事件1-1『出た!黄金超戦士』
〈5年前〉
ここは、南アジアに位置する小さな国、ゴルディア共和国。
その国の真ん中を流れる大きな川、キンピカ川流域のとある遺跡で、女がたった一人で発掘作業をしていた。
真っ暗な遺跡の奥深くでうずくまり、左手に持った懐中電灯で辺りを照らし、右手で移植ごてや手ぼうきなどの専用の道具を使いながら、慎重に作業をしていく。
「私の研究が正しければ、きっとここに、超黄金文明の遺した遺物が……」
――そのとき、女の目の前が激しく金色に光った。
女はその眩しさに思わず目を瞑る。
「ついに……、ついに見つけたぞ!」
◇ ◆ ◇
〈現在〉
「カーニカニカニ! お前ら全員、オレサマの泡で溶かしてやるカニーー!!」
街に人々の悲鳴が響く。上半身がカニ、下半身がヒト型をした異形の怪物が人々を襲っているのだ。
私はそれを、近くの岩陰に隠れてヒッソリと観察する。私の腕に巻かれた黒いブレスから、無線で若い男の声が聞こえてきた。
「こちらりゅうま。現在事件現場に向かっている。そろそろ現場に着いたか?」
「こちらあずき。ただ今現場に到着。目の前でカニヒドーダと思しき怪人が暴れています」
あのカニの怪物は、カニヒドーダ。
悪の組織「超頭脳集団・バカバッカ」が地球侵略のために送り込んだヒドーダ怪人のうちの一人である。
バカバッカは宇宙の彼方の星・ホロボスターから地球を侵略しようとしているのだ。
「うわぁぁ!」
逃げ惑う人の中で一人、サラリーマンと思われる中年男性が、石に躓いて転んでしまった。
「今だ! カニバブルーー!!」
すかさずカニヒドーダが口から泡を吹きかける。男性の体はみるみるうちに泡となり、着ていた衣服だけがその場に残された。
(なんてひどいことを……許せない……)
このままでは、罪もない街の人々が、カニヒドーダの泡によって溶かされてしまう。
「そこまでだ!」
「カニィ!? いや、ナニィ!?」
どこからか叫び声がした。先ほどブレスから聞こえたのと同じ声だ。
声のする方を見ると、金色のコスチュームを着た男女五人の若者が並び立っていた。
五人のコスチュームには、赤、黄色、白、青、緑、それぞれ人物ごとに別な差し色が入っていて、いかにも特殊部隊のメンバーという風貌だ。
そして、その右腕には、何やらピカピカとした金色のブレスが付いている。
「現れたな、ヒドーダ怪人! これ以上の悪事は許さんぞ!」
真ん中にいる赤い差し色の入った服の男がそう叫んだ。
「わー! 昨日のカニさんだ〜〜! かわい~~! ペットにしても良いかなぁ」
白の入った服の少女が怪人を指をさしてはしゃぐ。
「良い訳ないだろう。この間は取り逃がしたが、今日という今日は、拙者のハンマーの錆にしてくれようぞ」
そう言って、黄色の入った服の男が怪人を睨みつける。
「身の詰まった良いハサミだね。ボクが料理してあげるよ」
青の入った服の男がそう言って笑う。
「これから、推しの配信あるからさ。さっさとやられてくんないかな?」
緑の入った服の青年が、ダルそうにため息をつく。
「カニカニ、お前らもオレサマの泡の餌食となるカニ!」
カニヒドーダはそう言って、両腕のハサミをショキショキと鳴らしてみせる。
「みんな行くぞ! ゴールドチェンジ!」
真ん中の赤の男が、そう言ってブレスの付いた右腕を振りかざした。
「「「「ゴールドチェンジ!」」」」
それを合図に、他の四人も同じように腕を振りかざす。
すると五人の腕に付いたブレスが、眩い光を放つ。
みるみるうちに五人がそれぞれ赤、黄、白、青色、緑の特殊スーツに包まれ、更にその上から金色のアーマーが装着されていく。
顔に出現したマスクは、それぞれのメンバーカラーの色をしていて、黒いゴーグル部分の周りに施された金色の装飾はとても高級感がある。
――そう、彼らこそが超頭脳集団・バカバッカに対抗するべく、世界的考古学者であり天才科学者の小暮イヴ博士によって結成されたチーム。
超黄金文明の遺物に秘められたゴールドパワーを、現代のテクノロジーによって引き出すことで戦う五人の戦士。
その名も……
「ゴールドレッド!」
「ゴールドイエロー!」
「ゴールドホワイト!」
「ゴールドブルー!」
「ゴールドグリーン!」
「我ら! 超金星!」
「「「「「ゴールドファイブ!」」」」」
そう、彼らこそがこの地球を守る戦隊さん、超金星ゴールドファイブなのである。
……だけど、この物語の主役は、彼らではない。
聞いた話によると、どうやら今岩陰にコソコソ隠れて見ている私が主役であり、主人公らしい。
えっ、私は何者なのかって? それはまた次のお話……。
〈つづく〉
次回から本格的な推理パート!
お楽しみに!




