異世界転移~姫が俺の元にやってきた~
異界からやって来る者たちとの闘争を繰り広げる、統一帝国の王城の儀式の間、以前は魔王だ、獣王だ、亜人王だと世界中で戦が開かれていたが、最終的には、人族の一部が発起し、それに同意したすべての種族の一部たちがこの戦乱の世界を平定させた。
正確には平定させたと言うよりは、突如現れた異界からの侵略者に対して、全ての者たちが協力して何とか対抗しているという現状でしかないのだが。
奴らは唐突に戦場として使われていた平原に表れた、良く判らない鉄の塊が出現し、そこからわらわらと現れたのだ。
当時の魔王、獣王、亜人王、人王は、これらを何とか押し返し、全ての魔導士たちが協力して行った儀式魔術を持って封じる事に成功。
結界の維持のために常時千人程の魔導士たちが、交代で結界を維持し交代要員として万人単位の魔導士たちがそこで待機している。
現状それらを維持するためにも、世界中で魔導士を育成し、彼らの生活を維持するためにそこに街が作られ、食料を生産し、不足が有れば運び込まれると言う環境を整えた。
一見維持されているようにも思われるが、この状況とて常に魔導士が育つわけでもなく、過剰になったり不足してしまったりと言う事態が起こる。
そうして結界が稀に緩んでしまうと又、侵略者が入り込んで多大な犠牲が発生する。
ほとんど綱渡りのような状況で世界が維持されている。
帝国にて、古文書を解読した結果、以前にも異界の侵略は有り異界ではなく異世界から協力者を召喚し、それによって何とか勝利をおさめ、今の時代が有ったという事が発覚。
現在その召喚の議を行うため、各種族の姫たちが一堂に会して儀式の準備を行っているのだった。
「姫様方、そろそろ準備が整います。お覚悟は宜しいでしょうか」
「「「「愚問、もとより覚悟の上です、わが身一つで世界が救えるのならいつでも捧げましょう」」」」
「では参ります、皆さまどうかご無事で」
その言葉が紡がれると同時に、儀式の間がまばゆい光に包まれ、収まると姫達はすべていなくなっていた。
カップ麺を啜りながら、目の前のモニターに現れた、インストール完了の文字を確認し、アプリケーションを立ち上げる。
世界に四本しかないアプリケーション正確には四種類なのだが、それのうちの一つを入手する権利を得た俺は、早速ダウンロードしてインストールを行った。
なぜそのようなソフトをと言われれば、VRダイブと言うシステム環境の開発者の一人だからなのだが、VRダイブは、催眠状態に陥らせ、脳波操作を行い仮想現実空間へと入り、完全に通常空間と同じ体験及び、パラメーターを弄ることで仮想空間でしか出来ない事が出来る世界へと入るためのシステムである。
人の脳の研究はかなりの終焉まで至り、今では脳刺激により、記憶の復活や欠損神経の治癒を促したり、再生能力を上げ欠損部位の再生や、治療の加速をしたりなどと言った領域まで来ている。
そこで提案されたのがVRダイブである、仮想空間で体験することによる身体への影響を調査し、いい結果のみを身体へとフィードバックできないかと言う試みで、これを行うためにシステムを作成し実験した結果、身体強化等は可能になった。
現在では、高校を卒業した年齢ぐらいの者たちの身体能力は、以前の世界大会などの優勝者並みとなっており、その代り犯罪者に成れないような措置が取られている。
すなわち、世界中のすべての人たちには、チップが埋め込まれている。
このチップによりVR環境へと何時でもダイブできる事にもなっているのだが、このチップ自体が犯罪を行えば、どこに居るかなどが丸わかりになり、犯罪を行えば即捕縛されるため誰もが犯罪を行わなくなっている。
システム構築に携わった者たちの中でも、各分野ごとの四人のチーフたちにのみ支払われた報酬がこのアプリケーションで、VRに於いての質感などの究極を目指したアプリケーションである。
プライベートVRを使い、このアプリケーション内の子とにゃんにゃんできる。
ただそれだけ用のアプリケーションではあるが、なぜこれが流通しないかと言えば、以前居たのだVRでそう言ったことをするアプリケーションを使い、そのままずっとそちらに行ってしまい植物状態になったものが。
それ以来、そう言った行為は、一日当たりの制限時間がつくようになり、ガッツリと楽しめなくなっているし、基本的にVR上でのそう言った相手が居ないと出来なくなっている。
このソフトはそれらの制限を取り払い、持ち主の自由にできるタイプとして存在する、唯一無二のアプリケーションなのだ。
「あー、残り物って言ってた割に、普通のタイプだったか」
モニターの前の少女を見て、選択肢が現れたのでそれの内容を読み始める。
彼女はとある帝国の姫様です。貴方へと呼び掛けておりますが此方へと呼び寄せますか、向かいますか?
