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CE   作者: リーク=セイタス
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プロローグ

貴方たちは、もしも願いが叶うなら何を望みますか?


貴方たちは、本当に誰も幸せな世界がつくれると思いますか?


貴方たちは、ハッピーエンドを赦しますか?


貴方たちは、「今」に何を求めますか?

 プロローグ 


在るものは、死を恐れ、軽蔑し、焦がれた。

在るものは、生を喜び、執着し、拒絶した。


愚者は、何も知らない。

神は、すべてを知っている。

愚者は、真実を求め、永劫の廻廊に

神は、虚像を信じ、道化を喰らう。

神は、神。愚者は、愚者。

決して変わりはしない両者。


この世には、2種類の物しか存在しない。

死を受け入れる物と、受け入れない者。

ただそれだけ


しかし、人類は死を拒絶し、曲がった真理のなるもとに人々から死を奪った。

不確定な死を失い、さまよう世界。

無意味にも続く戦争。

増え続ける人口。

最も嫌い、逃げ、拒絶した死を待ち焦がれる。

死を政府により、禁じられた世界。

完全なる死のみが存在し、皆が幸せになれる世界。

幸せになれるはずだった世界。


この世界は、3つする平行世界の一つ。

神の領域とされる、白層世界=リヴァイアサン。 

かつて陥ちた者の籠を、虚層世界=ツバァイ。

そして、この真層世界=アイント。 


アイントは、12の国が、存在する。 

魔法と白銀の都市、魔法都市=イザ連邦。

魔導士至上主義、ミラ郷国。

食と緑の商業都市、ナルガ商国家。

最悪と嫌悪の地、旧サンカ公国。

強さこそが真実とされる、南国都市=アギト王国。

正義と秩序の孤島、日本。

初代独立国家、クラブ共和国。

第2独立国家、ヴァーレスク自治区。

第3独立国家、小国=スラム。

叡智と未来を生む、ワイズ王国。

殺戮と闇の都市、荒廃都市=グレス帝国。

そして、拒絶都市=クライム。


クライムは、周りを黒柱に囲まれ、他国の干渉を遮断し、教者と呼ばれる者たちによって統治されている。

その中では、[柴の教団]が国民を呪っている。

教者[ワーズ教]は、多くの信者を連れ、皇国を支配し、幾度となく各地の国々へ宣戦布告を行う。

その戦争は、[金色伯爵](サーバロン)の介入により不発のまま、停戦状態が続く。

しかし、この国を最も呪っているのは、教者でもなければ、黒柱でもない。


[贖罪(クライム)]。

碧き光を放ち、人を惹き付け、蹴落とす、悪魔の鉱石。

加工することによって使用者に凄まじい代謝と、特殊能力形式(フォーム)を身に宿す。

現在では、人間の基盤にまで染み込んでいる。

医療、エネルギー原から食糧生産に至るまで、根源にはクライムが存在し、掌握している。


そのクライムを巡り、幾多の血が流れた。

その最たる物が、[教会戦争]。

純血の一族がクライムの排除を掲げ、発生した黒歴史。

ロレスと名乗る者を、先頭に大陸の半数を浸食する不死の一族。

人類は、なにも打つ手無いままに、ただ見ていることしかできなかった。

そんなか、一人の漣醒術師と偉大な魔導師が不死殺しの武器。戦術核(シルバーブレット)を用いて、ロレスを退いた。

漣醒術師は、クライムの力を使い、この世界へ絶対をもたらした。



2050年4月9日

 静寂と嫌悪の居座るこの空間に、奴は居た。 

 男にしては、長い銀髪をこれ見よがしに靡かせ、奴は居た。

 「おやおや、こんな所で油を売っていけませんねぇ。セイタス大尉。」 

 まるで子どもを叱るような軽く中身のない言葉。

そんな飄々とした態度も、今はもう空気となんなら代わりない。 

 「貴方には、次の会議の準備をお願いしたはずでしたよね。」

 問われている声は、何処か遠く、反応はない。

「そう言えば、あいつが貴方に会いたがってましてね。少しは構ってやってよな。」

 男の手が触れた瞬間、目の前に見覚えのある物が宙に浮く。

 認識に遅れ、全身に痺れと痛みが迸る。

 その痺れが、その痛みが、全てを語る。

 今もまだ宙を舞う。 

 ない。あったはずの、あるべきものが。

 腕が・・・ない。


 嘘でも偽りでもない男本人の生肉。

 「いきなり、何しやがる」

 飄々さは、抜け憎しみ100%の面でこちらを見据える。

 「駄目じゃないですか。ラムゼイさん。」 

 光から嫌われた室内。殺気に満ちた少年の満月のような瞳がただ一点を照らす。

 未だ男の片側からは、濁りきったせせらぎが聴こえる。

 痛みの真鍮。 

 切り下ろされた、ラムゼイの腕だった肉片が、存在を主張する。

 蜥蜴の尾の様に散々辺りを汚した後、その(ぞんざい)も消えた。

 「セイタス。てめぇ何が目的だ。」

 「貴方はいつもそうですね。」

 蹲った男をなぶり、絶望を植え付ける。 

 吐息とともに赤い体液が解放される。

 不思議なことに肩からのせせらぎは止んでいた。

 垂れ流れる汚水。

 閉ざされた場は、狂気という色で染まっていく。

 

