1 聖女偽装の罪
上を見上げれば、広い青空が広がっている。
澄み渡る青天というべき青空は、まるでこれから少女に行われる出来事を嘲笑うかのような晴れ晴れしさである。
少女はそっと、足元へと視線を向ける。
そこに広がるのは―――絶壁。
耳に聞こえるのは悲鳴のようにも聞こえる風の音で、その音すらも恐怖を与えそうなもので、少女の足元、一歩先には地面が一切なくてあるのは崖でしかなかった。
底は見えない。
噂では川があるのだとか、魔物の世界が広がっているのだとか、色々な説があるがどれが真実かは不明である。なぜならば、この崖に身を落として戻ってきた存在が皆無だからである。一人でも帰還した者がいれば真実を知ることができるかもしれないが、残念ながらそれは無理な話というものであろう。
ここは―――《断罪と審判》と呼ばれる場所。
もし本当に罪を犯しているのであれば、この崖から身を落として戻ってくることはできない。反対に、真実罪を犯していないのであれば、天はその身を救い、ここより舞い戻ることができるとされている。………もっとも、うまい文言をつけているだけで、ただの処刑場でしかない事は、多くの人間が知っているのだが。
少女が身に纏うのは、白いシンプルなワンピース。罪人用に用意されているそれは飾りも何もなくシンプルなもので、処刑方法によっては鮮血がはっきりとわかるデザインとなっているといってよい。
幼い頃から長く伸ばし続けていた髪は、無残にも肩の辺りで切りとられている。女性にとって髪は命よりも大事なものとされ、それを切り落とされるということは元の生活はおくれずに世俗から離れることを意味する。修道院等に入れられる場合は髪を切ることが一種の儀式となっている。
下から吹きつける風により、少女の艶やかな金髪が舞うように揺れる。
その金髪に飾られるのは、銀のサークレット。
それは、つけている人間の魔力を封じる魔道具であり、つけられた人間がそれに触れることはできない。外そうとすれば、その魔力でもって電撃のような反発力が起きるようになっており、これもまた罪人につけられる道具の一種である。
足元に靴はない。
裸足になっている足は傷だらけで、寒さや痛みから赤く腫れてしまっている。見ただけで痛みが伝わってくるようだったが、少女が痛みに顔を顰めることは一切なかった。
少女はただ、待っていた。
これから己に下される審判を受け入れ、心静かにその場に立ち続けていた。
少女から離れた――崖から少し離れた場所では、十数人の人々がこれから行われる審判の為の準備に勤しんでいる。
その声を背中越しに聞きながら、少女は思った。
(早くしてくれればいいのに)
と。
もう何も望んでいない少女にとって、これから行われる事をさっさと行ってほしいばかりだった。そんな少女に反して、後ろで騒がしくしている面々は、如何にこれから行う儀式が必要なもので、自分達の行いを正当化する為の準備に忙しかった。
あまりに暇すぎて、少女――元・アスナ・レニウム侯爵令嬢は、ここ一カ月の間に自身に起こった出来事を思い返した。
「アスナ・レニウム嬢はいるか!?」
国に唯一ある学園の礼拝堂に、大声を上げて飛び込んできたのは屈強の兵士達だった。
その時、定刻となっている祈りを行っていたアスナは、突然の名指しに驚いた。しかし驚いたのは何もアスナだけではない。共に祈りを行っていた生徒達であり、祈りの中心にいた司祭もまた、礼拝堂にありえない乱入に目を見開き、一部の者達に至っては普段近くで見ることもない兵士達の殺気めいた雰囲気に恐怖したくらいである。
礼拝堂にいた者達の視線がアスナへと当然集まる。
アスナは周囲の人達に頭を下げて一礼をすると、無作法者ともいえる兵士達に向かって向き合うように体の向きを変えてその場に立ち上がった。
「私ならここにおります」
