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本音と建て前
亜利紗お嬢様は一瞬、権化の言葉が理解できなかったようです。
「それでいいのですよ、お嬢様。」
心の中で安堵の息を吐きながら、わたくしは目の前のエセ料理人をにらみます。
「そういう問題ではありません。」
性別ではなく、用途に問題があると言いたいのです。
* * * * *
今夜もどうせ仕事終わりに女性と楽しむつもりなのでしょう。
「あなたの行動に微塵も興味はありませんが、お嬢様にいらぬ知恵を与えられては困ります。」
ただでさえバカなのですから、これ以上、面倒くさくなりそうな情報を与えないでいただきたい。




