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戦隊捜査官の事件簿 〜戦隊さん、その事件の犯人、怪人じゃないかもしれません!〜  作者: サイトーアツシ
事件1「泡に消えたのは少女の涙かもしれません」

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事件1-2『哀しみのアワ少女』

〈前回までのあらすじ〉


街で暴れまわる凶悪な怪人・カニヒドーダ。

ヤツを倒すためにキンピカキラキラな五人のヒーローが集結した!

 カニヒドーダと向かい合う五色の、金色の鎧を纏いし戦士。


 カニヒドーダは変身した彼らの姿を前にしても、まったく臆することはない。


 岩陰に隠れた私が、自分の腕に付いた黒いブレスに向かって話しかける。


 このブレスは、無線でゴールドファイブの面々と繋がっているのだ。


「あの怪人の泡は見たところ、生物だけを溶かして、衣服やスーツを溶かすことはできないようです。変身してる皆さんはそれよりも、あのハサミを警戒してください」


「了解。みんな聞いたな? 十分に注意してかかれ」


 レッドの声に、他四人がコクリと小さく頷く。


「カーニカニカニ! お前らをオレサマのハサミで、短冊切りにしてやるカニーー! 行け、ヒレッツ!」


 そういうと、カニヒドーダの影から沢山の黒い兵隊が出現した。

 真っ黒で、目も口も無い、ただ禍々しいトゲの生えただけの人型の何か。

 ヤツらはヒドーダ怪人の使役する戦闘員、ヒレッツだ。


 ヒレッツたちはナイフやトンファーを持って、一斉に襲いかかってくる。


「みんな行くぞ!」

 

 ゴールドファイブはそんなヒレッツたちを相手に、皆それぞれ戦闘を開始した。


「ぼくの弓を受けてみろ!」


 ゴールドグリーンこと丸亀(まるがめ)めぐむが、ヒレッツたちを金の弓矢、ゴールドアローで射抜いていく。


「悪いけど、ボクの恋人になりたいなら。もっと可愛くならなきゃダメだよ。あの岩陰に隠れている、ボクの三番目の彼女くらいにはね」


 そう言いながら金色の銃、ゴールドブラスターでヒレッツたちを撃ち抜くは、ゴールドブルーこと坂出(さかいで)いつき。


 言っておくが、私はアイツの彼女でもなんでもない。

 あれは本人が勝手に言っているだけである。


「うにゃにゃにゃにゃにゃーー! わーい! 楽しー!」


 ゴールドホワイトこと観音寺(かんおんじ)すあまは超ハイテンションで、両腕に付いた鉤爪、ゴールドクローを駆使しヒレッツたちを引っ掻いていく。


「武士道とは、その心意気と見つけたり! 剣は使えずとも、このハンマーでハンマーサムライとなるでござる!」


 ゴールドイエローこと琴平(ことひら)いとしはモグラ叩きのようにヒレッツたちを次々と金のハンマー、ゴールドハンマーで倒していく。


 そして、そんなヒレッツたちの群れを金煌(きんきら)剣、ゴールドソードで掻き分けていき、今カニヒドーダと激しいバトルを繰り広げているのは、ゴールドレッドこと高松(たかまつ)りゅうまである。