凛と姿勢を正して向かい合えば、兵士達の中から一人の男がアスナの前へと歩み出る。その者は兵士達の恰好とは違い、見慣れた学園の男子生徒の制服を身に纏っており、集団の中で背丈も一番低い存在となっていた。とはいえ、それも仕方がない。成人済みで戦う事を仕事としる兵士達と、成人前の男子生徒である。その体格差はうめようがない。
その男子生徒の名を、ヒューリ・タンタルといい、アスナと同じ身分のタンタル侯爵家の嫡男として、将来騎士団に華々しく入団するだろうと噂に名高い存在だった。故に、学園では有名人となっている一人であり、話したことはないもののアスナも彼の存在を存じていた。
「貴殿を捕えよとの命が出ている」
「それは……どのような罪状でしょうか?」
「聖女と偽った罪だ」
そう言われた時、頭を過ったのはアスナの妹の存在だった。
(…………何かやらかしたのね)
一人、そう納得するものの、一応問いかけてみる。
「それを否認することはできるのでしょうか?」
「それはならん」
「………でしたら、同行致します」
多数の兵士達が目の前におり、後方には共に祈りを捧げていた者達の姿がある。ここで否認して同行を拒否したところで、無理やり争うようにして連れて行かれる事が目に見えている。下手にこの場で大事にするべきではない。
そう判断し、アスナは司祭へと頭を下げると、ヒューリ達に従った。
心配するような眼差しを向けられはしたものの、現状としてどうすることもできない為、アスナは心配してくれる人達を安心させるように微笑みかけることしかできなかった。
ぞろぞろと屈強の男達が歩む中に、一人、女生徒が混ざっている姿は多くの者の目を引いたことだろう。それを他人事のように思いながら、アスナは思った。
(………あの子、一体何をやらかしたのかしら…)
思うのは、自身の妹のこと。
歳は一つ下で、アスナとは全く性格も異なれば容姿も異なる。
アスナの性格はどちらかといえば冷静で感情をそれほど表だって出すことはないが、妹は違う。天真爛漫を地でいくような性格をしており、常に幸せそうな笑みを浮かべていて無邪気である。アスナが父親似で綺麗系であれば、妹は母親似で可愛い系の容姿をしている。その為、アスナ達が生まれたレニウム家で妹の方がちやほやとされたのは言うまでもない。誰だって可愛げがある子どもの方を可愛がってしまうものである。
別にアスナはそれを恨んだことはない。
寧ろ、煩わしくなくてよいとさえ思っていた。
だから―――アスナは妹と一つの契約をした。
それは、己にとっても悪い事ではないと思ったからこそ、妹の提案を受け入れたもの。
――――が。
まさか、この後想像以上に馬鹿な問題事に巻き込まれてしまう等、思いもしていなかった。
「お前は聖女の身分も己の手中にしようと、妹に聖女の振りをさせていたというのは真か」
連れて行かれた王宮の中にある取調室的な部屋において、最初に言われたその言葉にアスナは呆気にとられた。
「…………一体何のことでしょうか?」
「だから、高位魔術師の地位だけに飽き足らず、聖女の身分も手に入れようとしたのだろうと聞いているんだ」
「…………はぁ…」
意味が、わからない。
そもそも聖女の身分を手に入れるのであれば、アスナ自身が振りをすればいいのに、どうして妹を利用する必要があるのか。言われている言葉の内容が支離滅裂すぎて、理解ができない。
アスナは、この場にいない妹が一体何を言ったのか、嫌な予感しかしなかった。
「……………妹に会わせて頂く事はできるのでしょうか?」
「ならん。あの者は姉に利用されただけだと泣いておった。そんな者を加害者であるお前に会わせることなどできない」
「泣いて……」
妹が泣く姿は容易に想像ができた。
淑女として人前で涙を流すことは憚れることであるというのに、感情豊かな妹はそれを隠そうともせずに人前で堂々と涙を流す。それは忌みされるべきことだというのに、あまりに綺麗に泣くものだから、その姿を見る者の多くはその姿に魅了されてしまい、妹の存在、所業を正当化してしまうことがある。よって、アスナは目の前のヒューイもまた、魅了されてそうなってしまった一人なのだろうと判断した。こうなると厄介な存在でしかない。
