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茶番は続くよ、いつまでも

笑う総理

作者: 明日香狂香

本編はあくまでフィクションであり、該当する職業の実在する人物とは関係ありません。

なお、世の中の動行にあわせて、後日一部修正等することがあります。

 政府にはどうしても検事総長にしたい男がいた。しかし、困ったことに彼はまもなく定年で検事長のまま退官してしまう。本来なら国家公務員の定年延長の法案が通り、問題なく進攻できたはずだった。しかし、開始時期が遅らされてしまってすぐには使えない。

 早急に時間稼ぎが必要だった。そこで、国家公務員の勤務延長規定を使って、退官を遅らせることにした。


 しかし、この規定には不都合な部分があった。それは定年から退官までの間は安易に異動ができないことである。現職務の延長。これでは、検事総長にすることができない。なので退官まで定年が来てないことにしたい。

 しかし、役職縛りのある定年は一存では変更できない。閣議決定するにも国会で議論なしというわけにはいかない。このまま、勤務延長が確定しては後々やりにくくなる。

「検事長の定年延長が決まったということで流布しましょう。」

「それでは、人事院が黙っておるまい。」

「なあに、やつらも所詮は同じ穴のムジナ。警察と検察両方を支配下に置いた先のことを考える知恵があれば、借りてきた猫も同然。」

「お主も悪よのう。」

「いえいえ、まだまだ馬鹿殿を演じられるような器ではございません。」


 メディアは一斉に定年延長という言葉に飛びついた。ぐだぐだ国会で検事長が規定の定年を超えるのを待った。こうしてまずは退官を阻止した。野党は定年延長という言葉に反応し、定年について議論を開始した。定年になっているかいないか曖昧のままにしておき、定年延長の議論に持ち込む。国会が紛糾してくれれば閣議決定の大鉈がふるえる。とにかくすべてはあいまいな時間が過ぎるのが一番だ。


 こうして、法律をすり抜けた異例の定年の延期を手にすることができた。しかしこれだけでは不安だ。

「勤務延長を認める代わりに昇進は認めない。」

 ここで、妥協されるのが一番まずい。総長の罷免という荒業もあるが、うまくいくかはわからない。昇進可能というカードも必要だ。


 さて、ことは政府の思い通りに進むが、最後に大きな壁が立ちふさがる。検事総長は前任者が指名し、政府が任命する。ここをなんとしても政府が指名できるようにしたい。しかし、任命を指名と安易に読み替えることはできない。なぜなら、内閣総理大臣の指名は国会で行なうが、任命権は天皇にある。つまり、読み替えは、天皇の持つ任命権まで読み替えてしまうことになるからだ。

 普通なら例え異例の定年延長でも、延長中のものを後任に指名することはない。それは、延長理由が現職務の継続であり、昇進を前提にしたものでないからだ。そのため延長理由を明確にすることは避けた。能力に言及することで職務と切り離そうとした。


 はてさて、その後この男が昇進できるかどうかはみなさんのご想像にまかせるとしよう。

問題:

前例の無いことをした相手に、こちらが相手の都合のいい部分だけの慣習に従いつ続ける必要があるだろうか?

例:

東京検事長が検事総長になるのが通例。ただし、定年延長、勤務延長をしていない場合に限ってきた。

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