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幼馴染と春

作者: 猫の集会
掲載日:2026/04/20

 春には、おだやかな春と暴れ狂う春がある。

 

 春の嵐だ。

 

 あの嵐が現れると、桜や青々してきた緑のくさぐさが、バッさんバッさんとこれでもかってくらい、わさわさ揺れて、葉っぱという子どもたちが、ぶっ飛んでくる。

 

 しかし、今日の天気はとてもおだやかで、オレの心のように静かだ。

 

 

 あぁ、おてんとさまが心地よいねぇと、緑茶をすする。

 

 ズズズ ズズズ

 

「あ〜、うめぇ〜なぁ」

 空を見上げて、うっすら微笑む。

 

「おい、あんたじいさんかよ‼︎」

 

 ⁉︎

 

 はぅっ⁉︎

 

 みれば、となりにはオレの幼馴染の樹奈じゅなが座っていた。

 

 あぁ、そういえばさっきからいたんだっけなぁ。

 

「そういえば、いたんだな。樹奈さんや」

「いたよ。てか、聞いてた?」

「はい?なにを?」

「だから、春だし天気いいから散歩しない?って」

「散歩って…おまえ…イヌかよ?オレが散歩って言葉で喜ぶとでも思ってんのかよ⁉︎」

「うん。てか、まさに今大喜びで着替えてんじゃん」

「はぁ?バカだなぁ樹奈は…。仕方なく喜んでやってんだよ」

「へぇ。じゃあ、なんでニッコニコしてるの?」

「それは、もちろんあれだよ…」

「どれよ?」

「わかれよ」

「わからないから聞いてるんじゃないの」

 

 …

 

「まぁ、出かければわかる。さぁ行くぞ」

「はーい」

 

 ギュゥ♡

 

 当たり前に繋がれるオレの手と樹奈の手。

 

 

 幼稚園の頃から、外に出て歩く時は、おとなりのお友だちとおてて繋ぐんですよ〜って教えをオレたちは、今でも忠実に守っている。

 

 オレたちは、付き合っていない。

 

 でも、手を繋ぐのは日常のあたりまえなので、恥ずかしくもなんともない。

 

 むしろ嬉しい。

 

 しかし…

 

 春だし…天気いいし…

 

 調子に乗って恋人繋ぎに繋ぎなおしてみた。

 

 樹奈が

「えっ?」

 って、びっくりしていた。

 

 小さくかわいい声で。

 

 でも、その手はふりはらわれることは、なかった。

 

 ギュッと繋がれたオレの手と樹奈の手。

 

 この手を離したくない。

 

 そう思ったオレは、散歩終わりに言った。

 

「樹奈、オレと付き合おう。」

 と。

 

 樹奈は、オレの手を少しきゅっとして、

「うん♡」

 と、微笑んだ。

 

 樹奈の後ろには、桜の花が咲いていて、なんとも美しい光景だった。

 

 春の樹奈記念だ。

 

 オレの心に、春の樹奈が記念撮影された瞬間だった。

 

 

 

 おしまい♡

 

 

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