「………そもそも私はどうやって聖女を彼女に偽らせたというのでしょうか?」
「お前が後ろから、その魔術でもって聖女もどきの力を行使して我々をだましていたのだろう」
「後ろから……」
(私はそもそも妹とは、学園に入ってから三年程、顔を全く合せていませんが)
そうツッコミをいれようとしたものの、言おうものならまた魔術で…と何でも魔術のせいにされるのは目に見えていた。
――この世界には、魔力と呼ばれる力が存在する。
それは生まれ持ったものであり、それを持つ者だけが魔術を使うことができ、正規の魔術師になる為に学園に通うことを命じられる。アスナもまた、幼少の事に魔力があると判断された為に、十三になった時に魔術師養成の為の学園へと入学した。全寮制の為、例え貴族であろうとも自身の世話は自分でする必要があり、アスナは学園に入学する事で自ら生活をする力を手に入れた。この学園では「貴族の娘がそんな事をするなんて」と叱咤されることもない。料理をしても掃除をしても、寧ろするのが普通とされている為に、アスナは少々、貴族らしさから離れた感覚を身に着けていた。これが男であれば自身の家を継承したり等とあったかもしれないが、女で魔力を持つ存在は希少であった為、アスナは一般的な貴族の女性としての道は諦め、学園を卒業すれば魔法省に就職する事が決まっていた。――まだ卒業まで一年の猶予があるというのに、既に決まっている事は、アスナが魔術師として優秀であることを意味している。既に幾つもの試験を合格し、高位魔術師の称号を得ている女魔術師として、アスナは少々有名人であった。
そんな魔術とは別の力を持つ者として、聖女という存在がいる。
彼女たちは聖なる力をもって人を癒すことができ、これもまた生まれもった力の一つであった。ただし、その能力が開花するタイミングは人によって異なる為、幼少の頃からその力に目覚める者もいれば、成人する頃に目覚める者もいる。その為、こちらは学園ではなく、力に目覚めてから神殿預かりとなる者がほとんどである。例外があるとすれば、お金のある貴族においては、親元から離す事をよしとしない為、魔術師の学園と同じくらいの年齢まで待って神殿預かりとなる場合もあるということだろう。
アスナは本当に珍しいことに、魔力をもちながら、聖なる力も持ち合わせていた。
それも、魔力同様に聖なる力も強いということを、幼少の頃に理解していた。魔術師同様、聖女にもランクがある。より強い聖なる力を持つ者が、位の高い聖女として扱われる。
幼子だったアスナは思った。
(………私、聖女よりも魔術師の方がいいわ)
と。
幸い、聖なる力を使わなければ、魔力と違って判定する機会もない為にばれる心配はない。
その為、アスナは聖なる力がある事を自負してから、それを隠し続けていた。特に、魔力判定を終えた後は慎重に。
だが、うっかり……というよりも、仕方なく妹を助けてしまった為にその力が妹にばれてしまったのである。
どうしようか、とそう悩んだ時―――妹は言った。
「わたくしがお姉さまの代わりに聖女になりますわ」
と。
そしてこうも言った。
「きっとわたくしは、その為にお姉様の妹として生まれたのですわ」
残念かどうかはわからないが、妹には聖なる力は存在していたが、その力は本当に僅かな程しかなかった。力で言えば、小さな傷をぎりぎり癒やすことができるというくらいのもの。
うっとりと自身に酔うようにして、妹は恍惚の表情を浮かべてアスナへと手を差し伸べる。
「さあ、わたくしの為に、その力を使って下さいませ」
この時のアスナの心情は、色々とぐるぐるとしていたのだが、まず思ったことは、
(この子、すごいこと言ってるわね)
という事。