「そりゃ、呼び寄せるに決まって居るだろう」
食べていたカップ麺も食べ終わりごみ箱に捨てると、モニタの前に座りなおし、呼び寄せるを選んだ。
その瞬間モニタから少女がにゅるりと言う感じに質感を持って現れた。
「お、おおおお、VR切り替えスムーズ過ぎんだろこれ」
現れた少女に押し倒されながら、嬉しそうに抱きかかえる四十半ばの男、三枝斗真は倒れて打った後頭部をあまり気にせず、現れた少女を抱きかかえると、ひとまずベッドに寝かせた。
突いたりしてみるが、まだ眠りから覚めず唸っているだけであった。
寝ているままするのも嫌だったので起きるまではほおっておくことにし、室内の状況を調べ始めていた。
「んん、何処も乱れが無いどころか、俺の部屋を完璧すぎるまでに再現してるな」
ふと気に成り、玄関を出て外を見に行くと、いつもと同じ日常が繰り広げられていた。
慌てて部屋に戻り、完全防音を起動して思いっきり叫んだ。
「なんじゃこりゃー、VRじゃなくてリアルじゃねーか、さっきの子はモニタから出てきたとか、何処の漫画の世界だよ!」
叫び終わり部屋に戻ると、少女が目を開き青い顔をしながら此方へと駆けよって抱き着いてきた。
「お、お願いしっします英雄様どうか私たった…(おろおろろお)」
抱き着いたまま豪快にリバースされ、斗真は仕方なしに少女を風呂場へと連れていき、シャワーを浴びて体を洗うように指示をした。
脱衣所から出ると、自分も服を脱ぎひとまず洗濯機へ放り込むと、台所で体の汚れた部分を洗い、床をきれいに掃除した後、仕方ないので自分のシャツとジャージを出して、脱衣所の前へ戻り扉をたたいた。
「入って平気か」
「は、はい………どうぞ」
入ると一糸まとわぬ姿のやや青みのあるブロンドの少女が、もじもじとしながら立っていた。
慌てて背を向けたが、自分もいい年でそれなりにご無沙汰なせいもある、きっちりと脳裏に焼き付いてしまった。
「はぁ~これはとても眼福なものを(何故裸のまま、せめてタオルで隠してほしかったんだが)」
「ええと、何をどうすればいいのか判らず、服は気持ち悪いので脱がせていただきました。あと思考と言葉が逆に成って居ますよ」
「ええ、それは済まない、その横の大きいふわふわした布で体を隠してくれ(思考が読めるのか、特殊能力者という事か)」
「はい、隠しました、それと思考が読める特殊能力は、私に生まれつきついている能力です」
そう言われたので漸く振り向くと、それでも十分な破壊力を持った少女がそこに立っていた。
タオルからはみ出た綺麗な肌、ついつい目を引かれてしまう髪、そして吸い込まれるような緑色の瞳。
「緑色の瞳?色素的に有り得ない色をしているな。ひとまずシャワーの使い方を教えるからついてきて」
「は、はい」
お風呂の中に入り、色々と説明をすると、そのたびに目を丸くして驚いている。
何とか説明が終わったところで、衣服を洗う許可をもらい、ジャージなどを着て我慢してもらうように頼むと、洗濯を始めた。
彼女が風呂から出た後、ダイニングキッチンで椅子に座るように言い、風呂上がりの麦茶を与え、足りなければ冷蔵庫から出して飲んでくれと言い、風呂に入ることを伝えて風呂と着替えを済ませた。
戻ってみると、色々と興味津々だったらしく、部屋の中を触らない様にしながら色々と凝視していた。
触られて困るものもないので、色々と教えるとなるほど素晴らしい技術なのですねと言って感心していた。
「さてそれでは、君は一体何者でなぜ先程の様な事に成ったんだ」
「は、い…ええと、私はこの世界とは別の世界の帝国と呼ばれる国の姫です」
なぜここに出てきたかなどを聞いてみると、なんでも異世界では異界の侵略者なるものが居てそれを解決できるのが、異世界の者たちだと言う話らしい。
それで、協力を取り付けるために世界跳躍の儀式を行い、すぐに来てもらえる場合はすぐに来てもらい、そうでない場合は呼び寄せられ、そちらで生活を共にし来てもらえるよう交渉するのが姫たちの役目だとの事だった。
「で、なぜ最初いきなりリバースを」
「お恥ずかしながら、この世界は私たちの世界よりマナが濃く体を動かすのもかなりの支障が出てしまい、唐突にマナが濃い場所に行ったことによるマナ酔いを起こしてしまいましたすみません」
「マナねえ、あーああ、あれかエーテルリンク通信の弊害か、そっこらじゅうに増幅用ブースターあるからなあ」
この世界のVRダイブ向け通信は、既に科学の領域を超越している大気中にあるエーテルを増幅しそこを通信網として使うようにしているのだ。
