序
始まり
例えば怒りなら赤・悲しみなら青なんて感情を色で喩える事はよくある事だ。
人により多少差異があろうが、大多数は同じ感情に同じ色の印象を持っている。
人は感情を顔色・態度・声などで表す。その顔色や態度を隠すことが巧みな人、苦手な人、またはそれを読み取ることが巧い人、そうでない人がいて、そういった人達が社会を営んでいる。
人は色々な種類の人間がいるのだから、様々な場面で衝突を繰り返す。
そういった衝突でお互いを理解するなんていう事はよく言われることだけど、僕はそんなことは信じていない。
人はうまくやっていく為に平静を装い、衝突を避けて暮らしていくのだ。
4月、まだ春の暖かさはなく、冬の名残の残る、肌寒い空気があたりを包み込んでいる。
冷たい空気で迎える朝は、憂鬱でもあり、空気が澄んでいるようで爽快だ。
真新しい制服に袖を通し、一つ溜息をつく。
玄関に腰を下ろして、新調した革靴を履く。
硬くてとてもじゃないけど履いていられそうにない。
いつも通りのメガネをかけて、鍵をしめて家を出る。
この春から通う高校に向かい、道を歩く。
通勤ラッシュの時間からは若干遅いこの時間帯は、慌しくなく、穏やかな空気が漂っている。
近所の家では一家の長を早々に追い出した主婦が、洗濯物を干したり、掃除機をかけたりしている。
通りに面した交差点では幼稚園の迎えのバスがきて、園児たちがはしゃぎ声を上げる。
黄色い帽子に、青い制服がたくさん視界をさえぎっていった。
すこし目を薄めてそれを眺める。
黄色に青、そして満面の笑みが目に痛かったのだ。
10分も歩けば、高校に到着する。
校門からのメインストリートには、つぼみのままの桜が立ち並んでいる。
春らしく活気のある雰囲気の学校には、新しい環境への期待と不安が入り混じった面持ちの新入生たちが、不特定多数に対しての精一杯の自己主張をしているようだった。
桜の色は好きではなかった。
新しいものの到来を喜ぶ色・別れと出会いを象徴する色だ。
ふと見た景色がぼやけた。汚れが気になってメガネをはずした。
レンズを拭いていると、僕を追い越していった女生徒が視界に入った。
冷たい空気を切り裂いて、凛とした姿勢で、颯爽と歩く彼女の周りに見えた色は、まるでどんなものでも受け入れているかのような色、純白だった。
溜め書きしてからの投稿になりそうなので、更新に波が出来そうです。駄文のくせに更新遅いってのっと言わずに興味がありましたらお付き合いください。
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