普通に考えれば、普通の思考回路をしていれば、どこをどうしたら姉の力を使って聖女になろうという考え等浮かぶというのか。――否、浮かばないにきまっている。
それなのに、さもそれが自然の摂理のように語っているのである。ある意味大物といえよう。
普段からぶっとんだところがある無邪気な、というよりも子どもっぽい考えを持ったままだったからこその妹の発想力だったのかもしれない。
アスナは少し考えた。
考えて―――それを了承したのだ。
魔術師になりたいと思っている自分にとって、それは悪い申し出ではないと思ったから。
それから数年、共に屋敷にいる間は妹が力を使う時にこっそりとアスナが聖なる力を使い、人を癒す等の行為に努めてきた。
その成果もあり、無事に妹は力のある聖女として認められ、アスナが学園に入学した後に神殿預かりとなったらしい。その後のことはよく知らない。アスナが力を貸すことができなくなった為に、妹の聖なる力は弱まったと判断され、適当な下位の聖女にでもなるのだろうと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。
どこをどううまくやったのか、妹はそれなりの高位の聖女となった。
特に奏でる歌には癒しの力があるとされ、聖女のお勤めの際には歌姫として歌を披露し続けていたらしい。……らしい、ばかりなのは、たった今アスナは話を聞いてしったばかりだからである。
さて、そんな妹であるが、とうとう力がそれ程ないという事実が発覚してしまう事件があったらしい。
当然、人々は妹を責めた。
そして、言ったらしい。「姉にやらされていたのだ」と。
そんな事を言う妹も妹だが、それを信じる周りも周りだと思わずにはいられない。魅了の魔法を使いましたと言われたら、うっかり信じてしまいそうだ。が、妹は魔力がないのでそれはできない。よっぽど魅了にも似た魅力を妹は持っているのだろう。
聖なる力と魔力は全く異なる。
魔力でもって聖なる力を偽装することはできない為、少しでも考えれば偽装の手伝いをした相手が聖女であるとわかりそうなものだが、残念なことに――アスナにとって残念かどうかは不明だが――思考回路に霧でもかけられているのかそこに辿り着く者は現れず。
あれよあれよという間にアスナは聖女偽装の罪人へ。
神聖化されている聖女だからこそその罪は重いと判断され、一月もしない内にアスナは《断罪と審判》にかけられる事になった。
その一月の間にこれまた色々とあったりしたのだが、とてもうざい出来事でしかなかった為、アスナは精神の安定上、その事を思い返すことはしなかった。
「……………」
未だ後方で騒がしくしている面々を一瞥する。
その後で己の恰好をもう一度見直す。
ここに連れて来られるまでは縛り付けられていたのだが、今立っている場所に来るにあたり、魔力封じの拘束具以外は外されている。よって、手足の自由は効く。
「…………」
アスナは崖へと視線を向け、一人、納得するように頷く。
そして―――― 一歩、前へと足を踏み出し、
「うわぁぁぁ! 罪人が風でバランスを崩して崖へと落ちたぞ!?」
「まだ儀式を終えていないのに何という事だ!!?」
等と、遙か後方で喚きだす声々をバックミュージックにして、アスナは崖へと己の身を投げた。
落下する。
風を切るように、落下していく。
髪やスカートが風ではためくどころではない惨状となっていたが、それどころではなかった為にアスナは気にしない。
徐々に落下する速度が上がり、風の音が耳を傷めるようになり、目も開けていられなくなる。
「……………さよなら、私の人生」
(できれば、魔術師として働きたかったなぁ…)
そう思いながら、瞳を閉じる。
そして――――暗転。
アスナは自身の意識も投げ出して、全てをブラックアウトさせた。―――というのに、
「はぁぁぁぁぁ!?」
聞いたことのない少年の声によって、アスナの意識は覚醒する。