このエーテルから、エネルギー変換を行い体内のチップも稼働させているため、もし亜人ちゃんプログラムを選んだ変態科学者がこの世界に居なければ、このVRダイブシステム自体が存在し得ない事態だった。
「マナを増幅?そんな技術がこの世界にはあるのですか!それが有れば、この濃度のマナを維持できるのですか!」
「まあ確かに出来なくはないわな、作るための環境が必要ではあるが」
「荷物持ちなら任せてください!収納でお城ぐらいの大きさまでなら運べますから!」
「お城がどの程度のかにもよるが、一軒家程度の量が運べるなら可能だな」
そんなところで、彼女のお腹がくぅと鳴いた。
少し可笑しくなってしまい笑ってしまったが、彼女は顔を真っ赤にしながらポコポコと殴ってきているがそれが妙に心地よかった、謝ってカップ麺でいいかと聞いたところ理解できなかったようなので、ひとまず味噌ラーメンを食べさせてあげたところ、美味しい美味しいと涙を流しながら食べていた。
そこで思い出してしまったことは、本来は彼女とVRでにゃんにゃんするつもりだったことだ。
彼女はそれを読み取ってしまったらしく、あなた様が望むのならと言ってくれはしたが、現実でしてしまえばそれは子供もできてしまい面倒なことこの上ない、それに異世界とはいえ姫様だ、嫁入り前に手を出して問題になってもたまったものではない。
何か手は無いかと考えた所この部屋の物置にある装着型VRダイブ機と、ローカルで使えるプライベートVR空間を思い出した。
早速彼女に提案をしてみたらそれであなたが満足いただけるのならと、言われ二人でベッドに横に成り、プライベート空間でにゃんにゃんしてみたが、内容は凄かったとだけ言って割愛させてもらおう。
翌朝を迎えると彼女の口付で目が覚めた。
現実でもせめてこれくらいはと、昨日の自分を思い出したのか顔を赤らめながら微笑みかけてくれた。
朝食を食べた後は、彼女に聞いてみたところ、この世界で体を鍛えれば異界の者たちにも普通に対抗できてしまえるのではないかと思えた。
VRから肉体へのフィードバックシステムを利用した身体強化、これを俺と彼女が行い、さらにマナの扱いを身につければ、身体強化度合いが加速できそうなのだ。
既に研究チームは解散、そして報酬のおかげで、二人で毎食高級レストランで食事をして、ホテルのスイートに泊まっても、八十年ぐらいは暮らせるほどの資産はある。
早速マナの扱いを身につけようと言う話に成り、修行が開始された。
転移した後も最終的に問題さえ解決すれば帰ることもできるとの事だったので、それなら死なないで帰れた方が良いし、場合によっては姫と現実で結ばれるのも悪くないと思いはじめていた。
マナの感覚をつかむ修行は思いのほか難航した、つかめたのが一週間ほどたった今で、VRでにゃんにゃんしている最中だと言うのが何とも言えない感じではある。
彼女が達した瞬間にいつも周囲にまき散らしていたエフェクトがマナの放出現象だったようで、それを浴びた時にこちらにも感覚がフィードバックすることに気付き、それを自分の体にフィードバックさせた結果マナの感覚が掴めるようになった。
翌日からは、マナを使った回復加速、身体強化などを習い、眠りについて朝起きても維持されたままでいる状況に成るところまで、何とかこなせるようになった所で、VRのリミッターを解除し加速世界内で肉体強化修行を開始した。
これを肉体にフィードバックすると本来では、体の自己修復機能が追い付かず危険な状況となるのだが、眠る前に回復加速状態を維持したまま常時フィードバックを行えば、言わずもがな修復が追い付くのだから問題なく際限なく強化し続けられると思ったからだ。
彼女たちの世界では、ステータスという物が見る事が出来るらしいのだが、俺と彼女は二人揃って先ほどの方法で強化をした結果、やりすぎてしまったようだった。
日常生活においての力加減は体自体が覚えているようなのでよかったが、少しでも力を入れると硬貨がおれるでは無く圧縮できてしまうほどの力に成って居た。
「やりすぎてしまいました」
「ちょっとこれはなあ」
ステータスという物で見てもらった結果、各種族の王の力を百とした場合の此方の能力は八十二万五千八百九十二という、桁外れすぎる領域まで来てしまった。
「これ絶対、俺ら結婚とかできないな」
「ええ、耐えられる方でない限りは無理ですよね|…………《斗真に貰って戴きますが》」
夜のにゃんにゃんも日を追うごとに過激になり、そちらの意味でも結婚できないなと言う意味合いも込めてある。
