パワースポット
考えながら歩いていると、いつの間にかいつものパワースポットに来ていた。一人暮らしの家からはそう離れていない森で、綺麗な水が流れていて、地元の人の癒しの場となっている。ここに来るといつも気持ちが穏やかになって、力が出るような気がするから私の中ではここはパワースポットとなっている。勿論、飛ぶためのパワーを貰いに来てる。いつもは、日が暮れる前には森を出るのだが、今日は、これから飛ぶために何をして行けばいいのか分からなくなり少し落ち込んでいたため、いつもより長く森に入っていた。幸い今日は満月で、暗い森の中にも光がさしてきて夜の森に恐怖を感じることはなかった。月に照らされキラキラと流れる水は一体どこから来ているのだろう。ふと、佳織はそう思った。この森には幾度となく来ているのに、いままで気にならなかったのが不思議なくらいにその小川と呼べるかどうかの水の行方が気になって仕方がない。
少しだけならいいよね?わざわざこんな暗い時に見に行かなくてもいいのにと、自分でも思うが、どうしても気になる。少し水を辿っていったら直ぐに戻ってこよう。と思い足を進めた。
10分、いや20分くらい歩いただろうか。時間の感覚が無くなるほど森を歩くことは楽しかった。月明かりに照らされる木々は美しく、心地よい風に身を任せて夜の静けさを楽しんでいるようだった。
湧き水だったのか〜!
佳織がここで足を止めたのは、探し求めていた場所に辿り着いたからだった。水は音を立てることなく次から次に湧き出ていた。佳織はしばらくそこで水の湧き出る様子を眺めていた。 しまった!思ったより時間が経っちゃった。そう思い立ち上がると、急に眠気に誘われて自分が温かい光に包まれるように感じた。