表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あいしてる  作者: 粥
18/28

18話

「........」

「ねぇねぇ、ここら辺に住んでる子?」

「俺らちょっと迷っちゃってさ〜」

「キャンプ場近くにあると思うんだけど、案内してくんな〜い?」

「........」


秋乃はしつこく案内してくれるよう頼んでくる男三人組を無視して店の前の掃除を続けた。今日の夕飯でも考えながら。



今日も今日で仕事をしていた秋乃。

最近風が強い日が続いていて、店の前の落ち葉が多くなり過ぎてしまっていたので、久子から片付けてくれる様に頼まれたので掃除していた。


だがその途中、偶然店の前の道を通りかかったチャラい男たち三人組に見つかり、今に至る。

そして今も尚三人は秋乃に話しかけ続けていた。


「ねぇねぇ〜?掃除なんてしてないでさ〜」

「........」

「キャンプ楽しいよ〜?」

「........」

「てかホント可愛いね〜?俺君のこと欲しくなっちゃった」

「........」


ずっと話しかけていただけの一人の男が秋乃の髪の毛に触った。

秋乃はそれが相当嫌だったらしく、持っていた箒で髪を触って来た男の手を叩いた。


「........!」

「いって...!...やっと反応してくれた」

「........」

「俺マジで君のことタイプだわ」

「おいおい、遊ぼうっつたのオメェじゃねぇかよ〜」

「一人でガチになんなよ。俺らが遊べねぇじゃん」

「うっせ。ねぇ俺となら行けないかな?」


一人の男性が秋乃に本気で迫り始めた。

久子も店の奥にいて、まさか秋乃がこんな状況になってるとも知らないので助けにも来れない。

秋乃は後ずさりして店内に逃げようとした。だが男が秋乃の腕を掴みそれを止めた。


「........!」

「逃げないでよ傷付くなぁ」

「あはは、ヤベェ〜」

「怒った顔も可愛い〜」


秋乃は由良と雅彦以外の男性に触られたのは久しぶりで、しかも強くて痛く、由良の様に優しく無い。

それが恐怖へと変わり涙が頬を伝う。


「...っ!...っ...!うっ...」

「あらら、泣いちゃった」

「ちょっ、泣かないでよ〜俺が悪い事してるみたいじゃん」

「悪りぃだろーが」


男たちは笑い出した。だが秋乃の掴む手は緩まず、秋乃は振り払おうとしても、非力すぎて出来ない。

いよいよ連れて行かれそうになった時、三人の男たちの顔の近くに鉄の棒が現れた。


「うおっ!?」

「あっつ!!?」

「なんだ!?」

「うるせぇよ、触れさせなかっただけありがたく思いやがれ」


鉄の棒の先は熱そうに赤くなっていて、熱気が漏れている。陽炎で空気中がゆらゆら揺れていた。

急にそんな物が顔の近くに来たので、三人はすぐにその場を離れた。

ついでに秋乃の手も解けたので、秋乃は由良に呼ばれるより先に由良に抱き着いた。


「秋n...ってもう来た」

「........(グリグリ)」

「いた...痛い痛い、何?怒ってんの?悪かったって。つか危ねぇから今は離れてろ」

「........(コクリ)」


秋乃は抱き着くのをやめて由良の服を掴みながら背中に隠れた。

三人は由良のことを睨んで来たので、由良も相手を見返す。


「何なんお前?」

「つか熱した鉄の棒顔の近くに持ってくるとか非常識過ぎんだろ?」

「誰だてめぇは」


三人が口々に聞いてくるので、由良は真っ直ぐ相手の質問に答えた。


「この子の家族」

「あ?家族だぁ?」

「こいつは今仕事中なんだわ。相手なら俺がする」

「俺らその子がいーんだわぁ」

「そうかぃ、でもそれは出来ねぇ。悪りぃな」


由良がそう言うと、秋乃に近付こうと男が歩み寄って来た。

すると秋乃が由良の服をギュッと力強く握った。

瞬間、由良は秋乃には見えなかったが、今まで見たこともないくらいの怒りの表情で三人を睨んだ。


「お前ら、こいつに何した?」

「これからすんだよ」

(なんだあいつ...急に雰囲気が変わった)


珍しく腹の底から怒っている由良は、秋乃の手を服から離し、鉄の棒を持って三人に近付いた。


「この棒の先端、600度あるんだってよ。ところで、人間の皮膚に600度の鉄の棒が触れたらどうなるか、お前ら知ってるか?」

「お...おい!あいつマジの顔してっぞ」

「ちっ、帰るぞお前ら」


三人が帰っていったので、由良は怒りを収めて工房へ戻ろうとした。

だが秋乃は由良にまた抱き着いて来て足を止めた。


「ん?」

「........」

「怖かったか?」

「........(フリフリ)」

「ははっ、流石だな」


秋乃は由良のその笑顔が無理やり作られた物だとすぐに分かった。

だってその顔は、秋乃が散々見て来た笑顔だったから。


「........」

「うぅ〜...ぁにすんはよ(何すんだよ)」


由良の頬を両手で強めに挟み、その笑顔を無理やりやめさせた。

由良にだけは、その笑顔を向けられたくなかったからだ。


「........(フリフリ)」

「...ごめん、嫌だったんだろ?今の笑い方」

「........(コクリ)」

「ふぅ...、秋乃には嘘つけねぇな」


由良は珍しく自分から秋乃を抱き寄せた。

秋乃の頭を片手で自分の胸に持って来て、ちゃんと秋乃を感じて。


「...なんか嫌だったんだ。俺と親父以外に秋乃が触られてんの」

「........」

「まぁ物理的に手を延ばしゃ触れられるんだけどさ。そういう事じゃなくてな」

「........(コクリ)」


しばらくそうしていたが、由良は仕事中だったのを思い出して、秋乃に仕事に戻るように促し、自分もすぐ工房に戻った。d

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