 カニヒドーダのハサミとゴールドソードが激しくぶつかり合い火花を散らす。


「どうカニ? オレサマのハサミは!」


「あぁ、確かにハサミは硬いな。だが!」


 レッドが刃でカニヒドーダのハサミの付け根を狙い、瞬く間に斬り裂いた。


 斬られた両腕のハサミが、ゴトゴトと足元に落ちる。


「しまった〜! これはまずいカニ〜!」


 レッドの後ろから仲間たちの声がする。


「こっちのヒレッツはみんな片付けたよ!」


「とどめはヨロシク」


 レッドは剣を強く握りしめ、カニヒドーダの腹部を斬り裂いた。


「ゴールドスラッシュ!!」


 カニヒドーダはその一撃を受け、背中からバタリと倒れた。


「ぐわ〜! これまでの努力が水の泡〜。カニ!」


 その言葉とともにカニヒドーダは爆散した。


   ◇   ◆   ◇


 戦いが終わり、ゴールドファイブのメンバーと私は周辺の調査をしていた。怪人の破片を収集したり、現場に残された証拠や被害者の遺留品(いりゅうひん)を調べたり……。


 自己紹介が遅れたが、私の名前は綾川(あやがわ)あずき。


 戦隊捜査官(せんたいそうさかん)として、ゴールドファイブと行動を共にしている。


 戦隊捜査官(せんたいそうさかん)とは簡単にいえば、ヒドーダ怪人の関わった事件について調査し、その実態を解明する仕事だ。


 事件の実態や状況を解明することが、今後の対策や、怪人被害の縮小に繋がるのだ。


 また、怪人の居場所を突き止めたり、怪人事件が発生している現場に行って、怪人の能力やどんな作戦を企てているのかを調べる協力などもしている。


「ここらへんの調査は大体終わったでござるな」


 いとしさんが私の肩にポンと手を置く。


「いえ、それが……」


「どうした? 何か気になることがあるのか」


 近くに居たりゅうま隊長が、私の歯切れの悪い返事を聞いて駆け寄ってきた。


「少しでも気になることがあるなら、なんでも言ってくれ。それが多くの命を守ることに繋がる」


「はい、実は、ここから少し離れたところにも怪人の被害にあったと思われる少女の衣服が発見されていて……」


「それはどこだ?」


「今案内します」


   ◇   ◆   ◇


 五分ほど歩いて、私たちは怪人発生現場から少し離れたところにある公園の前の道路にやってきた。


 周りは閑静な住宅街で、目の前の公園には遊具がたくさんあり、割と広そうな公衆トイレや水飲み場まで完備されている。


 そんな公園前の道路の真ん中に、五歳くらいの女の子が着ていたと思われる衣服が、泡だらけになって落ちていた。


「ゴールドサーチ!」


 変身したイエローが、ゴールドサーチで泡の成分を分析した。


 これはイエローだけに使える能力で、見たものを瞬時に過去のデータと照合し、分析するものである。


「間違いない。この泡はあのカニヒドーダの泡にござる。それとこの泡、一定の時間が経つと生物を溶かす成分が消えて安全になるようでござるな。もう素手で回収できそうでござる」


「分析ありがとう……、しかし……胸が痛む……」


 りゅうま隊長が少女の衣服に手を合わせ、数秒黙祷する。


「こんな小さい女の子が……怪人の犠牲に……」


 私も、こんな小さな命が失われるのは、心にくるものがある。


 黙祷を終えたりゅうま隊長が口を開いた。


「だが妙だな。この場所はさっきの現場からは離れすぎている」


「寧ろ、昨晩のカニヒドーダ第一発生地点に近いですね。それでも少し離れてはいますが……」


 実は昨晩にも、カニヒドーダは出現し、街中の人間を泡にしていた。


 そのときもゴールドファイブは駆けつけ戦ったが、あと一歩で倒せるというところでカニヒドーダに逃げられてしまったのだ。


「昨晩は酷かった。一時間も追いかけっこをして結局取り逃がすとは、ハンマーサムライとして情けない」

 

 イエローが変身解除して肩を落とす。


「いとし兄ちゃん、どうしたの? これ見て元気出して」


 いとしさんが目をやると、全身が泥で汚れたすあまちゃんが、泥だんごを持って見せてきた。


「こんなときに何やってるんだ!」


 りゅうま隊長がすあまちゃんを叱責する。すあまちゃんが目に涙を浮かべる。


「まぁまぁ、拙者を元気づけようとしてくれたのだ、大目に見てやろう」


 いとしさんの励ましで、すあまの涙はすぐに引っ込んだ。

 

「ありがとう! いとし兄ちゃん」


 すあまちゃんは十二才、本来ならば中学一年生だ。


 だが、とある事件がきっかけで、精神年齢が五歳児程度に退行してしまった。


 その影響もあり、時々こんな風に周囲を困らせてしまう。


「なんかね! あそこの土だけね! すごくフカフカでね! 泥だんご作るのにピッタリなんだよ!」


 すあまちゃんがそういって目を輝かせる。それを無視して、りゅうま隊長は話を進める。


「公園前の道路までは、ギリギリ第一発生のときの調査範囲に入ってはいるでござるが、そのときこの衣服見つからなかったでござる」


「となると、第一発生時に襲われたとは考えにくいな……」


 私たちは怪人事件のあとは必ず周辺の調査をしている。

 被害者の衣服を見落としているとはとても思えない。


「では、いったいどうして……」


「ここは拙者たち三人で、詳しく調べるでござる」


「三人? すあまはともかく……ブルーとグリーンはどうした?」


 りゅうま隊長が驚いて目を丸くする。


「いつきは女の子をナンパすると言って町へ、めぐむは推しの配信を観ると言って帰ったでござるよ」


 いとしさんが呆れた様子で答えた。彼らはいつもあんな感じだ。


 そんなとき、突然服の袖が引っ張られる感覚がして、後ろを振り向いた。


「ねぇねぇ」


 見ると、すあまちゃんが、泥だらけの手で私のお気に入りの服の袖を引っ張っていた。


「ごめんね……いま大事な話してるから」


 そういって、すあまの頭を優しく撫でてあげる。


「そうじゃなくて……」


「?」


 なんだか、すあまちゃんの表情がさっきとは違う。


「あの女の子の靴、名前書いてあるよ」


「え?」


 私は現場に遺された泡だらけの小さな靴を見る。


 よく見ると確かに、靴の後ろに文字が書いてあった。


三羽(さんば)……ルカ……?」


〈つづく〉

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