幼馴染と春
春には、おだやかな春と暴れ狂う春がある。
春の嵐だ。
あの嵐が現れると、桜や青々してきた緑のくさぐさが、バッさんバッさんとこれでもかってくらい、わさわさ揺れて、葉っぱという子どもたちが、ぶっ飛んでくる。
しかし、今日の天気はとてもおだやかで、オレの心のように静かだ。
あぁ、おてんとさまが心地よいねぇと、緑茶をすする。
ズズズ ズズズ
「あ〜、うめぇ〜なぁ」
空を見上げて、うっすら微笑む。
「おい、あんたじいさんかよ‼︎」
⁉︎
はぅっ⁉︎
みれば、となりにはオレの幼馴染の樹奈が座っていた。
あぁ、そういえばさっきからいたんだっけなぁ。
「そういえば、いたんだな。樹奈さんや」
「いたよ。てか、聞いてた?」
「はい?なにを?」
「だから、春だし天気いいから散歩しない?って」
「散歩って…おまえ…イヌかよ?オレが散歩って言葉で喜ぶとでも思ってんのかよ⁉︎」
「うん。てか、まさに今大喜びで着替えてんじゃん」
「はぁ?バカだなぁ樹奈は…。仕方なく喜んでやってんだよ」
「へぇ。じゃあ、なんでニッコニコしてるの?」
「それは、もちろんあれだよ…」
「どれよ?」
「わかれよ」
「わからないから聞いてるんじゃないの」
…
「まぁ、出かければわかる。さぁ行くぞ」
「はーい」
ギュゥ♡
当たり前に繋がれるオレの手と樹奈の手。
幼稚園の頃から、外に出て歩く時は、おとなりのお友だちとおてて繋ぐんですよ〜って教えをオレたちは、今でも忠実に守っている。
オレたちは、付き合っていない。
でも、手を繋ぐのは日常のあたりまえなので、恥ずかしくもなんともない。
むしろ嬉しい。
しかし…
春だし…天気いいし…
調子に乗って恋人繋ぎに繋ぎなおしてみた。
樹奈が
「えっ?」
って、びっくりしていた。
小さくかわいい声で。
でも、その手はふりはらわれることは、なかった。
ギュッと繋がれたオレの手と樹奈の手。
この手を離したくない。
そう思ったオレは、散歩終わりに言った。
「樹奈、オレと付き合おう。」
と。
樹奈は、オレの手を少しきゅっとして、
「うん♡」
と、微笑んだ。
樹奈の後ろには、桜の花が咲いていて、なんとも美しい光景だった。
春の樹奈記念だ。
オレの心に、春の樹奈が記念撮影された瞬間だった。
おしまい♡