冷たくて耳を傷める風の音は一切聞こえない。
そっと瞳を開ければ、目の前に先程の声の主だろう、見知らぬ少年の顔があった。
「あら…?」
ぱちっ、としっかりと目を見開いて自身の現状を把握してみれば、何故かアスナの身体は見知らぬ少年の腕の中――所謂、お姫様抱っこのように抱きかかえられていた。
パチパチと何度か瞬きをする。
少年の姿は消えない。
空いている手で目を擦ってみる。
やはり少年の姿は消えない。
「とりあえず下して頂いてもいいかしら?」
「へ? あ、は、はい……っ?」
見知らぬ少年の顔には、はてながいっぱい浮かんでいる。
どうやらこの状況は少年にとっても予想外の展開だったのだと知れるが、かといってアスナが現状について説明できるわけではない。アスナ自身も、頭の中ははてなでいっぱいになっている。
足を地に着ければ、しっかりと地面の感触が裸足の足に伝わる。
周りを見回す。
「……………闘技場?」
円状に広い何もない空間を囲むように、少し高さが高くなった位置に円状に椅子が並んでいて、そこにこちらもアスナにとっては全く見覚えのない人々が座っている。見覚えのないどころか、傍にいる少年が纏う服装にも違和感がある。見たことのない造りの服装を皆が皆、身に纏っている。
その円状の空間の離れた位置、少年と向かい合うようにして別の少年が立っていた。
少年の傍には、獰猛そうな犬が寄り添っている。アスナの存在を威嚇しているのか、鋭い牙を見せて、ぐるるる…っと唸り、涎を滲ませていた。
沈黙が流れる。
アスナも何を話すべきか迷って口を閉ざし、先程アスナをお姫様抱っこしていた少年もまた、おろおろと狼狽えて口を開かない。というよりも、口を開けないでいる。周囲の観客と思われる人達も然り。
そんな中、真っ先に言葉を発したのは、向かい合うようにして立っている少年だった。
「はっ! だっせーの! 口寄せしたかと思えば、何もできそうもない女かよ! こりゃあ勝負は決まったなぁ!!!」
鼻で嗤うように、口調も人を小馬鹿にするようなもので、その少年はアスナの傍にいる少年を指さして、ついには大声で嗤いだす。
それを合図としたのか、観客と思われる人々も馬鹿にしたように、どっと嗤いだした。
「…………っ」
傍にいた少年が、何かを堪えるように唇を噛み締めた事に、アスナは気が付いた。
(……………どうなっているのかはわかりませんが)
とりあえず、アスナが分かった事は、自身がこの少年によって口寄せ?という召喚を受けてここにいる、という事と、どうやら勝負をする為に呼び出されたという事だった。
「申し訳ありませんが、貴方、これを外して頂く事はできますか?」
言いながら、アスナは手で触れないように気をつけながら頭につけたままであるサークレットを指さす。
「へ…? あ、はい……」
アスナに言われるままに、少年はアスナの頭にあるサークレットへと手を掛けて―― 一瞬、外しにくかったのか顔を顰めたものの、ふんっ、と力を入れてそれを外すのではなく―――破壊した。
バキッ、と小さな音を立ててサークレットは壊れ、破片が床へと舞い落ちる。
「あら。凄い力」
本来なら、魔力か何かを流して外す正式な手順があるのだろうけれど、それを無視して力技で壊してしまうとは思わなかった。が、サークレットが外れたのであれば、アスナ的には問題はない。
「よくわかりませんが、多分、私を呼んだこと、後悔はしなくていいと思いますよ?」
にっこりと微笑みかけて。
アスナは今の今まで封じされてきた魔力を放出させる。
よくわからない場所であれど、魔法は無事に使えるらしいと判断し、アスナは先程馬鹿にしたような言葉を発した少年へと向かい合うと、妖艶な笑みを浮かべて―――言った。
「―――さあ。お仕置きの時間ですわ」
そして―――闘技場、と思わしきその場所は、大きな爆炎に包まれた。
とりあえず中編くらいの長さで書けるといいな、と考えています。