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雇われの身分
胸の中で悪態づいてはみたものの、わたくしはバカではありません。
ここで反論するよりも、従わなければ己の生活に支障をきたす。給料という名の人質は大きい。そう判断した心の中の天秤が、咄嗟にお嬢様の方へ傾きます。
「か、かしこまりました。」
ご主人様、万歳。
* * * * *
この体に染みついた社畜脳で乗り切ること数秒。権化は鼻歌を吹きながら、この部屋を去ろうとしています。
「ま、効果覿面だったらお前にも分けてやるよ。」
「はい、ぜひ。」
このまま、男にしか効かない謎の媚薬に貴重な時間を費やすのは、もうやめにしましょう。