 

 2050年4月17日

 (せかい)(せかい)の硲。

 5つの(こえ)が今を掌握する。

 「それで、沙希に起きた襲撃事件はどう片付けた。」

 「その件は、虚像(アイドゥ)が。」 

 1つは、中年ほどの重味のあるハスキーボイス。

 1つは、秘書のような形式難い清い声。

 硲の中。声のみが存在し、認識される。

 「あの処理は骨が折れましや。あげんこと、もう堪忍してもらいやし。」

 何処かノリの軽い口調の声は、気だるそうに応える。

 匂いもなければ、風さえ吹かない、今この時。

 悲観の会議(みらい)

 何者も干渉、介入、意見の赦されざる会議(みらい)

 「お前にしては、手が速いな。」

 渋みのある老紳士のようなで馬鹿にするような声。 

 「あんだら、自分のこと怠慢野郎認定せんでもらえませかいな。」

 でたらめな言葉を奏でる(こえ)

 人と呼ぶには、異端で滑稽な存在(こえ)

 「下らん言はもういい。次なるシナリオに入る。」

 何のための会議(みらい)なのか

 誰がための会議(みらい)なのか

 何故開かれる会議(みらい)なのか

 それは、神が記し物語(よていちょうわ)

 書き直すことも叶わない床史絵の夢。



2050年4月9日

 静寂と嫌悪の充満する空間に、その男は居た。

 男にしては、鬱陶しい程の髪をこれ見よがしに靡かる。

 「こんなところで何しているんですか。クロウ特務准将。」

 まるで子どもを叱る様に諭す声に、男は頭部を向ける。

 クロウは、ばつが悪そうに口を滑らし、事故防衛に入る。

 「嫌ですね。その言い方だと私がサボってるみたいじゃないですか。ねぇセイタス大尉。」 

 飄々とした口振り、掴み所のない態度。胡散臭い。

 セイタスは、この変人と付き合いは長いが、この男は謎だ。

 「貴方には、贖罪(クライム)の本格精錬の準備と、クライム皇国への対処ついての会議があるはずでは。」

 投げ掛けられる言葉は何処か遠く、流れていった。

 まるで糸を失った傀儡の様に、生の脈動を感じることさえ出来ないほどに。

 「何度目だ。今はいつだ。」

 突如、こちらへと問い掛ける姿は、狂気と恐れの混じり気味の悪い姿。


それは、誰も知らない。誰も知るはずのない物語。

(よていちょうわ)

誰もが見て見ぬふりをし、誰も変化を求めない死んだ世界。

神をも見棄て、偽神(かみ)が拾い育てた世界。


長くの間、消去と構築を繰り返す。 

偽神は、何度でも書き記す。

神は、未だに愚者をただ見続ける。

愚者は、未だ廻廊をさまよい続ける。

人は、只明日を呪い生き続ける。

誰も変わることのない現実(ゆめ)の中、暗闇を歩く。

どれだけ明かりを灯そうと、どれだけ手を伸ばそうと

けして先の見えることのない悪路。



 狂気と恐れの漂う空間の中、その男の声が空間と共鳴する。

 男は一人、まるで周りが見えていないのか。認識していないのか。

 セイタスのいる方とは違う、何処か彼方へと口をむける。

 「五月蝿い、五月蝿い。五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い」

 夏の日に蚊を煙手繰る様に

 聞こえないはずの声を鬱陶しがる様に

 奏でる様なその騒音は、止むことなく続いている。

 「クロウ准将。逝かれてますね。」

 声の届かぬ男へと足を向けるが、その足はこれ以上前へ進めない。

 既視感なのか、恐怖なのか、理性が行動を拒絶する。

 未だ男は、誰にかけるでもない言葉を紡ぐ。

 「なぁセイタス大尉。」

 

 

  

どうもこんにちは、こんばんは、おはようございます。

今回、貴重な時間私の寸劇を読んでいただき有り難う御座います。

此からも頑張って行きたいと思いますので、御指導、ご鞭撻の方宜しくお願いします。


さて、内容はいかがでしたか。

素人の作品なので読めたものでないかも知れませんが、また読んでいただけると光栄です。

終わり方どうやねんと思われますが、ご容赦下さい。

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