アケミ宅にて
私は、アケミの家に今回始めてのお泊まりをする。
朝早くから、荷物はアケミの家に置いて外へとショッピング。お昼は、喫茶店でランチをして、夜にはゲーセンで散財してから帰宅。今から私たちは寝るところである。
「……ヒトミー?寝た?」
「寝たー」
「起きてるじゃん!」
「何か、始めてみる天井だから眠れない!」
「あー。寝れないタイプ?」
「寝れない。緊張しちゃう!」
「羊数えたら?」
「さっきやった」
「え?何匹までいった?」
「30200匹!」
「やばっ!ヒトミ数えすぎ!」
「どうしたら寝れるかな?」
「数える動物変えたら?熊とか!」
「え……。熊?」
「え。嫌い?」
「…………前、テレビでみたんだけど、熊が村を一つ滅ぼしたみたいな話しがあって……」
「怖っ!え。食べられちゃったの?」
「そう……。やばい。アケミの家って、山近いから何か怖い!」
「えー!やめてよ!熊とか言い出したの誰⁈」
「お前だよ!」
ヒトミの鋭いつっこみ。
「アケミのベッドに入っていい?」
「いいよいいよ!来なよ!」
そうして、床に敷いてあった布団を蹴飛ばし、アケミのベッドへと入ろうとした。
「待って。私を壁側にして!」
「え?なんで?」
「熊からの死角っぽいから」
「ちょっと!私は、食べられちゃうかもしれないの⁉」
「私の屍を超えて!みたいな感じで守って!」
「守らねーよ!」
そう言って無理やり床に敷いてある布団へと引きずり落とそうとする。
「あ!」
ヒトミは声をあげた。
「え⁈何何?怖いから!」
「熊って、嗅覚いいから意味ないや」
そう言って枕を持って、ベッドへとするする入っていくヒトミ。一つのベッドに二人横になる。
「そういえばそうだね!って、なんで熊の話しになった?」
「あれだよ!私が寝れないからさー」
「あー!そうだそうだ!いっその事、動物じゃあないの数えてみたら?」
「例えば?」
「ロボットとか!ロボットが一体!ウィーンガシャン」
「うける!あ!そういえば…………」
「え?何何?」
「ルンバって、可愛いよね」
「あ!可愛い!」
「健気だよね。誰も見てないときも掃除してるんでしょ?」
「可愛い可愛い!」
「あと、あれ。○ァービー」
「え?」
「可愛いよね。健気だよね!」
「あれは、可愛いくない。鳥?なのかよくわかんないし。目、キモイし」
「可愛いじゃん!ずーっと、『なでなでしてー!』って、言ってるんだよ?」
「まぁ、健気だよね」
「絶対、撫でないけどね」
「ヒトミ最低!撫で撫でしてあげなよ!」
「電池が切れたらする」
「遅っ!手遅れだよ!……ってか、何の話ししてたっけ?」
「○ァービー」
「いや、その前だよ!」
「熊!」
「あー!そうだそうだ。熊の話ししてて……。何で熊?」
「山が近いからじゃん?」
「あー。そうだそうだ。時々、熊下りてくるんだよ?」
「やめてよ!怖い!…………何か首痛い」
「何で?」
「枕あってない」
「ごめーん。枕それしかないから。来客用!」
「腕枕してよ。アケミ」
「嫌!」
即答であった。
「何でー?」
「痺れるし。痛いから嫌!」
「私のお父さんはやってくれたのに!小さい時!」
「私は、お前のお父さんじゃあねぇわ!ってか、小さかったらするよ!頭軽いもん!」
「今も軽いもん。カランコロンいうもん」
そう言って頭を横に数回振るヒトミ。
「カランコロンいう頭とか怖いし!やめてよ!とにかく、その枕で我慢してよ!」
「仕方ねぇな!」
「ヲイ!」
その時、両者どうじにふつらふつらと眠気が立ち込めてきた。
「アケミ……」
「ん……?」
「おやすみ」
「ん……。おやすみ」
そう言って二人とも朝の11時まで爆睡したのであった。