二人揃って底無しに成ってしまっているのだ、姫の方は現実では乙女なままで。
それはそうと確認をしたのだが、他の連中もやはりケモ耳、長耳、角付といった美少女が現れていたそうで、向こうの結界とやらの話とブースター使えば魔導士は結界修復だけで済むんじゃないのかと言う話、VR使って超絶ブートキャンプしたらまずい事に成った話をしたところ、マナの掴み方をどうやって知ったのかを聞かれ、VRでシた話をしたところ、全員にドン引きされてしまった。
後ろで聞いていた他の姫さん達は顔を赤らめながらも満更ではなさそうだったので、きっと今晩あたりにでもみんな手を出してしまうんだろうなと思っていたら姫に小突かれた。
「浮気はダメですよ」
俺はもうこの姫に完全に尻に敷かれてしまったようだ。
それから一カ月ほどが経つと、皆揃って一月前の俺たち並に成り、俺たちはそこからさらに数倍ほどの成長を遂げていた。
全員で集まり、ブースター製作機材と材料を大量に用意し、それらを姫たちの収納にしまいきり、エーテルとソーラー稼働型の車両を用意し、整備に必要な機材を積み込み、それらも全て仕舞ってもらうと、八人は彼女たちの世界へと転移していった。
彼らが忽然と姿を消したことはニュースとなったが、そのまま風化し、騒ぎも収まり何事もなかったかのように日常が流れていった。
儀式の間に皆が戻ってくると、監視していた者が慌てて外の者に知らせ、帝国の王がやってきた。
「迎えに行ってわずか半日で戻ってくるとは、彼らがそうなのか」
「はいお父様、彼らが英雄ともいう撃救世主たちですわ」
「お、お前さんがレアの父親か、お義父さんと呼ばせてください」
そう言って斗真は土下座した。
「ふん、既に手を付けているわけはないか、この世界を救いレナがそれを受け入れるならば良いだろう」
「やりましたわ、お父様が認めましたわ」
そう言って抱き着いたレナをみて、王は驚愕していた。
「たった半日でここまでとは、レナは一目ぼれでもしてしまったのか」
「いえお父様向こうではすでに一月以上を過ごしておりますの」
「まあ、許可はもらったし、早速ちゃっちゃと解決しますかね」
「そうよ、あたいだってオトンに認めさせないといけないし」
「そうだぞこっちだってさっさと認めさせないと駄目だからな」
全員が雑談しながら儀式の間を出ていき、それを呆気に取られたまま見送った王は、その一月後に全てが解決したという知らせを聞いて、呆気に取られていた。
城下町から街道へ出た途端に、彼らは全員消え去ったと言う衛兵の報告を受けていたからだ。
「なあ、車用意したけどさ、俺たちの場合走った方が早いんじゃね」
「確かに車の数十倍の速度で走れるもんな」
「だったら行きは走ってさっさと終わらせて帰りは観光がてらに車で帰ればよくね」
「「「「「「「「いいねー(ですわ)(な)(よ)」」」」」」」」
そうして彼らは走って現地へと向かい、増幅器を作り上げ大量に結界を増幅する為に設置した。
強固な結界となったが、異界からの侵略者以外は普通に出入りできるそうなので、折角だからと設置が完了した記念に八人は中へと入っていった。
その一週間後にそれは起きた、異界からの侵略の為と思われる物体が消失したのだ。
そして結界の中には、八人がおり楽しそうに笑いあいながら戻ってきた。
獣王、亜人王、魔王が、彼らが戻ってきたことと説明を求めたのだが、その時彼らはこう語ったと言う。
「「「「「「「「ちょっと異界観光してこちらの世界に手を出すなって脅してきた」」」」」」」」
その場に居た全員の目が点に成ったが、もう二度とこちらには攻めては来ない事を誓わせたので、問題は無いだろうという事を伝えられると、歓声が上がった。
「「「「「「「じゃあこの世界観光してくるわ」」」」」」」」
そう言ったが、思い出したように斗真たち以外の六人が各王の前へと行き、娘さんをくださいと交渉をしていた。
全員、俺より弱いやつに娘はやれんと言いかけたところでその娘たちに、デコピン一発でノックアウトされ、気が付いたところで、彼らは私達よりも強いと言われ、王たちはそれを聞いて認めざるを得なかった。
彼らは数年かけた観光が終わった後に一度、元の世界に戻ってみたのだが、元の世界ではすでに千年近くが経過していたので、さっさとこちらの世界に戻り、婚姻を結ぶと王なんぞに興味はねえ、俺たちは自由にのんびりと田舎で暮らすんだと言って、王位継承権を放棄し田舎で子宝に恵まれつつのんびりと暮らしていた。




