りだ。前から考えを変わってないのなら奨学金のことを出しても無駄だろうな。


 親父はまだ口を動かして俺を説教を続けた。


「ソウゴ、東京なんか行かなくても大学には入れるだろ?東京なんて行かなくても生きていけるだろ、そうだろ?」


「ああ、そうだよな」


「就職だって難しいんだぞ、お前なんか1人で生活ができる筈がないだろ」


 ここは敢えて好きなように泳がせておこう、下手に口答えすると考えが固まって“あれ”の効果が薄まるからな。


「ショウタを見習え、アイツみたいにしっかりしてたら県外に出してやるのに」


 ショウ!! アイツみたいにしっかりと?ふざけんじゃねえ!!


 ショウタは俺の2つ上の兄で、今は地元から離れて東京の私大に通っている。


 俺からしてハッキリと述べると、クズだ、最低のクズ野郎だ!


 俺が子どもの頃から銃やその類が好きなのを理由に、犯罪者扱いして馬鹿にされ続けて。


俺が高校受験の年に親父が単身赴任で母さんが毎晩仕事で家にいないのをいい事に、連日のように連れを家に招いてはどんちゃん騒ぎを起こしては俺の部屋を物色して俺の邪魔ばかり。


 そのせいで失敗してチヅルと同じ高校に入ることができなかった。


 それをアイツは「お前の努力が足りないから落ちたんだ」と馬鹿にした目で笑いながら言ってきたんだ!


 自分が連日どんちゃん騒ぎしたのをバレたら困るから、周りには最後まで支えていたアピールをしては裏ではずっと俺だけじゃなくヒロユキやミキとチヅルを下に見て馬鹿にするんだ。


大学だってアイツが私大に行って、仕送りなりなんなり家に金を貰い続けて俺とジュリの方にしわ寄せがきてるのに?


俺が高1の時にバイトして稼いで貯めた


 名前も聞きたくないクズにどこを見習えってんだ!?


 もう俺の中の何かが吹っ切れた。俺は部屋から持って来た“あれ”をバアン!と机に叩き突けて2人に見せた。


「これは?」


「金だ! この前宝くじで100枚やったらこれだけ当たったんだよ!」


 “あれとは”700万円分のスクラッチのことだ。


「ふざけてるのか!?」


「ちゃんと見ろ! 1枚1枚全部が当選してんだ!700万はあるぞ!」


 親父と母さんは俺の言う通りにスクラッチを見て確かめると、全てのスクラッチが当選していて、中に高額当選してるやつもあるのに驚愕した。


2人は何度も見直すが、このスクラッチにハズレがないのに変わりはない。


「これを銀行で引き換えたらアンタたちから金を貰わなくても大学には行ける、ヒロユキとミキと上京するって約束してんだ!今から縁を切っても構わねえぞ!」


「お前、親に向かって何言ってるんだ!」


「そんなのどうだっていいだろ!俺のためだからて言いながら意見とか希望なんかずっと耳を貸さねえくせに、毎回毎回アイツと比べやがって知ってるような口で親面すんじゃねえ!!」


「ソウゴ、いい加減にーーーー」


「ソウゴ、今から父さんと2人で話しをするから、ちょっと離してくれる?」


今まで黙って聞いていた母さんが初めて口を開いた。


怒りで息が荒くなっていた俺は、母さんの言う通りにスクラッチを全部持って親父を睨んで、これ以上は何も言わずリビングから自室に移った。


スクラッチを盗られまいと封筒に入れてカーペットの下に入れた。


「あれ絶対逆効果だったよな?ああもうクソ!」


親父に好きなように言わせてから、スクラッチを見せて黙らせてうんと頷かせる算段だった。


まあ金に物を言わせる事だ。俺がチート持ちてのがバレなければ宝くじの事は別に言ってもいいんだよ。


でも怒鳴りながら金を出して縁切りを持ち出したから印象最悪だよな、困ったな。


にしてもずっと隠さなきゃいけないてのはネックだな、絵とか他のチートは見せびらかしても才能て収まるだろうけど、俺のは才能じゃなくてほぼ異能みたいなもんだしな。


これからはもっと上手くバレないようにしないと、それよりテスト勉強が先だけどあんな後じゃ身に入らねえな。


prrrrrrrr


電話? こんな時に、誰からなんだ?俺は鳴り続けるスマホを取る。


ヒロユキからの電話だったら腹の虫が悪いから、ちょうど気分直しどこか誘って遊びに行こうかな。


そう考えながら画面を見ると、相手はヒロユキではなかった。


画面には貴戸チヅルという文字が入っていた。


俺の元カノであるチヅルからだ。

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