第4話:リスさん、村公認で嫁争奪戦に巻き込まれる
――静かだった村に、嵐が来た。
いえ、正確には三人のイケメンが同時に滞在し始めたせいで、村人たちのテンションがおかしなことになっていた。
「リスちゃん、あんたどこでそんなハイスペックたちと知り合ったの!?」
「選び放題だねぇ。ああ、青春っていいわあ」
いや、青春でもハーレムでもないですから!?
私は“追われてる”んです、好意の暴力で!!
三人のイケメンたちは、見事に村内での役割を分担し始めていた。
◆ルーク:朝の水汲み&家の修理担当
「クラリス様が安全に過ごせるよう、物理的に整えておきます」
◆ジーク:昼間の魔除け結界&畑の防護線構築
「害虫除去には魔術が最適です。加えて、過剰接触者排除結界も張りました」
◆シリル:夕方の買い物と村人への社交的根回し
「村長にも挨拶済みです。“リスさんは現在求婚進行中”ということで伝えてあります」
――何、勝手に話進めてるんですかあああああ!?
(しかも順番にアピール時間ずらしてくるとか、無駄に連携してるし!)
平和だったはずの辺境村は、今や**“嫁候補争奪戦”の舞台**にされていた。
その夜。
村の小さな集会所で、勝手に開かれた“リスちゃん後援会議”。
「では、リスちゃんに誰がふさわしいか、村人で票を入れてみようじゃないか」
「ジークさん、結界とかで村を守ってくれてるし……」
「でもルークさん、畑の泥だらけになりながら修理してたよ?」
「シリルさん、紅茶とお菓子配ってたしなぁ……悩むわねぇ」
――いや、そもそも選ぶって何!? 私の意思どこ!?
私は堪らず、立ち上がった。
「皆さん、お願いですから勝手に投票しないでください! 私の人生なんですから!!」
静まり返る会場。
その中で、ぽつりとジークが言った。
「……ならば、クラリス様。あなた自身が“選んで”ください」
ルークも、まっすぐに頷く。
「私も、それが本望です」
シリルは笑みを浮かべながら、優しく言った。
「……選ばれなくても、あなたを好きでいる自信がありますけどね」
ああ、もう――だから!
(重いのよ、みんな!!!)
私は叫んだ。
「……今は、誰も選べませんっ!!」
その場に響き渡った私の声に、三人は静かに目を伏せた。
「それで、いいです。クラリス様が望むなら」
ルークが、一歩退く。
「距離は保ちますよ。ですが想いは、変えません」
ジークも、淡々とそれを認める。
「ふふ、じゃあ、せめて近くにはいさせて」
シリルは、冗談のように微笑んだ。
――そして、再び修羅場は続く。
私が“誰にも選ばない限り”。