私という名前
その呼称を愛しています
しかし
それは私の名前ではありません
それは他者が私を呼ぶ呼称です
私の名前ではありません
その呼称は
まだ空気の味を知らなかった頃に
母がお腹を撫でながら考えてくれました
その呼称は
私が生まれる前から私を指し示していたけれど
私の名前ではないのです
私の名前は私が知っています
他の誰でもない 私だけが使う名前
誰よりも一番多く 私を呼ぶ呼称
私が私を呼ぶ 『私』という呼称
それが私の名前なのです
万人に共通する 私だけの名前なのです